オール電化リフォームのノウハウ

基礎知識

エコキュートの仕組みと選び方

エコキュートとは

エコキュート

エコキュートとは、冷媒にCO2を使ったヒートポンプ技術によって大気中の熱を汲み上げ、その熱を給湯のための熱エネルギーとして利用する給湯システムのことです。

大気の熱をエネルギーとして利用するため、必要な電気エネルギーの約3倍の熱エネルギーを得ることができる効率的なシステムです。またCO2という自然冷媒を使っているため、地球環境に優しい給湯システムと言えます。

商品名と間違われやすいですが、CO2を自然冷媒とするヒートポンプ式給湯システムの総称であり、ヒートポンプとタンクで構成されています。

ヒートポンプとは

ヒートポンプとは、少ないエネルギーで何倍もの熱エネルギーを得るために空気中などから熱を集めて利用する技術のことです。大気中に含まれる熱、という自然エネルギーを電気の力で熱に変えるため、使ったエネルギー以上の熱エネルギーを得られます。省エネでCO2排出も抑制できる地球環境に貢献できる技術です。

熱は圧縮されると高温になる性質を持っています。この性質を利用し、大気中の熱を圧縮して高温に変え、熱エネルギーとして使います。エアコンやエコキュートに使われている技術として有名ですが、ほかにも冷蔵庫、洗濯乾燥機など、身近なところで幅広く使われています。

自然冷媒とは

自然冷媒とは、冷媒の性質を持つ物質のうち、自然界に存在するもののことです。二酸化炭素やアンモニア、イソブタンなどがあります。冷媒とは、自身が熱媒体となって熱を移動させる物質のことです。人工的な冷媒としてはフロンが有名です。自然冷媒はオゾン破壊係数0であり、自然環境負荷が小さい物質です。

エコキュートに使われているのは自然冷媒である二酸化炭素です。ファンによって機械の中に取り込まれた大気中の熱を吸収し、温度を上げて水に伝える役割を果たしています。

エコキュートのメリット

光熱費が節約できる

エコキュートはエネルギー効率が良いヒートポンプ方式を採用しているため、省エネルギーです。また夜間の安い電気料金でお湯を沸かし、ためたお湯を使う貯湯方式ですのでとても経済的です。

必要な時にその都度沸かすガス給湯器に比べて給湯にかかる費用はおよそ3分の1。深夜料金が格安となる電力プランを選択し、深夜にお湯を沸かすことでより光熱費の削減につながります。光熱費全体のおよそ3割を占める給湯費を抑えることにより、光熱費の大幅な節約が可能です。

地球にやさしい

エコキュートはガス給湯器と比べ、二酸化炭素の排出量が約4割少ないと言われています。加えて冷媒にはオゾン層を破壊するフロンではなく、二酸化炭素(自然冷媒)を使用していることでも地球環境に配慮しています。

また夜間にお湯を沸かすことにより、昼間の電力使用量を減らすピークシフトにも貢献することができます。

安全性が高い

エコキュートは電気と大気熱を使ってお湯を沸かすため、炎を出すことはありません。火災やガス漏れ、不完全燃焼といった心配がほとんどない安全性の高い設備です。煙やススが出ることはなくクリーン、ニオイもありません。

また運転音は標準的な4人家族で使われる370ℓタンクで38dBと静かですので、深夜の入浴がご近所迷惑になることもありません。

災害時の生活用水が確保できる

エコキュートはタンクにお湯をためて使うタイプの給湯器ですので、災害等で万一水が出なくなった時、非常用取水栓を外して中のお湯を取り出し、生活用水として使う水を確保することができます。

ただし貯めてあるお湯は飲用水として使用することはできません。また中には非常用取水栓がついていないタイプの製品もあります。

エコキュートのデメリット

導入コストが高い

エコキュートの導入コストは、ガス給湯器に比べるとおよそ2~3倍かかります。本体価格も決して安くはありませんが、それに加えて基礎工事費、設置費用、水道工事、電気工事などの費用がかかるためです。

導入後はランニングコストを抑えることができるため、3年程度で差額分を取り戻すことはできますが、初期費用が高いことはデメリットの1つであることに変わりありません。

設置場所の確保が必要

エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯タンクの2つから成り立っており、両方の設置場所が必要です。特に貯湯タンクは3~4人家族でも370ℓ、5人家族なら460ℓ以上のタンクを選ぶのが一般的ですので、かなり場所を取ることになります。

場合によっては設置場所を確保するための基礎工事が必要です。スリムタイプなどを選ぶとしても、それなりのスペースが必要となります。

水圧とお湯切れの問題

エコキュートの貯湯タンクには耐圧に限界があるため、水道圧を減圧してタンクに給水する仕組みになっています。このため、水道直圧式のガス給湯器に比べると水圧が低く、中にはシャワーの勢いなどに不満を感じる人もいます。また深夜に沸かしたお湯を貯めて使うため、想定外に多い湯量を使用した場合には湯切れを起こす可能性があります。

