
基礎知識
外壁塗装の工程・工期と工法の種類をご紹介
公開日:2019年07月18日
外壁塗装の工程・工期について

外壁塗装にかかる日数は、7日から14日間程度が一般的です。工期は、塗装面積、塗装方法、職人の数によって日数が変わります。また、業者ごとの考え方も多少影響しますので、一概に何日間ならいい、何日間なら悪いとは言い切れないのが難しいところです。
ただし、外壁塗装を行うにはたくさんの工程を踏む必要があり、適切な方法で塗装を完了させるには相応の日数が必要です。塗装作業を始める為の準備の段階で、数日を費やします。
では、外壁塗装にはどのような作業工程が必要か、以下にご紹介しましょう。
足場の組み立て
まずは足場を組み立てます。職人や通行人の安全のため丁寧に組む必要があります。足場にはいくつか種類があり、外壁塗装では「単管足場」「単管ブラケット足場」「クサビ足場」が使われます。足場を組むスペースが狭い場合には「単管足場」、職人の安全と塗装の仕上がりを最優先にする場合は「クサビ足場」が選ばれるようです。
足場が組み終わったら、飛散を防止するためのシートで周囲を囲み、近隣への影響を防ぎます。
高圧洗浄
外壁に付着している汚れやカビ等を強力なジェット水流で洗い流します。この工程で汚れをしっかり落としておかないと、塗装を施しても外壁に密着せず、剥がれなどのトラブルを引き起こします。塗装の持ちを良くする為にも、高圧洗浄は重要です。
また、外壁だけでなく、網戸やサッシ、玄関ドアなども洗浄の対象です。普段なかなかお掃除できない部分の汚れも、徹底的に洗い流すことができます。
養生
養生とは、塗料が外壁以外の部分に付かないように保護する作業のことです。業者によっては、下地処理や調整の後に行う場合があります。
ビニールや布を用いて、家屋の塗装しない部分や車、庭の植物など、付近にある物を塗料の飛び散りから防御します。マスカーと呼ばれる養生テープなど、専用の道具を塗装箇所に応じて使い分けます。
下地処理
次に塗る前の下準備をします。モルタル壁やサイディング壁の目地に出来てしまったひび割れを補修する、剥れかけの塗装や錆を取り除くといった作業です。また高圧洗浄で取り除けなかった埃などの掃除もここで行います。
木目の多い家屋の場合は、壁内部に問題がないか確認し、必要な修理を済ませてからの塗装になります。見た目にはわかりませんが、この工程がしっかりできてないと塗装の寿命に大きく影響します。
下塗り
塗装の始めは下塗りです。これはメインとなる塗料を、外壁に確実に接着させる目的で行います。目視では確認できない細かいひび割れの補修の意味も兼ねており、外壁材に応じて適切な塗料も変わります。外壁以外の部分に関しても、たとえば木部には収縮に対応できる塗料が、鉄部にはサビ止めの塗料が使われます。
また下塗り塗料は、仕上げ用塗料と違う色を使うのが一般的です。色の違いにより「下塗りがされている」ことを、簡単に確認することができます。
中塗り
中塗りは塗装に厚みを持たせるための作業で、仕上がりを美しくするための工程でもあります。下塗りと同様、壁の材質や痛み具合に応じて塗料を変更します。下地処理の段階でひび割れのあった部分は、より厚く塗装することでひびの再発を防ぎます。
汚れやカビが発生していた部分には、たとえばシンナー系高品質塗料などによって再発防止するケースもあります。また、更に木や鉄の部分は外壁より痛みやすい事から、外壁と同等か、それ以上の塗料を使うのが好ましいとされています。
上塗り
最後の仕上げです。最終的な壁の色を決めると共に、より厚みを持たせる作業を行います。上塗りは3回ほど重ね塗りをするのが基本です。
外壁塗装は外の環境によって、劣化の進み方が変化します。日光(紫外線)を例に挙げると、よく当たる箇所では劣化が早く、逆に日蔭の部分は長持ちします。外壁全体の塗装の劣化を均一にするため、紫外線の影響をあまり受けない箇所には2回、影響が大きい箇所には4回というように、適切な重ね塗りの回数は部分的に異なります。
上塗りは最後の塗装作業ですので、美しく仕上げなくてはなりません。ムラなくキレイに塗る為にも、職人の技術が必要です。確実な技術を伴わない塗装は、美観はもちろん塗装の耐久性にも影響します。
確認作業
塗装が終わったら養生を取り外し、壁に塗り残しなどが無いか確認します。塗り残しがあれば補修し、反対に塗装対象以外の部分に塗料が飛び散ってしまっていれば綺麗に掃除します。
特に、高い場所などは足場が無ければ塗り直しは困難ですので、足場解体前の念入りな確認が重要です。この時は業者だけではなく、依頼者も確認をします。自身の目でもしっかり確認をし、気になるところがあれば積極的に相談しましょう。
足場解体・清掃
確認作業を終えたら最後に足場を外します。その際、周辺の清掃も行い、作業中に発生したゴミなどを片付けて完了です。特に、養生に使われるビニールなどは、気をつけていても風で飛んでしまいがちです。近隣にまでゴミが飛んでないか、しっかり確認してください。
外壁塗装の工法をご紹介
刷毛塗り
