ガレージ・車庫・カーポートリフォームのノウハウ

リフォームポイント

ビルトインガレージのメリット・デメリットと造るときの注意点

車を保管するためのスペースであるガレージは建築物扱いとなり、大きく独立タイプとビルトインタイプに分けることができます。

独立タイプとは、建物とは別に、独立してガレージスペースを確保するスタイルです。敷地に余裕があれば、この方法を選ぶことが多いです。

一方ビルトインタイプとは、建物の内部に車庫を設置するスタイルです。外に出ることなく、建物の中から直接車に乗り込むことができるため、便利です。メリットも多くありますが、デメリットも当然あります。それらを把握した上でビルトインガレージを取り入れるか検討しましょう。

ビルトインガレージのメリット

土地を有効に使える

ビルトインガレージがある住宅

住居の建物とは別に独立した形で車庫をつくるとなると、車庫の面積は建ペイ率にも延べ床面積にも含まれます。この建ペイ率や延べ床面積は上限が決められており、規制の範囲内でつくらなければいけません。

しかしビルトインガレージの場合、建物と一体化しているため、車庫の面積が延べ床面積全体の5分の1以下であれば、床面積に算入されません。

狭い敷地でも土地を有効活用して車庫を確保することができます。

天候や時間に左右されることなく洗車や整備ができる

屋内ガレージは、いつでも好きな時間に洗車や整備をすることができます。

屋外ガレージの場合、洗車や整備は晴れた日の昼間など限られた時間にしかできません。雨や雪が降るとすぐに汚れてしまいますし、夜間に洗車や整備は近所迷惑にもなりかねます。

ビルトインガレージであれば天候や時間に左右されることなく車の手入れができることは、大きなメリットです。

車が汚れず、いたずら防止にもなる

ビルトインガレージに車を置くと、車がほとんど汚れません。雨や雪はもちろんのこと、ホコリやゴミが飛んできてよく付着するなどということもありません。

洗車やワックスがけをした後も、屋内にあるビルトインガレージならピカピカの状態を保つことができます。また故意に車を傷つけるようないたずらや、窃盗からも愛車を守ることができます。

家の中から愛車を眺める事ができる

家の中から見る車

外にガレージを設置すると、通常は家の中から車が見えませんが、ビルトインガレージなら、家の中から愛車を眺めることができます。

リビングとガレージの間仕切りをガラス張りにするなど、工夫次第では、室内からずっと車を見ていることもできます。ピカピカに磨いてライトアップでもすれば、インテリアのように楽しめるでしょう。車好きにとってこの上ないメリットです。

ビルトインガレージのデメリット

居住スペースが狭くなる

ビルトインガレージは、家の中に車庫がある状態ですので、車庫以外の部分、つまり家の中の居住スペースがその分狭くなるというデメリットがあります。限られた敷地面積の中に愛車のためのスペースを確保するのですから、当然ともいえます。

部屋数が減ってしまったり、各部屋の広さを確保できなかったり、といった不都合が出てきます。

ガレージは欲しいが部屋数や広さも確保したいという場合には、3階建てにするなど建物を高くすれば確保できますが、建物には地域によって高さの制限もありますので注意が必要です。

居住スペースににおいや音が広がる

ビルトインガレージにすると、車庫と同じ建物で生活することになりますので、どうしても車の騒音や排気ガスなどの嫌な臭いが家の中に広がってしまいます。

二輪車であれば、外まで押して行き、外に出てからエンジンをかけるという方法もありますが、車の場合はそういうわけにもいきません。エンジンをかける音、ドアやシャッターを開け閉めする音、走行音などが家の中に響くことになります。また屋外ではさほど気にならない排気ガスの臭いや、オイル交換で使うオイルの臭いも家の中では気になるものです。換気扇を設置するなどの対策が必要です。

コストが高く、リビングなども2階以上に

リフォームでビルトインガレージを設置するとなると、1階部分は当然車庫となり、本来1階に置くはずだった水まわりやリビングなどが2階以上に配置しなければならない場合があります。それにより各部屋の大きさやレイアウトを考える必要がでてきます。また、建物の構造によっては補強する必要があるためコストがかさむことがあります。

ビルトインガレージを造る時の注意点

建物の工法次第では耐震性に問題がある

ビルトインガレージをリフォームにて導入しようと思っても、建物の工法、構造によってはつくれない場合があります。

開口部は、人が出入りするだけの場合と違って、車を出し入れできるだけの大きなものが必要となりますが、柱など設置することはできません。そのため少なくとも一面を大きく開口し、柱がない構造となると、耐震性に問題が出てきます。

たとえば木造建築の場合、開口部を大きくすると、二階以上の重みを他の面だけで支えなくてはなりません。他の工法に比べて強度が低い木造では不向きといわざるを得ません。

どうしても木造建築でビルトインガレージを設けたい場合には、開口部をできる限り小さくした上で、耐震補強等を行う必要があります。簡単な工事ではありませんので、どこの業者でもできるわけではなく、施工会社は限られてきます。

ガレージの上部を居住スペースにすると床面積に含まれる

ビルトインガレージは、延べ床面積の5分の1以下であれば容積率の計算から除外することができるのが大きなメリットの1つですが、ガレージの上部を居住スペースやバルコニーにした場合、その部分については容積率に入りますので注意が必要です。

においや音の対策

ビルトインガレージでは、食事をしたり、寛いだりする居住スペースと同じ建物内でエンジンをかけることになりますので、臭い対策として換気扇の設置が必須です。車から出る排気ガスは想像以上に多く、臭いもきついので、普通の換気扇ではなく専用の大きなタイプを選ぶようにしましょう。天井に設置するのが望ましく、他にも通常の排気用、吸気用などを取り付けても有効です。

またエンジン音や走行音に対する防音対策も必要です。壁には遮音材を使った上で、窓があれば二重サッシやペアガラスなどを導入するのが良いでしょう。

広さはゆとりをもって

ガレージの大きさは、車さえおさまれば良いというものではありません。ドアを開閉して乗り降りするのに十分な幅を確保しておく必要があります。最低でも、両側のドアがスムーズに開閉できるだけの広さを確保してから計画をたてるべきです。

またタイヤ交換やメンテナンスなど、ガレージでは何かしら作業をすることも多いはずです。大きな車に買い替える可能性もありますので、幅だけでなく、高さや奥行きにもゆとりをもたせるのが望ましいでしょう。

床材にも配慮が必要

重さもある車を保管するビルトインガレージの床材は、居住スペースと同じというわけにはいきません。それだけの重さに耐えられるだけの頑丈な床材を選ぶ必要があります。

また洗車やオイル交換などのメンテナンスをするという場合、水はけの良さや、油汚れに対する耐性も必要です。そのためにはコンクリートの上に、劣化やオイル汚れ防止のための塗装を施すのが一般的です。