外壁リフォームのノウハウ

基礎知識

外壁材の種類とそれぞれのリフォーム時期と方法

モルタル

外壁 モルタル

モルタルとは、セメントと砂を水で練り合わせた建材のことをいいます。セメント1に対して砂3の割合で作られるもので、コンクリートと比べると強度は若干弱めです。燃えにくく水に強いという性質に加え、屋外環境でも劣化しにくい壁材でもあります。

モルタルの壁は、ラスと呼ばれる網状の金物などの上からモルタルを塗り、塗装で仕上げられます。現在需要は減少傾向にあるものの、壁材として優秀な上に安価である点が見直されつつあります。コンクリートより細かく加工できるため、あらゆる形状の壁に対応できるところも魅力の一つです。

モルタル壁で留意すべき点としては、外壁の品質や仕上がりが左官工の技術によって左右されるということでしょう。しっかり加工しないとひび割れを起こしやすくなるのも、モルタルの特徴です。また、経年によって見た目が悪くなることが多く、定期的に塗装し直す必要があります。

モルタルのリフォーム時期と方法

モルタルの外壁は、5~15年ほどでさまざまな不具合が生じます。変色やひび割れ、塗装の劣化などです。特にひび割れに関しては、モルタルの性質上完全に防ぐことはできません。放置すると建物自体に悪影響を及ぼす可能性がありますので、そうなる前に塗り替える必要があります。

外壁のひび割れは3~5年ごとに、コーキングのひび割れは5~10年ごとにメンテナンスしておきましょう。塗り替えも5年~10年が目安ですが、色褪せや汚れが目立つ、ヘアクラックやクラック・チョーキングなどがみられるといった場合にも塗り替えを検討してください。

塗装の際に重要なのは、ひび割れの補修です。下地からしっかりと補修しないと、すぐにひび割れを起こしてしまいます。外壁の修復が困難なほど劣化が進んでいる場合には、張り替えをおすすめします。また、15年から20年ほど経過しているモルタルについても、全面補修や張り替えを検討しましょう。

サイディング

サイディングとは、板状に加工された外壁材のことを指します。工場で生産され、品質にムラがありません。外壁の下地に直接取り付ける工法で、工程が少なく簡単な施工となるため、工期が短く、工事費用を抑えることが可能です。既存の外壁にも使用できますので、リフォームにも適しています。

また、機能やデザインなど多種多様で、選択肢の広さも魅力と言えるでしょう。サイディングは、主に4つの素材に分類されます。以下は、それぞれの特徴とメンテナンス法のご紹介です。

窯業系サイディング

セメントに木の欠片や無機物などを混ぜ合わせてプレスし、ボード状に形成したものを窯業系サイディングといいます。デザイン性が高く、タイルや石積みのような風合いを表現することも可能です。

窯業系サイディングは非常に硬く、防火性・耐震性に優れ、遮音の効果も期待できます。しかしその一方では、熱を蓄えやすい性質や吸水性の高さによるデメリットも。

たとえば、夏には外壁の表面が高温になり、その影響で室内の温度も上昇します。また、経年によって表面の防水性能が低下すると、外壁自体が水分を吸収してしまい破損しやすくなります。

窯業系サイディングのリフォーム時期と方法

防水のため繋ぎ目にコーキングが施されていることが多いので、モルタル同様5~10年ごとにコーキングのひび割れに注意する必要があります。

また、色褪せやカビなどの汚れが目立つようになっていないかもチェックします。たまに外壁にチョークの粉のような汚れがついていることがありますが、これは紫外線などの影響で素材が分解されたためです。このような、チョーク粉が出てきたら塗り替えのタイミングです。

窯業系サイディングでは、定期的な防水処理が必要です。コーキングの補修・交換や表面の防水加工など、5~7年のうちにメンテナンスを行うと良いでしょう。塗装面に触れた際に白い粉がつくようであれば、それが塗り替え時を示す合図です。

金属系サイディング

金属系サイディングとは、ガルバリウムやアルミなどの鋼板を成形し、エンボス加工して意匠をつけたものです。主に使われているガルバリウムは非常に軽量であるため、建物に与える負荷が少なくて済みます。重量を抑えつつも、重ね張りが可能な壁材です。また、腐食に強く、耐久性も高いと言われています。釘の跡などが目立たず、仕上がりがキレイである点もメリットのひとつです。

