ガーデニング・庭リフォームのノウハウ

リフォームポイント

庭造りを成功させるためのポイント

庭づくりを成功させるには、いくつかポイントがあります。理想の庭を実現するために大切な、基本となる考え方をご紹介します。

庭づくりの第一歩はゾーニング

庭は、ひとつだけではありません。メインとなる庭以外にも、駐車スペースや作業スペース、アプローチ周辺なども庭の一部として分類されます。こういったスペースをどの位置にするか、どれくらいの広さを割り当てるかなどを、計画していくことをゾーニングと呼びます。

どういった庭にするかという計画やコンセプトを決め、家の周りの「庭」に分類される場所をどのように作って、どこに木を植えるかを計画することが重要です。また、メインの庭(主庭)の中だけでも、動線や木や花を植える場所を計画するところから、庭造りが始まり、その計画を入念に行い、イメージすることで思い通りの庭造りに近づけることができます。

場所に応じた庭の呼び名とそれぞれの庭造りのポイント

庭と一言で言っても、一般的に思い描くリビングから見えるメインの庭のことだけではなく、場所に応じた呼び名があります。その呼び名をご紹介します。以下でご紹介する庭すべてで、ゾーニングが大切です。

主庭

主庭とは庭全体の中でも中心となるもので、主に、座敷や客間、あるいは、家族の集まるリビングなどから眺めることができる庭のことです。施主の好みや希望を叶えると共に、家族などが楽しめるスペースでもあります。また、使用目的や用途により観賞メインとするか、実用的なアウトドア風のものにするか、家族のライフスタイルにより決めることになります。

前庭

門扉から家の玄関までに作られるものを前庭といい、主庭と違い多くの人の目に触れる家の顔ともいえる場所です。アプローチから眺める前庭は、進むごとに景色の変化を味わえる空間となります。また主庭ほどスペースを広くとらない代わり、植栽などで表情と奥行きを演出し、開放感のある明るさと風通しを良くする工夫が必要となります。

中庭・坪庭

中庭

家屋や塀で三方向または四方向を囲まれた庭を中庭といい、多方向からの視線を意識し、どの方向から見ても満足感を得られるような作りが要求されます。

なお、一坪を基準とした主に観賞用の庭を坪庭として分けて呼び、家の間取りとの組み合わせを考え、中庭や玄関そばなどの空いた空間に配置します。その際、狭い空間ではありますが、風通しなども考慮しつつ植栽やオブジェなどを使いシンプルなデザインを心がけます。

裏庭

裏庭は、主にキッチンや浴室などの水回りに面しており、物干し場や物置を設置する場所として利用されることから、サービスヤードとも呼ばれます。実用的で機能的な空間にするため、動線を意識した配置が求められます。また、洗濯物などを干すなど、プライベート感が強い場所なので、外からの視線にも配慮した目隠しとなる樹木やフェンスなどを設置する必要があります。

園路

庭に向かう通路としての園路には機能性が必要ですが、同時に家の一施設としての景観を意識することも大切です。

たとえば、真っ直ぐ主庭につながる園路でも問題ありませんが、わざと曲線を用いる方法もあります。遠まわりさせて心にゆとりを持たせたり、庭門やアーチをくぐらせたりすれば、デザイン性を重視した面白みのある園路にすることが可能です。ただし園路を使ってスムーズに敷地内を移動できるデザインであることが前提となります。

目的をはっきりさせる

広い庭

庭のリフォームを成功させるコツは、どのような目的で使いたいのかをはっきりさせておくことです。まずはおおまかに「使うための庭」と「観るための庭」、どちらにしたいかを考えるところから始めるとよいでしょう。

たとえば、子どもや愛犬の遊び場所、仲間とのガーデンパーティーなどで活用したいのなら、使うタイプの庭。ウッドデッキやテーブル、あるいは趣味のものなどを置き、活動スペースとしての庭づくりが適しています。

リビングや浴室など室内から眺める風景として庭をつくりたい場合は、観るタイプの庭です。季節感のある樹木や見せ場を庭に盛り込むことで、その景色を楽しむことができます。

どちらのタイプの庭にしても、目的によってプランニングが大きく変わることがあるため、できるだけ具体的に「何がしたいか」を書き出しておくとよいでしょう。

庭づくりの目的をいくつかご紹介

庭づくりにおいて、「庭に求めるもの」を具体的にイメージすることは非常に重要なことです。主な庭づくりの目的をいくつかご紹介します。

くつろぎ、憩い、ふれあいの空間

テーブルと椅子を置いて、家の中とは違った雰囲気の中、夫婦でコーヒーやお酒を楽しんだり、友人やご近所の人を招いてパーティーを開いたり、いろいろなアウトドアスペースとして活用する方法があります。たくさんの道具を広げなければならない趣味を持っている人なら、作業場として使うことも可能です。

また、季節感を味わいながら読書をするのも良いですし、何もせずただ風を感じのんびり過ごすもの良いでしょう。庭は、家族との団らんや趣味を存分に楽しみ、身も心も癒すことのできる重要な空間として利用できる場所です。