刷毛塗りは、外壁塗装の際に刷毛を利用して塗料を塗る工法です。近年ではローラーや吹き付けなどの工法が多く採用されていますが、昔は専ら刷毛で仕上げていました。現在においても外壁塗装での基本は刷毛塗りです。大きさや形に影響されることなく、どこでも塗装できますので複雑な部分などの塗装では刷毛が使われています。
刷毛塗りでは厚く均一に塗ることが求められます。昔ながらの工法ですので、技術や熟練度が必要です。職人の腕により仕上がりが変わるのが難点ですが、塗料の性能が上がるにつれ塗りやすさは向上しています。
刷毛には様々な種類があり、塗る場所や対象に合わせて選びます。角を塗るのには筋交い刷毛を、平らな場所を塗るのであれば平刷毛。塗料の粘度が高い場合には、寸胴刷毛が使われます。
ローラー工法
ローラー工法は、飛散が少なく刷毛の倍の速さで塗装できる工法です。つぎ柄を使えば、天井など手の届きにくいところも簡単に塗ることができます。ローラー工法では高度な技術がなくても均一に塗れるため、職人の腕による違いはさほど見られません。その変わりローラーの品質によって仕上がりが左右されることも。一般的には塗料を含みやすく、気泡の出ないローラーが適していると言われています。
面が滑らかな部分には毛足の短いタイプ、デザインなど、凸凹があるような部分には毛足の長いタイプのローラーが選ばれます。外壁や屋根など、塗装面積が広い場合にはローラー工法による塗装が主流です。塗装の密着性や作業効率など、他の工法と比較してバランスの取れた工法と言えます。
吹き付け工法
吹き付け工法は、専用ガンを用いて細かい霧状の塗料を吹きつける工法です。乾燥が速く粘度の高い塗料も綺麗に仕上がり、一度に広範囲を塗装できるのが特徴です。ただし飛散しやすいので、マスキングなどの覆いが必要となります。作業時の音も大きいため、近隣への気配りも大切です。
吹き付け工法では、用いるガンの種類により模様を変えることができます。「吹き付けタイル」「リシン」「スタッコ」などの仕上げ材を使った施工が一般的です。
吹き付けタイル
吹き付けタイルとは、複層模様吹き付け仕上げとも呼ばれる外壁仕上げ材です。3段階の工程を経て陶磁器のタイルに似た風合いになります。下地との密着性や耐久性に優れているのが特徴。施工がさほど難しくないため、職人の技量に左右されず安定した仕上がりです。
リシン
モルタル刷毛引の下地に対し、セメント系や樹脂系の吹き付け材で仕上げる工法です。リシンの外壁は砂壁のような模様となり、好みの色を簡単に調色できます。経済的で汎用性が高く、作業性にも優れています。
スタッコ
仕上げ塗料を厚く吹き付けたあと、ローラーやコテで表面に凸凹をつくる工法です。一見吹き付けタイルと似ていますが、触った感じはスタッコ仕上げの方がザラザラしています。風合いよく仕上がりますが、施工に手間がかかることと汚れやすいのが欠点です。
コテ工法
コテ工法とは、コテで塗料を塗り付け仕上げる工法です。塗装屋さんは主に刷毛やローラーなどを使って塗装を施しますが、左官屋さんがよく壁にモルタルや漆喰などを塗る際に使うコテも塗装用に利用しています。
コテ工法の最大の特徴は、多彩な模様が作れることです。刷毛など別の道具を併用しパターンを増やしたり、壁の一部に模様を作ってアクセントにしたりと、工夫によってはかなり意匠を凝らした仕上がりにすることもできます。
ただし塗り替えの際には、仕上げ面への塗料の吸い込みが起こります。その分使用する塗料が多くなる上、手間がかかりますので価格は高めです。また、左官屋さんの技術によって仕上がりが大きく変わることも覚えておきましょう。
外壁塗装工事中の生活
外壁塗装工事中の生活は、多少不便な点は出るものの基本的には普段の生活とほとんど変わりません。
工期中は、塗装箇所以外をシートなどで覆い養生するため、多くの場合窓の開閉ができなくなり、併せて室内が暗く感じられます。そのほか、玄関ドアの開閉や換気などで不自由することがないか、事前に十分な打ち合わせをしておくとよいでしょう。
洗濯物もほとんどの場合が部屋干しをすることになりますので、部屋干し用の洗剤やハンガーなどを用意しておくと慌てずに済みます。外出で家を開けることも可能ですが、後々揉めないためにも、部屋の戸締りはいつも以上にキッチリ管理としておく気づかいが必要です。
外壁塗装が近隣住民に与える影響
外壁塗装をすると、どんなに注意を払っても近隣に迷惑がかかります。塗料や水の飛び散り、足場を組む時の金属音、塗料から発生する臭気などは大なり小なり発生すると思っておいたほうがよいでしょう。
特に、騒音や臭気は苦情が出やすい問題です。塗料などの飛び散りはシートのカバーである程度予防できますが、騒音や臭気などには、これといった対策がないためです。足場を組む時間帯や塗料の臭いなどについて、あらかじめ施工業者に確認しておくことも大切です。
たとえば、塗料から出る臭いが近隣まで届いた場合、小さなお子さんのいる家庭などは毒性があるのではないかと不安を感じることがあるかもしれません。しかし、現在利用されている塗料のほとんどは毒性の少ないものばかりです。事前に業者から説明してもらうこと、依頼者本人からも工事の挨拶、断りを入れておくことで、些細なトラブルは未然に防ぐことができます。