外壁塗装・防水工事リフォームのノウハウ

リフォームポイント

外壁の塗り替えのタイミングになる劣化や症状

外壁のひび割れ

外壁塗装とは、単に外壁の色付けだけを指すものではありません。もちろん建物の外観をより良く見せることも目的の一つですが、デザイン以上に重要なのは外壁の耐久力を上げることです。

外壁は風雨や紫外線、気温の変化、経年によって徐々に劣化し、それに伴い「家そのものを守る」という本来の機能も低下していきます。外壁が担う役割をより長持ちさせる為には塗装が必要です。塗装でできる1mmにも満たない塗膜が、自然環境によるダメージから外壁を守っています。

ただし塗装には寿命があり、定期的な塗り替えが必要です。特に外壁塗装は厳しい環境下にあるために劣化が早く、必然的にメンテナンスの回数は多くなります。塗装の劣化を放置すると住宅内部に重大な問題を引き起こす原因となるため、メンテナンスを怠ることはできません。

逆に言えば、外壁塗装がしっかり保護機能を発揮してくれれば、家そのものの寿命を延ばすことができます。塗装がすべてではありませんが、それほど塗装には高い保護能力があるということです。

自然環境はもとより、塗料の種類によっても塗装の寿命が変わるため、一概に「何年に1度塗り替えればいい」と決めることはできません。塗装の劣化は見た目にも表れることが多いため、こまめに点検することをおすすめします。

色あせや汚れがひどい

壁が色あせる一番の原因は日光です。正確には紫外線と熱が塗膜を劣化させ、変色や退色を引き起こします。汚れは雨によって付着する場合が多いのですが、工場や車の多い道に面していれば、そこから発せられる排気ガスや煙なども原因になります。こういった汚れは油性であるため、落としにくい点が厄介です。

外壁の色あせや汚れは、見た目が悪くなるだけではありません。劣化した部分から雨水が染み込みやすくなります。一度外壁に染み込んだ水分はなかなか乾きません。放置すれば木の部分は腐敗が進行し、シロアリが住み着いてしまう可能性もあります。

カビ・コケ・藻がひどい

カビやコケ、藻は比較的年月の経った家で見かけるイメージがありますが、実際には条件さえ揃えば新築してから3年程の家でも発生します。

原因としてまず挙げられるのは湿気です。日当たりが悪く影になることの多い場所でもカビやコケ、藻は多く発生します。建物周辺の土壌にコケなどが繁殖している場合、建物へ繁殖が広がる可能性も。

また、塗膜の劣化も主な原因の一つです。塗膜には防水機能を備えているものが多く、劣化が進むと外壁の防水性も失われます。結果として余分な湿気が溜まり、カビやコケ、藻の発生を促します。一度発生するとさらに湿気を集め、塗膜をより劣化させてしまうという悪循環が生まれます。こうなると、単に塗り替えるだけではすぐに再発してしまう恐れがありますので注意が必要です。

クラック・ヘアクラック

外壁に発生するひび割れのことをクラックと呼びます。クラックには乾燥クラック、構造クラック、縁切れによるクラックとヘアクラックがあります。

ヘアクラックとは、塗膜に発生するひび割れのことです。髪の毛のような細いひび割れを形作ることからその名が付きました。原因は塗膜の劣化、塗装の手抜き、塗膜の上に硬質塗膜を塗装したことなどが考えられます。

乾燥クラックは外壁材そのものに発生するクラックです。主にモルタルなどで発生します。乾燥の工程において水分が蒸発し、外壁材が収縮することで起こります。

構造クラックも、建物に揺れや歪みが生じると発生する外壁材のひび割れです。建物自体に欠陥がある場合や、極端な温度変化が繰り返し起こる環境にある建物で起こりやすい症状です。また、地震などによる建物の不同沈下でも起こります。

縁切れによるクラックも乾燥クラック同様、モルタルなどの外壁材に発生しやすいひび割れです。通常、モルタルの外壁は1面を1回で塗装しなければいけませんが、数回に分けて塗装したり、部分的に塗装したりするとクラックを起こすことがあります。

塗膜の膨れや剥がれ

外壁の塗膜が膨れてしまう主な原因は、クラックからの水の浸入です。また、外壁面や塗膜に溜まった熱が原因で発生することもあります。特に色の濃い外壁や弾性塗材を施した外壁は、蓄熱しやすい性質があり発生率が高いと言われています。塗装の剥がれについては、主に塗膜の粘着力低下が原因です。

塗膜の膨れや剥がれは、どちらも塗装の耐久年数を超え塗膜が劣化したことで起こります。特に剥がれは見た目の悪さもさることながら、適切な塗り替え時期を大きく超え、外壁そのものにかなりの負担をかけていることが予想されます。早急に塗り替えを検討した方がいいでしょう。

塗膜の寿命以外で膨れや剥がれが生じるケースとしては、まず塗装時の下地処理の問題が挙げられます。これは清掃が行き届かないうちに塗装作業を始めてしてしまう、外壁材との相性が良くない塗料を選んでしまう、必要な工程を省いてしまうなど、施工業者側の知識不足や手抜きが原因です。

また、建物の構造によっても膨れや剥がれを引き起こします。たとえば、直貼りのサイディング外壁では内部結露が発生することがあり、その影響で塗膜が水膨れのような状態になるケースが見受けられます。塗膜は外側からの湿気には強いものの、内側からの湿気には対応できません。その他、寒冷地での凍結による影響など、地域の違いでも発生率が変わります。

