
リフォームポイント
電気温水器の仕組みと選び方
公開日:2019年01月24日
電気温水器の仕組み

電気温水器とは、タンクに貯めた水を電気ヒーターで沸かしてお湯をつくる給湯器のことです。昼間に使うお湯も電気代が安い深夜電力を利用して沸かすことができるため、とても経済的です。ガス給湯器のようにその都度沸かすお湯と違い、一度タンクに貯めたお湯を使うことで、置き水効果によりお肌に優しいマイルドなお湯になります。
お湯を使うとその分タンクには水が補給され、常にタンクいっぱいの水やお湯が確保されます。
積層沸き上げ方式の電気温水器
タンクの中の水を全部沸かすのではなく、上部にあるヒーターで必要な量だけのお湯を沸かします。無駄なく効率的にお湯を沸かすことができる方法です。タンクの内部がお湯の層、水の層、混合層に分かれます。お湯と水が混ざり合うことはありません。
対流沸き上げ式の電気温水器
タンクの下部にあるヒーターによってお湯を沸かします。温められたお湯は上部に移動し、入れ替わりにヒーターの周囲には水が移動してきます。これを繰り返してタンク内部の水を循環させ、均一の温度になるよう沸き上げる仕組みです。
2ヒータータイプの電気温水器
タンクの上部と下部、2箇所にヒーターがあるタイプです。タンク内の水全部を沸き上げることも、上部にのみ少量のお湯をためることも、万一湯切れを起こしそうになった時に緊急沸き上げをすることも可能です。多彩なパターンの設定ができるため、急な来客などにも対応できます。
電気温水器とエコキュートの違い
電気温水器とエコキュートはどちらも電気の力でお湯を沸かす給湯器ですが、その仕組みに違いがあります。電気温水器は電気ヒーターによってお湯を沸かしますが、エコキュートは大気中の熱を利用してお湯を沸かします。つまり電気だけで沸かすのか、大気熱をも利用するのかの違いです。
電気温水器のメリット・デメリット
電気を熱源とする電気温水器を、ガスなどの燃焼系エネルギーを熱源とする給湯器を比較したときのメリット・デメリットのご紹介です。安全性や環境性では電気温水器が、イニシャルコストや使い勝手ではガスなどの給湯器が若干有利といったところでしょうか。
電気温水器のメリット
電気温水器はガスや石油給湯器に比べて経済的です。安い深夜料金でお湯を沸かすことで、給湯にかかる光熱費を大幅に抑えることができます。
夜に稼働する機器は音が心配ですが、騒音はほとんどありません。何かを燃焼させて熱をつくる機器ではないため、排出ガスや煙が出ることもなく、嫌な臭いもありません。二酸化炭素の排出量もごくわずかで、環境にやさしい給湯器といえます。
また災害などの際、貯水タンクの水を生活用水に使うことが可能です。電気温水器には常にたくさんの水が確保され、この仕組みがいざという時に役立ちます。
電気温水器のデメリット
電気温水器のデメリットは、イニシャルコストが高いことです。ガス給湯器に比べて本体価格が高価である上、大きなタンクを設置するための基礎工事が必要になります。併せてタンクを設置できるだけのスペースを確保しなければなりません。導入には大きな費用と場所が必要です。
他に、水圧などの不安もあります。ガス給湯器と比べると水圧が低いため、中にはシャワーの出が悪いと感じる人もいるようです。現在は高圧力型のタイプも登場していますが、お湯の使用量が増えるため、お湯切れを起こさないよう大きめの貯水タンクを設置するのが一般的です。想定外の量のお湯を使えば、高圧力型でなくても湯切れの可能性はあります。ガス給湯器とちがい、お湯の使用量に多少制限ができるということを覚えておきましょう。
またタンクに貯めたお湯であるため、衛生上そのまま飲むことはできません。もし飲用として利用する場合は、一度沸騰させる必要があります。
電気温水器を選ぶ時のポイント
電気温水器の機能やタイプはエコキュートを似ています。機種選びのポイントもエコキュートと同様で、住む人のライフスタイルに合ったものを採用することが重要となります。普段どのようなタイミングでどの程度のお湯を使っているかを把握し、「機能優先」「電気代優先」など、目的や優先順位などを明確にしておくとよいでしょう。