金属系サイディングでは、表面に大きなデコボコをつけることができません。デザインは豊富ですが、窯業系サイディングと比較すると若干シンプルなものが多いようです。

金属系サイディングのリフォーム時期と方法

コーキングのひび割れは5~10年ごとにチェックしておきましょう。錆びにくい性質ではありますが、汚れが付着したまま放置すると、白カビが発生し素材を露出させ赤錆に進行することもあります。白カビを見つけたり汚れが目立つようになったりしたら塗り替えの時期です。

窯業系サイディングと同様、コーキングの劣化に対する補修や交換が必要です。また、サビやカビの発生を防止するための塗装も必ず定期的に行いましょう。

他にもチョーキングや塗装の剥がれなどがあれば、早急に再塗装することをおすすめします。塗料によって違いはありますが、8~15年に一度は適切なメンテナンスを行ってください。

木質系サイディング

天然木に塗装を施したものを、木質系サイディングといいます。また、木片を接着剤と混ぜて熱圧縮し板状にしたものや、木質繊維を板状に加工したものなどもこれに含まれます。

大きな特徴としては、断熱性に優れていること。自然素材であるため、見た目の美しさと同時に環境にも優しい壁材です。木材として扱われるため、消防法により一部の地域では使用制限が設けられていますが、不燃処理を施した製品もあります。

また、木質系サイディングは比較的安価である反面、亀裂が入りやすく劣化も早いため、メンテナンスや貼り替えの頻度が多くなってしまう点がデメリットです。

木質系サイディングのリフォーム時期と方法

強度が弱く傷つきやすいので、コンクリートの内部にある穴が見え始めたら塗り替えの時期といえます。 また、水を吸収しやすい性質もあるので、コーキングのひび割れなどを見つけたら放置せず、すぐに補修する必要があるでしょう。

木質系サイディングの外壁は、張り替えやこまめな塗装の塗り替えが必要です。塗装の塗り替えは10~15年のうちに行いましょう。表面が退色を起していたり、チョーキング現象が起きたりするようなら塗り替え時です。

また、古くなると変形が起こることもあり、張り替えが必要となります。部分的に張り替えると既存の外壁と色が異なってしまうため、オイル着色塗料で調整します。

樹脂系サイディング

塩化ビニル樹脂で作られた、外壁用のサイディングです。アメリカで生まれた外壁材で、北米では5割ほどのシェアを誇ります。日本では知名度が低く、まだごく一部でしか利用されていません。

樹脂系サイディングは、弾力があるためへこみや擦れに強く、耐久性に優れています。撥水性も高く、凍結・塩分・酸性雨などによる影響を受けにくい壁材です。非常に軽量で、窯業系サイディングと比べると1/10ほど。軽い壁材は建物への負担が少なく、地震による住宅への影響も軽減できます。

その他、簡単に加工できるなど多くのメリットを持っていますが、他の壁材より遮音性が若干劣ること、建築基準法により一部使用制限が設けられていることがデメリットとして挙げられます。また、デザインにおいてはバリエーションに欠け、国内では選択肢が少ないのが現状です。

樹脂系サイディングのリフォーム時期と方法

通常、外壁には目地があり、目地にはコーキングが必要とされています。コーキングの寿命は比較的短いため、どうしても定期的なメンテナンスを要しますが、樹脂系サイディングではオープンジョイント工法を採用することができるためコーキングレスでの施工が可能です。

定期的にコーキングを打ち直す必要がなく、塗装の塗り替えも不要。万が一サイディングが破損してしまった場合には、破損部分だけを交換することも可能です。これにより、メンテナンス費用を大幅に抑えることができます。

タイル

外壁 タイル

タイルは寿命の長い仕上げ材として、古くから使われている建材です。外壁に限らず内壁や床にも用いられ、技術の進歩とともにタイル造りの住宅は増加傾向にあります。

タイルにはさまざまな種類がありますが、住宅の壁材として最も適しているとされているのは磁器質タイルです。石灰を高温で焼いてできたタイルで、金属を思わせるほどの硬さを持っています。

タイルの耐久性・耐水性・耐候性は群を抜いて優秀で、お手入れも簡単です。高価な素材ですのでコストはかかりますが、見た目は非常によく、高級感や重厚感を与えることができます。

