ふすま張替えのノウハウ

ふすま - 基礎知識

ふすまの張り方

ふすまの張り方は大きく分けて下張りと上張りがあります。下張りは襖を丈夫に長持ちさせるために重要です。下張りには6種類の張り方があり、使用する紙の種類も違うのでご紹介します。

下張りと上張り

下張り

ふすま紙のそりやねじれを防ぎ、表面をふっくらとした質感に見せるために重ね貼りをします。そうすることで、襖を丈夫にできます。襖が乾いてから重ね貼りをするため、回数が増えるほど手間と時間がかかり高価になります。6種類ある下張りを組み合わせて何篇張りになるかが決まります。

①骨しばり ふすまの組子骨を歪まないよう固定するために一番初めに行われる工程です。
手透き和紙、桑チリ、茶チリなど繊維の強度に優れた和紙を糊で貼り付けます。
②打ち付け張り 別名「骨しばり押張り」とも呼ばれ、骨しばりの補強だけでなく表面から骨が透けて見えるのを防ぐために行います。使う紙は、透かし止め紙を使用します。全体を糊で貼り付けます。
③蓑張り
(重ね貼り)
框に糊付けし、和紙をずらしながら何層も重ねて蓑のように貼ることで弾力性を高めます。
手漉き和紙・茶チリなどの薄手の紙を使用します。
④ベタ張り
(蓑押さえ)
蓑張りをしっかり押さえつけるために、紙の裏全面に糊を付けて貼ることです。
反古紙、細川紙などの手漉き和紙を使用します。
⑤袋張り
(浮け張り)
半紙や薄手の手漉き和紙などの周囲に細く糊付けし、袋状に貼ることです。袋状になることで、ふっくらとした仕上がりになります。
⑥清張り 上張りに薄い紙を使用した場合にのみ行います。紙の全面に薄く糊を付けてふすまの全体に貼り付けます。

上張り

⑦上張り ふすまの表紙となるふすま紙(上張り紙)を貼ることです。
主に紙・繊維・ビニールを使用しますが、材質によって糊の濃度を加減する必要があるため、細かい配慮と高い技術力を要する作業です。

「和ふすま」と「量産ふすま」では張り方が違う

和ふすま

ふすまの種類によってふすま紙の張り方が異なりますが、和ふすまは全て「浮かし張り」になります。
薄いウケ紙の周辺にだけ糊を付けて太鼓のように張る浮かし張りは、重ね張りの回数が多くなればなるほど高級なふすま施工になります。

張替える際は引手や縁を本体から外してから上張りを剥がし、新たなふすま紙を貼ります。
専用の糊を用いて浮かし張りされているため、無理なくふすま紙を剥がすことができます。張替えのタイミングで縁についた傷の修繕や取替えも可能なので、同じふすまを何度でも再利用することができるのが特徴です。
また、下地とふすま紙の間にある空洞が湿度を調整する役割もあるので、室内を快適に保つこともできます。

量産ふすま

主に工場で生産される量産ふすまは「ベタ張り」が基本です。
ベタ張りの場合、古いふすま紙は剥がさずに、敗れた箇所やへこみなどを補修してから裏面全体に糊付けしたふすま紙を重ねて貼り付けます。

縁はそのままで引き手だけを取り外せば張替え作業が行えるので、比較的簡単に済ますことができます。
ただし、新しく張替えることができるのは1~2回が限度です。またふすま紙の全体に糊を付けているので、ふすまの反りやシミの原因になることもありますので注意が必要です。