機能を選ぶ
フルオートタイプ
お湯はりの開始、停止、保温、足し湯をすべて自動で行う全自動タイプです。ボタン一つでお湯はりを開始し、設定した湯量になったら自動的に停止します。その後温度が下がったら自動的に追い炊きをし、お湯が減ったら足し湯をします。手動で追い炊きや高温足し湯もできます。
セミオート(エコオート)タイプ
お湯はりの開始、停止だけを自動で行い、ほかは手動で行うタイプです。ボタンひとつでお湯はりを開始し、設定の湯量になると自動的にストップします。手動で追い炊きや足し湯も行えます。本体価格がフルオートタイプよりも手頃で水道代、電気代も抑えられます。
給湯専用タイプ
お湯はりの開始も停止も手動で行います。お湯を沸かす機能のみのシンプルなタイプです。蛇口をひねってお湯を出し、お湯はりが終わったら手動で止めます。設定の湯量になったらメロディなどで知らせてくれる機能がついた機種もあります。取り付け工事が簡単で、安く済むのがメリットです。
出湯量を選ぶ
標準圧力型
標準的な給湯能力の電気温水器です。高圧力型に比べると出湯量は少なめで、2階への給湯にあたっては給湯加圧ポンプが必要です。圧力が低い分、水の出が悪くなりますが、無駄な使用を抑えられるメリットがあります。また、タンク容量を大きめに設定する必要がないため、導入コストを抑えることができます。
高圧力型
標準圧力型の電気温水器に比べて出湯量が多いパワフルなタイプです。お湯はりもスピーディ、シャワーは勢いがあり快適です。高圧力型の場合、加圧ポンプがなくても2階で快適に使用できます。また3階への給湯も手洗い、洗面程度であれば可能です。
ただし、標準圧力型よりも水の使用量が増えるため、お湯の使用量には注意が必要です。お湯切れの心配がないよう大きめのタンクにすることも多くなっています。
電気代で選ぶ
マイコン型
コンピュータによって通電を制御する機能がついたタイプです。電気代が安い深夜電力が、高くなる昼間の電力に切り替わる直前に沸きあがりや蓄熱が完了するように制御できます。
お湯の使用量、使用時間は各家庭によって異なりますが、沸きあげに必要な時間をコンピュータが自動的に計算し、開始時間をコントロールします。電気代を節約することができ、割引も適用されます。また昼間の電気を使うこともできます。
マイコンレス型
通電制御のためのマイコンを搭載しておらず、決まった時間になると自動的に沸き上げを開始するタイプです。精密なコンピュータを搭載していない分、本体価格がリーズナブルで、初期費用を抑えたい人におすすめです。
沸き上げを開始する時間が決まっているため、電気代が高い昼間に追加で沸き上げをすることはありません。湯切れにさえ気をつけていれば、経済的な電気温水器です。
タンクの容量とデザインを選ぶ
どれだけお湯を使うかによって選ぶべきタンクの大きさが変わり、家族の人数が多いほど大きい容量を選ぶことになります。目安としては1人なら150~200ℓ、2~3人であれば300~370ℓ、3~4人で370ℓ~460ℓ、4~5人で460~550ℓ、5人以上であれば550ℓ以上を選ぶのが無難です。
ただし来客が多いなど、お湯の使用人数が頻繁に増えるような家庭では、お湯切れを起こすこともあるため大きめのタンクを選んでおくほうが安心です。
タンクの形状
貯湯タンクはメーカーによって多少形状が異なりますが、主に角型と呼ばれるタイプと丸型と呼ばれるタイプの2種類となります。
角型タイプの貯湯タンクは長方形のデザインで、配管が中に収まっています。新しく導入するケースでは、角型が人気のようです。一方丸型は円筒のような形状で、配管が外に出ているタイプのタンクです。以前は丸型タイプが主流だったこともあり、買い替えの場合には丸型選ばれることが多いと言われています。理由は、既存の配管をそのまま生かすことができるからです。
なお、角型・丸型以外のタンクでは、省スペースタイプが多くみられます。