
基礎知識
電気式床暖房の種類
公開日:2019年01月27日

電気式床暖房には電気ヒーター式と温水循環式の2種類があります。電気ヒーター式は、ヒーターを内蔵したパネルに電気を通すことで放熱する仕組みです。導入コストは比較的抑えられますが、燃料費が温水循環式に比べると高くなります。一室のみの導入に適しています。
温水循環式では、電気などでつくったお湯を専用のマットに循環させることで床を暖めます。電気ヒーター式と比べ、電気代が抑えられるのが特徴です。このページでは電気を熱源とする床暖房をご紹介しますが、温水式床暖房にはガスや石油を熱源とするタイプの他、電気とガス、太陽熱と電気などのハイブリッド型も存在します。
電気ヒーター式の種類と特徴
電熱線ヒーター式床暖房
一般的に電気式床暖房といえば、電熱線ヒーター式床暖房のことをいいます。床下に熱源となる電熱線ヒーターを内蔵し、床面を暖める仕組みの床暖房です。下地とフローリングの間に電熱線パネルを入れるだけと施工が簡単で、わずかなスペースでも設置することができます。
電熱線ヒーター式床暖房の特徴
電熱線ヒーター式床暖房の特筆すべきメリットは、初期費用を抑えられることです。床下に熱源パネルを敷くだけ、という簡単な工事ですので施工費が安く、失敗することもありません。小スペースで、部分暖房も可能です。必要な部分だけ暖める設定により、無駄な電気を消費しないよう管理するが非常に簡単です。
しかし安い深夜電力をためて使うことはできないため、昼間の使用や広範囲での使用では電気代が高くなります。電気容量を上げる必要が出てくる場合もあり、その場合は電気の基本料金が上がります。ランニングコストは高めといえるでしょう。
こんな住宅には電熱線ヒーター式床暖房
使用時間をしっかり管理して、できる限り電気代が安い時間帯に利用することで光熱費を節約することができます。昼間はほとんど使わない部屋、特に決まった時間にしか使わない部屋への導入がおすすめの床暖房です。
PTCヒーター式床暖房
PTCヒーター式床暖房は、電気抵抗によって自動的に温度をコントロールできるPTCヒーターを採用している床暖房のことです。
電源を入れると電流が流れて温度が上昇しますが、温度が上がると抵抗値も上がり、上がりすぎた部分の発熱を抑制する仕組みです。温度センサーなどの制御装置が必要なく、自動的に適温をコントロールできるところ、部分的なコントロールができるところが特徴です。
PTCヒーター式床暖房の特徴
ヒーター自体に温度センサーの機能が備わっており、自動的に温度をコントロールするため、省エネでありながら均一で快適な暖房環境を整えられる点がメリットです。日当たりの良い場所では電流を少なくする、といった部分制御が可能。座布団などを置いても、こもり熱による過剰な温度上昇を防げるので安心です。
ただし床全面に電流を流すため立ち上がりが遅いといったデメリットがあります。また敷設率が通常50%ほどと低いため、広範囲の暖房には向きません。広範囲の床暖房では電気使用量が増える可能性がある上、電気結線部分やヒーターがない部分は暖かくならず、場所によって冷たく感じるというケースもあります。
こんな住宅にはPTCヒーター式床暖房
日当たりが極端に偏るような住宅の床暖房にはPTCヒーター式がおすすめ。日が当たる場所と当たらない場所で大きな温度差が生じることなく、また無駄な電力を消費せずに部屋を暖めることができます。
蓄熱式床暖房
蓄熱式床暖房とは、床下にヒーターと蓄熱材を敷き、深夜電力で蓄熱材を暖め、昼間は放熱により部屋を暖める方法の床暖房です。
蓄熱材を暖めるのは基本的に電気料金が安い深夜だけで、昼間は蓄熱材にためた熱を使うため、とても経済的です。スイッチを入れたときだけ一時的に暖めるのではなく、24時間暖かい空間をつくるところが大きな特徴です。広範囲であるほど効果を発揮します。
蓄熱式床暖房の特徴
蓄熱式床暖房は、場所や時間による差がなく、家の中すべてを低コストで1日中暖めてくれるところが大きなメリットです。安い電力と蓄熱材を合わせることで、ランニングコストを抑えて長時間暖房することが可能です。設備は長寿命であり、半永久的にメンテナンスフリーです。
しかし大掛かりな工事が必要であり、蓄熱材を敷く必要もあることから、初期費用が高額になるというデメリットもあります。また放熱を利用するため、細かい温度設定や一時的な使用はできず、数ヶ月単位の長期的な使い方が基本です。
こんな住宅には蓄熱式床暖房
誰かは必ず家にいる、あるいは在宅時間が長い住宅では蓄熱式床暖房がおすすめです。24時間いつでも快適な温度に保たれます。夜の電気を使って暖めるため、電気代もお得!
温水式床暖房の種類と特徴
ヒートポンプ式床暖房
ヒートポンプ床暖房とは、空気熱を利用するヒートポンプという技術を使って温水をつくる床暖房のことです。通常、床暖房専用のヒートポンプの設置が必要となります。温水でじんわりと床を暖めるため、立ち上がりはやや遅めです。ヒートポンプとエアコンを連動させ、立ち上がり時にエアコンで室内を暖める機能がついたエアコン連動型もあります。
ヒートポンプ式床暖房の特徴
ヒートポンプ床暖房は、空気熱を利用して効率的に電気をつくるヒートポンプを使うため、電気代が安く経済的です。熱源が電気ですので臭いや煙が出ることはなく、空気を汚しません。火を使わないため高齢者や小さいお子さんがいるご家庭でも安心です。
ただし他の床暖房に比べると初期費用がかかることや、専用のヒートポンプが必要で設置スペースを確保しなければならないなどのデメリットがあります。昼間に床暖房を使いすぎると湯切れの可能性が出てくることも弱点の1つです。
エコキュート床暖房
エコキュート床暖房とは、床暖房専用のヒートポンプを別途設置するのではなく、空気中の熱と深夜電力を利用して電気代を節約できるエコキュートを床暖房の温水づくりに利用する方法のことです。
給湯用につくられた温水を、床暖房の循環水に熱交換させて温水をつくります。使用できる面積に制限はあるものの、経済的で地球環境にも優しい床暖房です。
エコキュート床暖房の特徴
エコキュート床暖房は、空気の熱と安い深夜電力を使って沸かしたお湯を利用するため、とても経済的です。熱源が電気ですのでお湯を沸かす際に二酸化炭素が発生せず、地球環境に負荷をかけません。また灯油などのように給油をする必要がありません。
ただ、昼間にお湯や床暖房を使用しすぎるとタンクの中のお湯が足りなくなり電気代が高い昼間の沸き増しが必要になる、床暖房できる面積が限られている、といったデメリットがあります。エコキュートが故障すると暖房も給湯も同時に使えなくなることも弱点です。