
ふすま - 基礎知識
ふすま紙の種類
公開日:2015年08月13日
ふすま紙は大きく、「鳥の子紙」と「織物」に分類されます。
分類されたそれぞれのふすま紙の中でもさらに、ランクがあり分けられます。また、機能性があるふすまも存在するのでご紹介します。
鳥の子紙(和紙ふすま紙)
本鳥の子 | 最も高級なふすま紙で、意匠、耐久性、加工性いずれも優れており、張替え時期も5年から10年と最も長い種類です。使用される紙には雁皮や三椏、パルプ等がありますが、どれを使うかによって更に特号紙から4号紙までの5つのランクに分かれます。ランクが高いほど紙の質は良く高価になりますが、下地骨や下張りには配慮が必要となります。 |
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鳥の子 | 本鳥の子に比べると張替え年数が3年から5年と、耐久面では劣りますが上級品に位置するふすま紙で、材料となる紙も本鳥の子と同様です。手作業で作る本鳥の子に対して、鳥の子は機械で漉きますがその仕上がりは手漉きに近く、紙の風合いまで作りだすことが可能です。 本鳥抄紙技法と組み合わせることで、色の種類も多くあることから好まれています。 |
上新鳥の子 | 鳥の子の普及品で、同様に手作業ではなく機械漉きで作成されます。後から模様を付けられる為に、種類が豊富な点や仕上がりが均一で低価格という特徴があります。一般の住宅やマンション等でよく見られるふすま紙です。 |
新鳥の子 | グレードは他の種類に劣りますが加工性に優れ、広く使用されています。紙は抄紙機で漉いた再生紙を用いており、上新鳥の子と同様に機械によって作られています。そのため安価で入手可能であること、施工しやすい点が特徴です。しかし破れやすく、再生紙を利用していることから、張替えを2、3年で行わなければならず、張った際に下地が透けてしまう為に紙裏を用意する必要があります。 |
織物ふすま紙
上級織物 | 高級品のグレードに位置する織物で、縦糸、横糸いずれも糸目の詰んだ様式をしており、ドビー織り等の技法で作られます。縦糸にレーヨン糸、横糸にはスラブ糸やネップ糸、絹糸等異なる種類を使います。絵柄も丁寧に一枚一枚、手加工され、見た目や耐久期間も優秀です。 |
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中級織物 | 主にレーヨン糸が使用されており、図柄や絵柄を機械または手加工で作られたごく一般的な織物系ふすま紙です。手を出しやすい価格でありながら、上品な絵柄など種類が豊富な点が特徴です。 |
普及品織物 | 耐久は中級織物と同等の製品が多く、安価で種類も豊富なことから選びやすいことが特徴です。 材料は主にレーヨン糸やマニラ麻糸で織込み作られ、印刷機等で絵柄が加工されています。 |
機能性があるふすま紙の紹介
汚れに強いふすま紙
表面を樹脂素材などで加工が施されたふすま紙は、水や汚れに強く、拭くだけで汚れが落ちます。通気性も劣ることなく長持ちする為、経済的にも効果があります。またオレフィン素材を使ったふすま紙は表面強度が高く、汚れにはもちろん、傷がつきにくい、破れにくいといった利点があります。また塩化ビニールが入っていないため、火災が起きても黒煙が出ないことから環境にも配慮した機能のふすま紙です。
防炎加工のふすま紙
防炎ふすま紙は水酸化アルミニウムが主成分であり、火災時に脱水分解する事によって熱を吸収して防ぎます。また無毒性で無公害、低発煙の機能も備わっており、防災設備が必要な公共施設や宿泊施設等で用いられます。最近では一般住宅でも多く、張替え時などに検討してみるのもいいでしょう。
消臭機能を持つふすま紙

電気などを一切使わずに、空間の消臭をしてくれるふすま紙です。紙の表面に付いた細菌やカビが繁殖しないように抑える効果を持っています。タバコやペットの臭い、生活臭、ホルムアルデヒドを防ぎ、住人がシックハウス症候群になることも回避できます。また帆立貝の殻や珪藻土を材料に用いた種類や、トリプルフレッシュ加工が施された製品などもあります。
空気を洗うふすま紙
光触媒紙を用いたふすま紙は、光触媒効果によって部屋の空気を綺麗にすることが可能で、空気中の有害物質を半永久的に除去し続けてくれます。和紙には吸着性能が備わっているため、光触媒効果と組み合わせる事で分解すべき汚れや細菌などがより集めやすくなります。空気を洗うことで、いつまでも美しく空間を保つ事ができます。