
リフォームポイント
バリアフリーリフォームのメリット・デメリット
公開日:2016年09月14日

バリアフリーリフォームの5つのメリット
1.家庭内事故のリスクを軽減できる
高齢化が進むにつれ、家庭内事故による死亡者数が年々増加しています。その数は交通事故によって死亡する人の数よりも多い(約1.5倍)といわれ深刻です。この統計からも、高齢者にとって「自宅」は必ずしも安全な場所ではないことが分かります。
そして家庭内で起きる事故のおよそ7割が転倒事故です。階段や浴室、フローリングの床での転倒が特に多く、死亡事故につながるケースも少なくありません。高齢者にとってはちょっとした段差や手すりのない浴室は、非常に危険です。
バリアフリーリフォームをすることによって、こうした事故を未然に防ぐことができます。段差をなくせば躓きにくくなり、手すりがあれば万一転びそうになっても大きな怪我せずに済むこともあります。
2.心と身体の自立を助けてくれる
高齢者や障害者が動きやすい環境を整えられれば、自ら動こうという意思が働き、精神的にも自立できるようになります。これまでは家族に支えられながらでなければ歩けなかった廊下や、1人では昇降できなかった階段を、支えなく移動することができるようになれば、行動範囲が広がります。
動きたいと思っても、誰かの手を煩わせることを考えると、動くことを諦めてしまうことがあるでしょう。自分一人で動けるようになれば、気兼ねがなくなり、自信がつき、元気になり、外にも出てみようという気になるかもしれません。
介護される人に自信を取り戻させ、自立心を向上させる手助けとなります。
3.介助者の負担を減らせる
バリアフリーリフォームによって要介護者の自立度が高まれば、介護者にとっても負担が減ります。
これまでは段差があることでトイレに行くにも車椅子の移動を手伝わなければならなかった障害者、手すりがない階段を一人で昇降できなかった高齢者が、介護無しで動けるようになる、あるいは介護の度合が少なくて済むようになれば、介護者の身体的な負担はもちろん、精神的にも楽になります。
しっかり介護しなければいけない、目を離すと心配、と常に緊張していた気持ちから少しでも解放されることで、要介護者との関係もそれまで以上に良好になり、家の中が明るい雰囲気になります。
4.子供やペットにとっても快適で安全な環境がつくれる
家の中の段差や壁を取り払い、手すりなどをつけて安全な住まいとするバリアフリーリフォームは、高齢者や障害者だけでなく、子供やペットにとっても安全で快適な空間となります。
何かと走り回ることが多い子供やペットにとって、やはり段差や壁は躓いたりぶつかったりする危険な箇所です。段差と壁をなくせば、ペットは広々とした空間を自由に走り回ることができ、ストレスも軽減されます。比例して怪我の危険も少なくなります。
またフローリングを滑りにくい床材にすることで、子供やペットにとっても滑りにくく安全な環境になります。妊婦の方にも適した住まいです。
5.国や地方自治体から援助が受けられる
バリアフリーリフォームは、条件を満たせば介護保険から助成金が支給されます。家族の中に高齢者や障害者がいる家庭では、わずかな自己負担で家の中を安全で快適な環境へと改修できる可能性があります。
条件とは、まず家族の中に介護認定されている要介護者がいることです。要支援、要介護と認定されている人が実際に住んでおり、住民票の住所と一致している住宅のリフォームであれば、工事費用20万円を限度として工事費の9割が支給されます。支給される助成金は最大で18万円です。
対象となる工事には廊下や階段、浴室などへの手すりの取り付け、スロープの設置、滑りにくい床材への変更、とびらの変更などがあります。
バリアフリーリフォームの3つのデメリット
1.必要なリフォームの見極めが難しい
ひとくちにバリアフリーリフォームと言っても、必要な工事は介護される人の状態、介護する人の人数や体格などによって異なります。そしてこうした状況は刻一刻と変わります。リフォームをした当時は一人で入浴できていたとしても、数年後には介護無しでは入浴できなくなっている可能性があります。介護する人が変わったり、介護できる人数に増減があったりといったことも珍しくありません。
状況が変われば必要なリフォームも変わるため、将来のことを正確に見通し、あらかじめリフォームをしておくのは困難です。バリアフリーリフォームをしたから安心、ということではなく、状況に応じて柔軟に対応していくことが重要となります。
一度に全面バリアフリーリフォームを行うことも悪くはありませんが、設置した設備が将来必ず使われるとは限りません。そこで現状で必要なリフォームのみ施し、その他は別のリフォームのタイミングでバリアフリーを意識した改修を行うという方法がおすすめです。
たとえばすべりにくい素材を選んだり、後々手すりが付けられるよう壁の補強を行ったりと下準備をしておけば、いざという時にすぐ対応できます。老朽化などによりリフォームを行う場合には、そのついでにバリアフリー化について考えてみましょう。
2.多額の費用がかかる
バリアフリーリフォームは、決して安い費用ではできません。部分的に手すりを取り付けるだけ、というなら別ですが、家中を安全で快適に暮らせる空間にするとなると、構造的な改修が欠かせません。
ましてや介護される人だけでなく、家族すべてが快適に暮らせるようなリフォームとなると、階段や廊下の幅を広げる、浴室を大きくする、というような大掛かりな改修が必要となります。こういった構造が絡む工事には、どうしても多額の費用が必要です。
3.バリアフリーを必要としない人には邪魔になることも
バリアフリーリフォームは、必要な人にとっては安全で快適ですが、そうでない人にとっては邪魔になるばかりかかえって使い勝手が悪くなる可能性があります。
面積を広げる工事をせずに狭いトイレに手すりを取り付ければ、手すりを使わない人にとっては邪魔であり、立ち座りの動作がしにくくなることがあります。またこれまでなかった位置に手すりをつけることでぶつけてしまう、階段に昇降機をつける事で階段幅が狭くなって階段が使いにくくなるということも考えられます。