
基礎知識
門扉の材質やサイズなどの基礎知識と門扉の選び方
公開日:2019年05月16日

門扉は、敷地と道路との境目に設置する目印であるとともに、来訪者を最初に迎える住まいの顔でもあります。門扉があるのとないのとでは第一印象が大きく変わるといっても過言ではありません。また、門扉には防犯効果もあります。玄関ドアの前に一枚あるだけで、心理的に足を止める効果があり、侵入者への抑止力になります。
素材もアルミ形成やアルミ鋳物、アイアン、木製などがありデザインもさまざまです。選ぶ際は、建物や周辺とのバランスを考え統一感を出すこと、開閉方法、周囲のスペース、高さなどを考慮して選ぶことが大切です。
この記事では、門扉のメリットや開き方タイプ、材質などの基礎知識を紹介しているので参考にしてください。
門扉があることによるメリット
門扉には、敷地への入口となる目印のほかに、さまざまな役割があります。
子供やペットの急な飛び出しを防止する
子供は、何かに興味をもつとそれに向かって飛びつくものです。そのため門扉がなければ、敷地から勢い良く道路に飛び出すことも考えられ、交通量の多い道路に面している場合などは大変危険です。
しかし門扉があることによって、家から出ても急な飛び出しを防止することができるのです。小さいお子様がいる家庭はもちろん、ペットがいる家庭でも特にメリットが大きいと言えるでしょう。
防犯対策になる
門扉は、設置することによって玄関ドアとの二重になり防犯対策として大変有効です。
近年、不審者や空き巣などがよく聞かれ、自宅の防犯対策に不安をもつ人も多いのではないでしょうか。門扉があれば、玄関を開けてすぐ人がいるということもなく、適度な距離感を保つことができます。また、上部に先の尖ったデザインをもってきたり、カメラ付きインターフォンを取り付けたりすればさらに防犯効果が高まるでしょう。
プライバシーを確保できる
最近では、開放感があるオープンな外構が好まれる傾向がありますが、反対に隠すことができないということです。庭に置いてある掃除道具なども丸見えになってしまいます。しかし門扉やフェンスを設置することで目隠しとなり、プライバシーも確保することができます。
門扉の開き方タイプ
次に、門扉の開き方のタイプをご紹介します。開き方は大別すると開き戸と引き戸に別れますが、開き戸の中でもタイプが存在します。
門扉の開き方は、開き戸か引き戸が一般的
住まいの敷地への出入りに設置される門扉の開き方には、開き戸と引き戸があります。一般的に選ばれるのは開き戸ですが、最近は省スペースの引き戸も注目されています。
開き戸には両開き、片開き、親子開きがあります。両開きは左右対称に扉があるタイプ、片開きはひとつの扉で開閉するタイプ、親子開きは大きさの異なる大小2つの扉があるタイプです。
一般的に開き戸が選ばれているのは、開け閉めがしやすいこと、スッキリとしたデザイン性、素材や大きさなどのバリエーションが豊富、などが理由です。洋風建築、和風建築どちらにも合い、素材によってモダンな雰囲気にしたり、重厚感を出したりできます。
一方の引き戸とは、横にスライドさせるタイプの門扉です。開き戸のように開閉スペースが必要ないのが魅力です。敷地が小さく、門扉から玄関ドアまでの距離が短くても、省スペースで設置することができます。また開け放したままにできるので出入りがしやすく、両手がふさがっている時などに便利です。
門扉の開き戸は内開きが基本
日本の門扉は内開き、右勝手が一般的です。
内開きは道路側ではなく家側に扉が開き、右勝手とは家に向かって右側の扉を通常開閉します。内開きが一般的な理由は、外開きにすると道路側に扉が開くため、車や人に当たる危険があるからです。敷地条件にもよりますが、開閉スペースなどを確保してからプランをたてる必要があります。
門扉のサイズ
門扉1枚のサイズ幅は一般的に40cm、60cm、70cm、80cm、90cmがあります。
40cmは肩幅より狭いですから、横向きに入ることになり不便です。両開き門扉で使われることはなく、主に親子開き用に使われます。
同じサイズの扉2枚からなる両開き門扉では、最低でも60cmはほしいところです。一般的には70cmが多いですが、自転車で通る場合や、荷物が多い場合にはやや狭いと感じる幅です。幅が広いほど通りやすいので、80cm、90cmを選ぶのが理想ですが、そうすると2枚で160~180cmもの門扉幅が必要になります。敷地の面積等の都合上、難しい場合も多いでしょう。
しかし親子扉であれば、親扉を80cm、子扉を40cmにするなど、狭い幅でも通りやすい門扉を設置することが可能です。
また、門袖がある場合は、門袖とのバランスやサイズも考慮する必要があります。門扉は門袖よりも10~20cm低く、幅は門袖のデザインと不釣合いにならないように注意しましょう。
門扉の材質
門扉の材質は多種多様です。材質で印象も大きく変わるため、門扉を選ぶ際は材質を気にしてみてはいかがでしょうか。
アルミ形材
アルミ形材は、門扉に最も多く使われている材質です。腐食に強いアルミニウムを使っており、サビに強いのが特徴です。軽量で耐久性に優れているため、門扉に適していると言えます。