ガーデニング・家庭菜園

ガーデニングや家庭菜園は、庭の定番の活用方法といえます。買ってきた花を植えたり、鉢植えを並べたりするだけでも良いですし、本格的に畑のスペースをつくり、野菜を育てるのも良いでしょう。手をかけた花が咲き、一生懸命世話をした野菜が育つと、感動もひとしおです。成長の過程を見るのも、毎日の楽しみになることでしょう。

子供のための庭づくり

子供のいる家庭では、子供の遊び場として庭を活用する方法もあります。最近は公園なども少なくなっていますので、庭に滑り台やブランコなどを設置して、伸び伸びと遊ばせてあげるのも良いでしょう。親の目が届く場所ですので、公園よりもむしろ安心です。ボール遊びやビニールプールのスペースを確保しておくと、遊びの幅も広がります。

ペットのための庭づくり

愛犬がいる家庭なら、犬が走り回れるスペースとして庭を活用する方法があります。室内犬でも、いつもリードを付けてのお散歩ばかりではなく、走り回れる場所があればきっと喜ぶはずです。また運動不足の解消にも役立ちます。ただし、逃げてしまわないよう、しっかりと柵を設けることが大切です。併せて水飲み場を設けてあげるとさらに良いでしょう。

使えるものは再利用する

リフォームの強みは、庭の石、レンガ、砂利、樹木、草花、その他石や金属で作られた装飾品など、既にあるものほとんどを再利用することができる点です。たとえば、石の水鉢はそのままバードバスに活用できます。さらに、底に穴を開けて水が流れ落ちるように工夫をすれば、涼しげな水場を演出する小道具にも生まれ変わります。

一見、和風の庭にしか利用できないように思われがちな灯籠は、部品をばらばらにすれば活用の範囲が広がります。自由なアイディアで再利用自体も楽しみましょう。

使い勝手を考える

素敵な庭と長く付き合いたいなら、人がどう歩くのかという「動線」をデザインに取り入れて、使い勝手を良くする必要があります。バーベキューならどのように部屋から食材を庭まで運ぶか、遊び場であればどんな風に子どもが走り回るかなど、活用場面をイメージし想定される人の動きに沿って園路やベンチなどを配置していきます。

また、快適な庭づくりのためのポイントとして、目隠しがあります。ラティスなどの木製パネル、樹木、生け垣などを設置すれば、外からの庭や室内への視線を遮ることができ、プライベートな空間を保つことができます。

そして、案外忘れがちなことは、段差をなくすこと。大きな段差は思いのほか不便ですので、ウッドデッキなどを利用して簡単に出入りできるよう、部屋と庭の段差をできる限り少なくする工夫をしましょう。

建物とのバランスを大切にする

庭は家の一部ですので、建物と調和の取れるようなデザインになるよう心掛けましょう。建物の形や雰囲気、色、素材にふさわしいエクステリアを配置することで、外から見て落ち着いた景観をつくることができます。また、家の中から眺めた際にも、部屋の延長にある居心地の良い空間としての庭を演出することができます。

庭は、家の中にいながら自然に親しむことができる場所であり、家族団らんのスペースでもあります。内と外が交わる中間領域である庭が、分断された空間にならないように注意しましょう。

今後のメンテナンスを考慮する

庭の草刈り

よい庭づくりでは、お手入れがいかに楽であるかも重要です。特に、時間や手間が掛かるのは雑草取りですが、無駄な草が生えないようにするため、土の部分を少なくするという方法があります。たとえば土の上に防草シートを敷き、さらに砂利を厚さ5cm程度敷くと雑草は生えにくくなります。

また、地面を覆う草「グランドカバー」も見た目が良いためおすすめです。可愛らしい花が咲くアジュガやヒメツルソバ、美しい緑で和風洋風どちらにも合うリュウノヒゲ、経済的なコケなどがあります。

ほとんど手入れの時間が取れない場合には、テラスなどがメインのドライガーデンが適しているでしょう。コンテナなどを上手に活用すれば、草花を楽しむこともできます。

一か所に見せ場を作ろう

美しい庭をつくるには、見せ場となる「フォーカルポイント」が一カ所必要です。フォーカルポイントとは、庭全体のデザインを決める重要な要素で、いわば「一番見て欲しいポイント」のことをいいます。また、目線を庭の一部に集めることで、あまり見られたくない部分へ視線がいかないようにすることも、フォーカルポイントの大切な役割です。たとえば、室外機や古くなったフェンスなど、庭の雰囲気に合わないものなどには、なるべく目がいかないよう工夫しましょう。

フォーカルポイントとして使われる主なアイテムは、和風の庭であればつくばいや灯籠など、洋風の場合はレンガ造りのテラスやバラのアーチに囲まれたベンチなどです。見せたいものをいくつも配置するのではなく、フォーカルポイントはひとつに決めましょう。配置するアイテムの素材や色合いなどは、極端に人工的なものや派手なものより、自然界にある様なものを中心にまとめると失敗しにくいのでおすすめです。