タイルの目地にはコーキングが必要で、これにより防水と気密の効果を加えます。ただし、タイルが古くなれば割れや剥がれによって防水性などの効果が失われます。経年劣化は避けられませんので、定期的なメンテナンスは必要です。劣化を放置すると、タイルが剥がれ落ちて人に当たるといった事故もありえますので注意しましょう。

タイルのリフォーム時期と方法

日本では10年を超えると外壁診断が義務付けられています。なぜなら、10年経過するとタイルが剥がれ落ちる可能性があるからです。しかし、タイルが落ちるまでの時間は外壁の環境により差があるので、10年間は絶対安全とはいい切れません。

また、気候や劣化によりそれぞれが膨張と収縮をするため、浮いてくる場合もあります。タイル浮きがないか、コーキングの補修は必要ないか、5年~10年程度でチェックしておくと安心です。

タイルは大変丈夫で汚れが付きにくく、メンテナンスが非常に楽な壁材です。普段のお手入れも、基本的には水洗いで済みます。

ただし、タイル自体は劣化しにくくても、目地に関しては別です。シーリングやコーキングと呼ばれる加工は10年程で劣化し機能が低下します。そのため、定期的にシーリングやコーキングの修繕や交換をし、タイルを保護するための塗装処理が必要です。

たとえば、白華現象(エフロレッセンス)によって壁が白く汚れてしまった場合には、タイルが割れていたり目地が劣化していたりする可能性が高いため、しっかりと汚れを除去した後に補修や保護対策が必要です。塗料は15年前後持ちますので、その間に一度は点検やメンテナンスを行うと良いでしょう。

その他にも、タイルの変色、剥がれや割れを発見した際には、早急な対応が必要です。放置することで、思いがけない大きなトラブルを引き起こす原因にもなり得ます。

ALC

ALCとは、軽量気泡コンクリートと呼ばれる、軽石のような見た目を持つ壁材のことです。耐火性・防火性に優れ、強度においても通常のコンクリートと同様、またはそれ以上と言われています。軽量でありながら、火災・地震に強く遮音性や調湿性も高いため、住宅に限らず高層ビルや工場など幅広く利用されています。

また、外壁だけではなく、床や天井に用いられることも多い建材でもあります。

ALC のリフォーム時期と方法

強度が弱く傷つきやすいので、コンクリートの内部にある穴が見え始めたら塗り替えの時期といえます。 また、水を吸収しやすい性質もあるので、コーキングのひび割れなどを見つけたら放置せず、すぐに補修が必要です。

ALCでは、7~10年ほどでメンテナンスを施すのが目安となります。表面の汚れや塗装の劣化がみられる場合には、塗装の塗り替えをしましょう。

ALCは他の壁材と比べて経年による変化が少ないため、貼り替えが少なくて済むのが大きな利点です。定期的にコーキングや塗装を施すことで、新築のときと同じような状態を取り戻すことができます。

レンガ

レンガは頑丈で地震に強い壁材です。欧米ではレンガ造りの住宅が主流で、日本の住宅と比較すると、その寿命は2倍以上と言われています。

レンガはねんどや砕いた石を練り固めたものを、乾燥して焼き上げるという工程で作られます。日本では建築法により、骨組みの段階でレンガを用いることはできません。鉄筋コンクリート造りなどの外壁、あるいは外壁の仕上げ材として使われます。

また、レンガは断熱性や遮音性にも優れている上、古くなるにつれ風合いがでるところも魅力です。

レンガのリフォーム時期と方法

レンガは、基本的にメンテナンスが不要といわれています。定期的な塗装はもちろん、張り替えもいりません。また、紫外線や塩分、寒さにも強い外壁材です。

ただし、レンガ以外の素材を使っている外壁部分のメンテナンスは必要です。たとえば、窓周辺や屋根の軒部分などが該当します。屋根と外壁、窓と外壁のつなぎ目はレンガ以外の素材が使われていますので、定期的にメンテナンスを施しましょう。

レンガタイルや、レンガ風の外壁の場合も「レンガ積み外壁」とは異なりますので、当然メンテナンスが必要です。繋ぎ目にモルタルやコーキングなどが使われていたり、塗装が必要だったり、素材や工法によってメンテナンスの方法も変わります。

また、レンガはまれに割れたり、破損して落下したりする可能性があります。レンガ以外をメンテナンスするついでに、レンガの割れ・落下・外壁の傾きなどの危険がないかを点検すると安心です。