
設備機器
家庭用階段昇降機
公開日:2016年01月07日
家庭用階段昇降機とは、足が不自由な方や階段の昇降が困難な方のために、階段の昇降を安全に補助してくれるバリアフリー機器のことで、段差解消機などとも呼ばれています。昇降機が走行するためのレールを設置し、駆動装置が付いたいすに座って昇降するかたちのものや、車椅子を乗せるためにテーブルのかたちをしたものがあります。階段の補強工事などをせずに、お住まいの階段の形状に合わせて昇降機を選ぶ事ができます。種類や設置時の注意点などを把握し、階段リフォームの際にも検討しましょう。
階段昇降機の役割
事故を防ぐ
身体が不自由な人や、高齢になって階段の往来が容易にできない人が無理に階段を使おうとすると、足を滑らせて転落するといった事故につながる可能性があります。こういった事故を防ぐことができます。
生活の幅を広げる事ができる
階段の往来が容易でない人の自室が2階にある場合、階段を使うことが億劫で部屋に引きこもりがちになってしまいます。階段昇降機があれば、身体に負担をかけることなく階段を昇降できますので、外出が億劫ではなくなり、生活の幅を広げることができます。
介護者の負担を減らせる

階段の往来を手伝う介護者にも精神的、肉体的負担があります。しかし階段昇降機があれば、1人で階段の往来ができますので、介護の負担を減らすことができます。
階段昇降機の種類
固定型(いす式)
階段に固定して使うタイプです。階段にレールを設置し、その上を椅子式の昇降機が走行します。住宅では固定型が一般的に多く用いられており、リフォームでも取り付けることが可能です。固定型は操作が比較的容易であること、安定感があるということが特徴です。しかし、椅子が固定されているため、その分階段幅が20~30cm程度狭くなり、幅によっては階段でのすれ違いが難しい場合もあります。
可搬型
可搬型は、車椅子に装着もしくは一体になっているタイプで、持ち歩くことができます。操作者によって操作を行わなければ動かすことはできず、操作を誤れば事故につながる可能性もあるため、操作者には訓練が要求されます。
タイプ
直線型 | まっすぐな階段に設置するタイプです。まっすぐなレールで済みますので、屋内に設置するタイプとしては比較的リーズナブルです。 |
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曲線型 | 曲がった階段に設置するタイプです。螺旋状やコの字、L字状の階段にも設置できます。階段の形状に合わせてレールを設置する必要があります。 |
屋外型 | 屋外に設置するタイプです。吹きさらしになりますので、防滴加工などが施されているものもあります。使用しない時などは専用のカバーがあり、雨や風などから機器を守ります。 |
階段昇降機の選び方(いす式)
家庭用の階段昇降機を選ぶ時は、実際に昇降機を使う人の目線で選ぶことが大切です。
昇降機を使う人は、多かれ少なかれ身体が不自由であることが多いでしょう。そのため、昇降機は使い勝手が一番重要ですので、実際に使う人の体型や性別、年齢などによって合うものを選ぶべきです。難しい操作が苦手な人が使うならなるべく操作が簡単なものを、大柄な人が使うなら充分な大きさのある機種のものを、といった視点が重要です。昇降に介護が必要であれば、介護する人の視点から選ぶこともポイントです。
最近では、座高の高さを調節できたり、乗り降りがしやすいように座るところが回転したりするような機能がついたものもでてきており、使い勝手も向上しています。
また、設置後のメンテナンスやサポート体制についても確認しておくことが大切です。機械である以上、故障する可能性はゼロではありません。万が一故障して動かなくなった場合、生活にたちまち不便が生じますので、どの程度緊急に対応してくれるのかなど、購入先やメーカーに確認しておくことが大切です。点検の頻度や費用、保証期間なども併せて確認しておきましょう。
階段昇降機設置の注意点
階段昇降機は設置する際には、いくつかの条件があります。設置する前に把握しておくことが大切です。
階段幅が75cm以上であること
まずは階段幅についてです。昇降機を設置できる条件として階段の幅が75cm以上ないと設置ができません。一般的な住宅の階段幅は70~75cmで設計されています。多くの住宅で設置が可能となっていますが、昇降機のサイズや手すりがある場合などは、階段幅が75cm以上でも設置ができない可能性もありますので注意が必要です。
階段の構造強度の確認
昇降機を設置すると、少なからず階段に負荷がかかりますので、構造上問題がないかなど、構造強度の確認が必要です。問題があれば、昇降機の設置以外の工事が必要になります。
申請が必要
最後に昇降機の設置には役所への申請が必要であることも知っておいていただきたい注意点です。階段昇降機は建築設備ですので、建築基準法に適合していなければなりません。構造強度や安全性の問題がなく、申請が受理されて初めて設置できます。先の構造強度の確認は、そのためにも必要な手続きであり、役所に相談しながら進めるのが一般的です。