
基礎知識
バリアフリーリフォームで導入する昇降機の種類
公開日:2016年09月15日

階段昇降機とは?
階段昇降機とは、足を使わずに階段を昇降できるよう設計された機器のことです。いす式と、車いす用があります。 住宅以外にも多くの公共施設に導入され、オフィスや寺院でも見かけるようになりました。高齢者や障害者が安心して階段の上り降りができるよう、あらゆる場面で用いられています。
階段昇降機は建物の大幅な改修の必要はなく、既存の階段にレールを取り付けるなどの簡単な工事で取り付けることができます。ホームエレベーターの設置に比べると安価で、家の中だけでなく外階段に取り付けることも可能です。
しかし勾配が急な階段では、昇降機でおりる時に恐怖を感じることがあります。また、いすの部分はコンパクトにできているため多少窮屈で、圧迫感を覚えることもあるようです。
いす式階段昇降機
いす式階段昇降機とは、自力で階段を昇り降りすることが困難な人が、椅子に座ったままで階段を昇降できるよう、階段に取り付ける福祉機器です。階段の補強工事などは不要で、椅子を動かすための走行レールと昇降機を設置するだけで、基本的にはどのような階段にも取り付けることができます。
操作は簡単で、座る人が一人で使用することができますが、介護が必要な人のためのさまざまなオプションも用意されています。利用者に合った機能を追加すれば、利用者と介助者の両方の負担を減らせて便利です。
車いす用階段昇降機
車椅子用階段昇降機とは、車椅子に乗ったままでも階段を昇降できるように設計された福祉機器です。走行装置をフレームの下部に設置し、階段の昇降は介助者などの第三者が後方から操作します。主にエレベーターが設置されていない公共施設などで使用されている設備です。
レールで移動するタイプと、フレーム下部から突出したタイヤやバーによって昇降するリフトアップ式があります。リフトアップ式はレール式よりも安価ですが、操作がやや複雑なため、横転や転落がないよう注意が必要です。
階段解消機とは?
段差解消機とは、上下に動いて段差を移動できるリフトのことです。障害のある人でも楽に段差を移動することができます。
主に電力で動きますが、手動のものもあります。電動のタイプは、スイッチを入れられる程度に上半身を動かせる人であれば一人で乗ることができます。一方手動のタイプはハンドルや足踏みペダルで昇降するため、介助する人が必要です。
段差解消機を設置する大きなメリットは、敷地面積の都合でスロープが設置できないような段差でも場所を取ることなく設置できることです。設置にはある程度の費用がかかりますが、段差そのものをなくすような大掛かりな改修に比べれば、比較的安価で済ませることができます。
据え置き式
据え置き式は、段差の下側床面の上に置いて利用する段差解消機です。下りた状態でも床面からテーブル面までの高さができるため、乗降する際はスロープを利用することになります。駆動部や制御部はテーブルの片側に収納します。
埋め込み式
埋め込み式は、下がりきったテーブル面が床面とフラットになるよう、床に埋め込むタイプの段差解消機です。テーブル面と床面を同じ素材に統一することで、違和感をなくすこともできます。駆動部や制御部はテーブル下に収納したり、別の場所に設置したりします。
スタンディングリフト
スタンディングリフトとは、テーブル面に立って昇降するタイプの段差解消機です。車椅子までは必要ないが、足腰が弱いなどで段差の昇降が困難な人が利用します。利用者だけが乗ることを前提としているため、テーブル面は比較的コンパクトです。
テーブルスライド式
テーブルスライド式は、階段のように複数段の段差を昇降するときに利用する段差解消機です。階段は撤去できないが、段差解消機を設置したいというケースで用いられます。段差解消機が上昇した高さと、階段の一番上の高さが一致するように、階段側からテーブルがスライドするような仕組みになっています。車椅子での乗降も容易です。
ホームエレベーターとは?

ホームエレベーターとは、二階建て以上の個人住宅に設置するエレベーターのことです。
足腰が弱くなっている高齢者や車椅子の人にとって、階段での昇降は困難で危険を伴います。一階だけで不自由なく生活できれば問題ないのですが、上階への登り降りが必要な家庭ではホームエレベーターの設置が有効です。二階以上への行き来が楽になり、階段での転倒、転落事故を防止することができます。特に敷地面積が狭い都心の個人住宅では、導入を検討する人が多いようです。
ホームエレベーターを設置するメリットは、車椅子の人や高齢者が簡単に2階、3階へと行き来できるようになるだけでなく、介護が必要でない人も階段を使う頻度が減ることによって、転落や転倒事故を防ぐことができることです。一時的に骨折などで階段の昇降が困難になった人がいても、ホームエレベーターがあれば安心です。大きな荷物の搬入、搬出の際にも役立ちます。
しかし、デメリットがないわけではありません。高額な導入費用に加え、メンテナンスや電気代などの維持費がかかります。またホームエレベーターを設置することによって居室スペースが小さくなることや、設置にあたって改修工事が必要になる場合があることもデメリットといえるでしょう。
ロープ式エレベーター
ロープ式エレベーターとは、ロープでかごを吊り上げ、巻き上げ機を使って上下に動かす仕組みのエレベーターです。以前はおもりがない巻銅式でしたが、現在はかごとおもりをワイヤーでつないで動かすトラクション式が主流です。
この方式ではおもりを使うため、モーターへの負荷が少なくなり、電気代が安く駆動音も少ないといったメリットがあります。速度が速い、油の臭いがしないなどほかにもメリットが多いため、多くのエレベーターでロープ式が選ばれています。
油圧式エレベーター
油圧式エレベーターとは、電動ポンプで油圧を制御しながらその圧力でかごを動かす仕組みのエレベーターです。プランジャーにかごを直結して昇降させる直接式、プランジャーの動きを鎖などで間接的にかごに伝えて昇降させる間接式、アームと油圧ジャッキによってかごを昇降させるパンタグラフ式があります。
乗り心地はふわりとしていて快適であり、大きな力が出せるという利点があります。速さを求めないホームエレベーターや、工場などで採用されることがあります。