基本的にはシンプルなデザインが多いものの、最近では高級感のあるものや、表面にウッド調のラミネート加工を施すなどしてデザイン性をもたせたものもあります。また、目の詰まった横板、ルーバータイプなど、目隠し機能があるタイプは、防犯効果も期待できます。バリエーションも豊富で、比較的安価で手に入ることから人気があります。
アルミ鋳物
アルミ鋳物は、軽くて耐久性がある上、柔らかいデザインの住まいにも合わせることができる門扉です。重厚感をもちながらも曲線的なデザインであるため、モダンな外観に合わせた豪華な門扉を演出することもできます。その場合、門袖等はシンプルにし、門扉が引き立つようにするとより印象的なイメージになります。
また、全体的に細めの素材でデザインしたものが多いため、目隠し効果は期待できません。内外の境界線として、目印程度に門扉を設置したい人などに適しているでしょう。
木製
木製の門扉は、他の素材に比べて加工しやすい、という特徴があります。木の優しい風合いや質感を生かしつつ、存在感のある門扉を演出することができます。門から玄関までのアプローチ部分とも合わせやすく、アクセントにもなるでしょう。
ただし、注意しなければいけないのが耐久性です。木であるため腐りやすい、虫に食われやすいなどの問題があり、定期的に防腐効果のある塗料を塗るメンテナンスが必要となります。
しかし、最近では防腐処理が施されたものなど耐久性が高いものも増えていることから、人気があります。
樹脂系
樹脂系門扉とは、ポリエチレンなどの樹脂系を素材にしたものです。耐候性があるため、メンテナンスに手間がかからない、という特徴があります。どのようなデザインの住宅にも合わせやすく、自然な門まわりを演出することができます。
木粉や再生木などを用いて天然木のように見える商品など、樹脂素材とは思えないようなデザインのものもあります。
アイアン(鉄)
アイアンの門扉は、重厚で高級感があるのが特徴です。他の素材でも重厚感や高級感を演出する工夫をしているものがありますが、近くで見たときや触ったときの質感は、アイアンとは比較になりません。既製品はもちろん、手作りでつくられたものもあるなどデザインも多くあります。
ただし、鉄ですのでサビには注意する必要があります。表面には塗装が施されていますが、定期的なメンテナンスは欠かせないでしょう。
その他(スチール・ガラス)
その他には強化ガラスを使ったガラス製門扉、強度に優れたスチール製門扉などがあります。ガラス製門扉はスッキリとした印象と上品な雰囲気が特徴ですが、門扉としてはバランスが難しい素材でもあります。デザイン性や個性を重視したいという方に向いているでしょう。
スチール製門扉は強度に優れているだけでなく、加工性にも優れており、安価であることから、かつては主流の素材でしたが、耐候性、耐腐食性に劣ることから、最近では少なくなってきています。
門扉の選び方
外観との調和を考えたデザイン

門扉は使い勝手や機能、素材などももちろん重要ですが、住まいの外観との調和を考えて選ぶことが大切です。道路と敷地の境目として、誰にでも目に付くものであり、訪問者を最初に迎える場所でもありますので、調和のとれた美しいデザインのものを選びたいものです。
建物やエクステリアを洋風にまとめているのであれば、門扉も洋風のデザインのものを、立派なお屋敷であれば重厚感のあるものを、という具合にイメージに合った門扉を選ぶべきでしょう。
素材もデザインもさまざまありますが、最近はシンプルなもの、モダンな雰囲気のものが主流になっています。
使い勝手がいいものを選ぶ
門扉は毎日家族が開け閉めするものですので、使い勝手が良いものを選ぶようにしましょう。
自転車や大きな荷物を持って出入りすることが多いのであれば余裕のある門幅のものを、子供やお年寄りがいるご家庭なら開閉が楽な軽量なものを、というように、ライフスタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。
防犯性やプライバシーにも注目
門扉は防犯性やプライバシーも考慮して選ぶことが大切です。
防犯性を重視するなら、鍵付きの門扉を選ぶのも1つの方法です。シリンダー錠などの一般的な鍵を使ったもののほか、リモコンで操作できるタイプのものもあります。また1つの鍵で玄関扉と門扉の両方を施解錠できるシステムを搭載した商品などがあります。
プライバシーにも配慮したいという場合は、門扉の高さを高く設定すれば視線を遮ることはできますが、高すぎても圧迫感や防犯性に問題がでてきます。大人の胸よりも少し低い程度に高さを設定すると良いでしょう。
玄関ドアとの位置関係
門扉を選ぶ際は、玄関ドアと直線的にならないよう、位置関係にも考慮する必要があります。玄関ドアとずらすことで、エクステリアとのバランスも良くなり、奥行きを感じられるようになります。敷地面積の都合などで、どうしても直線的な配置しかできない場合は、植栽やアプローチに変化をもたせるなどの工夫をすると良いでしょう。