エコキュートの選び方

エコキュートには、さまざまな機能やタイプがあります。導入の際は、ライフスタイルにぴったり合った機種選びが重要です。そこでエコキュートの種類、機能、選ぶ時に確認すべきポイントをまとめました。

エコキュートの機能

給湯のタイプは3つです。すべての機能を自動で行うタイプ、一部の機能を自動で行うタイプ、給湯のみのタイプに分かれます。

また、近年では給湯機能に加えて浴室乾燥や床暖房などの機能を持っているタイプが注目されています。多機能タイプと呼ばれるエコキュートですが、ここではまず基本の給湯機能について説明します。

フルオート

フルオートとは、ボタン一つでお湯張りから追い炊き、足し湯などを自動で行ってくれる機能です。お湯張りは設定した量で自動的にストップし、自動的に保温します。お湯の量が減ると自動的に足し湯をし、温度が下がれば追い炊きをします。もちろん手動でお湯を増やすこともできます。

オート(セミオート)

オート(セミオート)とは、お湯張りだけを自動で行い、足し湯やさし湯は手動で行うタイプのものです。フルオートと異なり、追い炊き、保温機能がついていません。足し湯、高温さし湯機能を使って温度調整や湯量調整をします。フルオートに比べて電気代を抑えられる上、価格も手ごろです。

給湯専門

給湯専用とは、お湯を沸かすだけのエコキュートです。自動で湯張り、追い炊き、保温などをする機能がついておらず、浴槽のお湯張りは手動で行います。お湯張りの終了も手動になりますが、音声で知らせてくれるものもあります。本体価格、維持費ともに最も経済的です。

機能を選ぶ時のポイント

エコキュートの機能を選ぶ時は、本当に必要な機能は何か、よく考えて決めましょう。フルオートが一番良いと思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。

フルオートの特徴は足し湯を自動でしてくれる機能と、温度が下がらないように自動的に追い炊きをする保温機能です。とても便利ではありますが、水道代や電気代に無駄が発生しやすいことを念頭に入れておきましょう。

経済性を考えるならオートタイプ、給湯専用も検討すべきです。オートタイプでも手動で足し湯ができ、浴槽のお湯が冷めた時に高温の足し湯ができるものも多くみられます。

一般的に失敗が少ないのは、自動お湯張り機能が必要ならオートを、自動お湯張り機能も不要であれば給湯専用を、という選び方です。光熱費も考慮に入れた上で機能重視であれば、フルオートを選びましょう。

使用人数にあわせてタンクの大きさを選ぶ

エコキュートのタンク容量は、もちろんお湯を使う量によって選ぶべきですが、家族の人数によって大体の目安があります。単身であれば177ℓ、2~3人家族なら300ℓ、4~5人家族なら370~470ℓ、6人以上なら550ℓが目安です。

タンク容量が大きければ電気代が高くなると思われがちですが、エコキュートには学習能力があり、常に最大容量まで湯沸しをするわけではありません。

容量を選ぶ時のポイント

エコキュートのタンク容量を選ぶ時、家族の人数によって目安があるため、家族構成だけで選ぶことは間違いではありません。ただし必ずしも家族の人数だけで決めることが正しいわけではなく、生活のスタイルに合わせることが最も重要です。

来客が多い、頻繁に子供や孫が帰省する、今後家族が増える可能性が高い、というようなケースでは、大きめのタンクを選んでおいたほうが良い場合もあります。お湯が足りなくなると、電気代の高い昼間に湯沸しをすることになり、湯切れを起こしてしまう可能性もあるからです。

設置地域について

エコキュートは大気の熱を利用してお湯を沸かす仕組みですので、外気温が極端に低いと熱量が少なく、効率的に動作しません。

一般的なエコキュートは、外気温が-10℃以上であれば90℃のお湯をつくることができますが、それ以下になる地域では、寒冷地用の機種を選ぶ必要があります。また海からの距離が近い地域では、サビなどに対応した耐塩害使用の機種を選ぶと良いでしょう。

設置スペースを考えて選ぶ

エコキュートのタンクの形状には標準タイプのほか、スリムタイプや薄型タイプ、瞬間給湯タイプがあります。

標準タイプは一般的な戸建住宅向けで種類も豊富にあります。スリムタイプは高さがある分幅を狭くしています。マンションなどに最適です。薄型タイプは高さも幅も大きいですが、奥行きが小さいタンクです。瞬間給湯タイプは使用する時だけ湯沸しするタイプで最もコンパクトです。