ふすま張替えのノウハウ

ふすま - 基礎知識

ふすまを知る

ふすまとは

ふすまとは、和風住宅の間仕切りとして古くから使われてきた建具のことです。
元々は、広い空間を臨時的に仕切るために作られた建具でしたが、次第に部屋と部屋を区切るようになり、その間仕切りとして使われるようになりました。

かつては、部屋を仕切るものはすべて障子と呼ばれており、現在のふすまはふすま障子などと呼ばれていましたが、その後普及するに伴い、障子と区別されるようになりました。

現在も和室の押入れや隣り合った和室の間仕切りとして多く使われているのには、様々な機能も兼ね備えていることや、仕切りを取り外し、空間を自由に変えられることなどから日本で長くふすまが採用されていると考えられます。

ふすまの構成

ふすまは「ふすま芯」、「上貼り」、「引手」、「縁」の4つの部位から構成されています。

ふすま芯 ふすまを形成し、十分な強度を持たせる骨組みの部分にあたります。
上貼り ふすま芯の上に張るふすま紙のことを指し、多彩な色・柄を使い分けることで部屋の雰囲気に合わせることが可能です。
引手 ふすまの開け閉めをする役割を持ち、丸形以外にも菱形や木瓜、座物などデザインや形も多彩となっています。
ふすまの外周を囲い耐久性・強度を上げる役割が主となっていますが、色や素材にこだわることで部屋をスッキリと見せたり、ふすまに存在感を持たせたりと住まいのアクセント付けにも有効です。

引手

引手のデザイン

引き戸形式のふすまを開け閉めするのに必要な部品が引手です。ただふすまの一部というわけでもなく、アクセントとしてふすま全体のイメージを構成する役割も担っています。
引手のデザインはナチュラルなものからモダンな種類まで幅広くあります。形状も丸型や楕円形、角形と呼ばれる四角形、菱形、木瓜、角切りなど様々です。
また、ふすまを開ける為に手をかける部分の周囲を、「座」と呼ばれる部品で囲んだデザインもあり、その形状も丸座や角座、花座、透かし入りなど多岐にわたっています。

引手の材質

引手の材質は木や金属が主流で、他に陶器やプラスチック製の種類があります。
木の引手は黒檀や竹の木が用いられ、生地と呼ばれる木そのままの材質の種類や上から漆を塗布した塗り物という種類に細分化されます。

金属の場合は金や銀、赤銅、黄銅、洋白、鉄、そして真鍮など多くの材質が用いられています。仕上げの方法にも、くすべや煮込み、錆づけ、漆塗り、メッキ仕上げといった手法が存在します。
機械によって作られることが多く、専門の職人が手作りした引手は高級品として扱われます。

縁とは、ふすまの外周を囲い強度を保つ機能的な役割や、柄を引き立たせ美しく見せるデザイン面での役割を持っています。
縁の太さはふすまによって異なりますが、特に細縁が多用されています。

また、材質の多くが木製であり、その特徴によって塗り縁と生地縁(木地縁)に分かれます。
塗り縁は汚れがつきにくく耐久性に優れた縁です。下地はスプルースや米杉、檜などの木材を使用し、塗料はカシュー塗りや漆、ラッカーといった塗料が使われます。

生地縁は種類によって日焼けや汚れを防ぐ為にワックスを塗布する程度で、基本的には塗料を用いらず、下地の木材のみで製造されます。用いる木材はスプルースなど塗り縁にも用いられる素材の他、赤味杉柾、たも、栗などが使われています。

ふすまの呼び方

ふすまは使い方や種類で呼び方が変わります。「用途」「開閉方法」「ふすまのサイズや使われる枚数」によって、名称が異なります。

用途による名称

間仕切り 部屋と部屋を仕切るために設けられるふすまです。
両面が部屋に面しており上貼りが貼られていることから「両面」や「両面張り」と呼ばれることもあります。
間仕切り・
戸ふすま(板戸)
和室と洋室の仕切りとして用いられます。
和室に面する側にはふすま紙、洋室に面する側にはクロスが貼られているため表と裏で見た目が異なります。張替え時は下地の処理が必要になるため、一般的なふすまより料金が割高になってしまいます。
天袋・地袋 床の間の脇床の上下に取り付けられる小さなふすまのことです。上段を天袋、下段を地袋と呼び、縁には細縁を用いるのが一般的です。

ふすまの開閉方法による名称

引き 1本の溝に1本のふすまが入っているものを一本引きや片引きと言い、2本入っているものを引き分けと呼びます。また、2本以上の溝にふすまを入れることができるタイプは引き違いと言います。
開き ふすまの片側に丁番を取り付けて、反対側に取り付けた取っ手を押し引きすることで開閉します。
ふすまが1枚のものを片開き、2枚のものを両開き、2枚~4枚のふすまが折りたたんで開くものを観音開きと呼びます。

ふすまのサイズや使われる枚数による名称

ふすまは柱と柱の間の幅に入る枚数によって名称が異なります。

2枚立 2枚のふすまで構成されるものを2枚立と呼び、1間の幅に入るものを間中(まなか)と言います。
4枚立 ふすまが4枚になると4枚立と呼ばれ、内寸が9尺の場合は「九四(きゅうし)」や「9尺4枚立」、2間だと「2間4枚立」「二間」、2間半だと「2間半4枚立」「二間半」、3間だと「3間4枚立」「三間」と呼ばれます。

ふすまがもつ効果とは

ふすまは簡単に取り外しができますので、必要に応じて部屋の広さを変えられる、という利点があります。壁やドアにはない機能です。普段は隣の部屋との間仕切りとして使い、部屋を広く使いたいときには取り外して大部屋にすると間取りの自由度が高くなります。

また、ふすまには調湿機能があります。内部には空気層があり、湿気の多い時はそこへ水分をためこみ、空気が乾燥するとためこんだ水分を放出し、湿度を一定に保ちます。押入れの建具として使えば、蒸れやすい押入れの中の湿気対策にもなります。
さらに和ふすまの場合、表のふすま紙だけを張りかえることができますので、色柄をガラリとかえて部屋の雰囲気を一新するなど、インテリアとしても楽しむことができます。