チョーキング

チョーキングは白亜化現象とも呼ばれており、塗膜表面がチョークの様に粉状になる現象です。原因は紫外線や熱、水分、風などさまざまで、塗装した表面の樹脂が劣化することで起こります。経年によりいずれは発生する現象ですが、自然環境が厳しい立地の建物では、塗膜の劣化が非常に早いため特に耐候性の高い塗料が求められます。

チョーキングは、外壁に触れると白い粉のような物が手に付着しますので、簡単に塗装の劣化状況を確認できます。少しだけ手につく程度なら、塗り替えを検討し始める時期です。白い粉がたっぷりついてしまう場合には、早急に塗り替えましょう。場合によっては大掛かりな工事が必要になる可能性があります。できれば、こうなる前に塗り替えたいものです。

また、チョーキング発生時は防水性が失われています。雨が降った時に壁の色が変わるようであれば、チョーキング現象が起こっていると考えてよいでしょう。

チョーキングは、専門家でなくても見た目に分かりやすい現象です。塗り替え時期の目安として参考になりますので、是非こまめにチェックしてください。一番日当たりのよい部分をチェックすると効果的です。

エフロエッセンス

エフロエッセンスとは白華(はっか)と呼ばれる、白い生成物が外壁などに浮き出る現象です。白華現象とも呼ばれ、タイル貼り目地やモルタルなどで起こります。白華が生成する原因は2通りあります。

一つは、外壁材などに元々含まれている水分が石灰などの可溶性物質と溶け合い、それが表面へ染み出てくる現象です。染み出た生成物は水が蒸発すると白く固まります。

もう一方は、雨水など外部から浸入した水が内部を移動する際に可溶性物質と溶け合い、それが表面に滲み出る現象です。表面に出た可溶性物質がさらに二酸化炭素と反応することで、綿やつららの様な形状に固まります。

エフロエッセンスは、気温が低い秋から冬にかけて発生しやすいと言われています。温度が低いと可溶性物質が水に溶けやすいためです。また、乾いたり濡れたりを繰り返すような箇所での発生も多くみられます。水分や可溶性物質が染み出る、あるいは外部の水が浸食する原因は酸性雨とも言われますが、考えられる原因はさまざまで特定するのは難しいようです。

エフロエッセンス自体は、建物に悪影響を及ぼす物ではありませんが、美観を大きく損ないます。軽度であれば、クエン酸などで落とすことは可能ですが、根本を解決しない限り繰り返し発生します。また、クラックの付近にエフロエッセンスが発生するケースが多く、それを通じて内部の腐食が起こる可能性もあります。

シーリングの痩せやひび割れ

シーリングとは、サイディング壁・タイル壁・ALC壁の外壁材同士の繋ぎ目や、サッシまわり、ドアのまわりの繋ぎ目などに埋め込まれるゴム状の物です。コーキングとも呼ばれています。

新築の建物では基本的にシーリング部分の塗装を行わない為、紫外線が直に当たって劣化します。シーリングが痩せたりひび割れを起こしたりした直後は、壁の内部にまで悪影響が及ぶことはありませんが、それを長い間放置しておくと漏水や木製部分の腐敗、外壁の変形などを招く可能性が出てきます。

シーリングの劣化を発見したら、塗装など他の部分にも劣化が見られないか点検するのもよいでしょう。塗り替えを検討するにはよいタイミングと言えます。

白サビ

白サビは主に金属系サイディングに発生します。一見埃と見分けが付かない為、気づかずに放置してしまう事もあるので注意が必要です。泡粒状に発生し、触れるとざらついて凹凸している点が埃とは異なり、そこが見分けるポイントとなります。

白サビを放置し続けると、やがて赤サビが発生し始めます。条件にもよりますが、白サビから赤サビへ変化するのは概ね3年から5年の間と言われ、この間が塗り替えの目安です。

白サビは外壁材の保護層が腐食することで発生し、塗膜を破って表面化するサビです。一方、赤サビは保護層より更に内側にある鉄板に発生するサビです。白サビが発生し続けると保護層が劣化、本来の役割を果たせません。保護層を失った外壁材には赤サビが発生し外壁そのものを脆くさせてしまいます。白サビを見つけたら、塗り替えの検討を始めましょう。

外壁材の欠損・爆裂

外壁材の欠損は外部からの衝撃で発生します。また、外壁が欠損して内部が剥き出しになると鉄筋が錆びて腐食膨張し、その周囲にあるモルタルが押し上げられて破損を招いてしまう現象を爆裂と呼びます。特に、鉄筋のまわりのコンクリート壁の厚さ(かぶり)が薄い(または不十分な)箇所で起こりやすいと言われています。

これらの現象が起きている場合は外壁の剥落や欠落に繋がる恐れもあり、早急に塗り替えをしなければなりません。鉄筋の腐食部分にあるサビを除去し、防サビ剤を塗布、コンクリートの中性化を抑制した上で、セメントで埋め直すという工程です。しっかり補修を行った上での塗り替えとなります。中には爆裂を軽減させる働きを持つ塗料もありますので、外壁の欠損を防ぎたい場合には選択肢の一つとしてお考えください。