階段リフォームのノウハウ

リフォームポイント

階段の傾斜を緩やかにする方法と費用相場

緩やかな階段

2階建てに住んでいる人にとって、一日の生活の中で階段を使わないことはまず無いと思います。そのご自宅の階段の傾斜がきついと思うことはありませんか?一段、一段の上りが高いなって思うことはありませんか?

歳を取って、若いときには思わなかった階段を上がるつらさ。それ以外にも築古の住宅では急な階段が設置されているケースもあります。

住宅の階段を緩やかにしたいけど、そもそも「できるのか?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?その疑問に対してのお答えは、条件次第ではありますが、「できます」

今回は、そんな疑問に対してお答えする形で、階段を緩やかにするリフォーム方法などをご紹介致します。

高齢者の人口が増えていく中で、住宅の中も住み良い環境を作ることは大事なポイントになってきています。老後を見据えたリフォーム、生家のリフォームなど、リフォームをする理由は人それぞれかと思いますが、これからリフォームしようと思っている方の参考になるかと思いますので是非参考にしてみてください。

階段の危険性

階段がいかに家の中で危険な場所であるかについて触れておきます。

住宅での事故は階段が一番多い

住宅の中で事故が一番多いのは階段です。年齢別に事故の割合を見ると、0歳〜4歳ほどの幼児が3割ほどを占め、65歳以上の高齢者が1.5割ほどです。高齢者の事故は、重症化する事も多いようです。

階段が危険な理由

では、階段が何故危険なのでしょうか?階段が危険と考えられるものは、以下の要素があげられます。

  • 階段の段差
  • 手摺がないもの
  • 曲がり箇所のある階段
  • 段鼻が出ている

この中でも、当たり前ですが、階段の段差の要素が最も事故の原因になっていると考えられます。元々緩やかな階段であっても、幼児や高齢者にとっては、住宅の中で段差が大きい場所であることは間違いありません。それが急であると尚更危険であることは説明不要でしょう。

住宅の階段が急である場合は、緩やかにすることで少しでも事故を軽減できるはずです。

住宅階段の傾斜基準

住宅の階段の傾斜には決まりがあります。その決まりを守った上で各住宅によって階段が設置されています。その傾斜基準、そして、安全の目安となる基準をご紹介します。

住宅階段の傾斜は建築基準法で定められている

建築基準法は、建築物を作る際に最低限守らなくてはいけない基準です。建築基準法の中においては、住宅の階段の基準が定められているので紹介します。

  • 階段の巾:75cm以上
  • 蹴上げの高さ:23cm以下
  • 踏面の奥行:15cm以上

これらの基準を換算すると、勾配は57度です。

この基準ギリギリで設置すれば確かに法律違反にはなりませんが、階段は57度という急勾配となり、とても現実的な生活には不向きなものです。

住宅ローン「フラット35」の基準に合わせると理想的

住宅を建てる際に、住宅ローンを組むのが一般的ですが、旧住宅金融公庫の35年固定金利のフラット35では、融資基準として建築物の各構造等に対して基準を設けています。その中で、階段の基準もあるので紹介させていただきます。

  • 高齢者配慮対策等級4:勾配6/7(40.6度以下)

この40.6度程が住宅において理想的とされる勾配になります。

階段を緩やかにするリフォーム方法

では、階段が急で緩やかにしたいと考えたときに、どのように緩やかにできるのか、ここからは、階段を緩やかにする為のリフォーム方法を紹介していきます。

方法1.階段を付け変える方法

階段を緩やかにするリフォームの基本は、元の階段を撤去して新しい階段に付け変えることです。物理的には、元の階段に被せてしまう工法も考えられますが、急な階段の上に緩やかな階段をつける事は、元の階段をバラバラにするなどの手間がかかり現実的ではありません。

ですので、現在の階段を解体して、新しく違うものを設置するという方法です。

方法2.既存の踏面に板をおき、段数を足す方法

このリフォーム方法は、既存の階段を利用したリフォーム方法です。

既存階段の全ての踏面部分に板をおいて、1段1段の高さを抑えます。そうすると登り1段目の高さだけが上がってしまうので、その前に段を足します。そうすると階段の全長が伸びて、傾斜が緩やかになります。

【注意】緩やかにするには、スペースが必要

階段を緩やかにするという事は、2階までの高さが変わらないので、階段の全長が長くなるということです。つまり、それまでの階段よりも上り1段目の位置を前に移動させる必要が出てきて、スペースが必要になります。

角度を緩やかにするためには、踏み面の奥行きを長くする事、または、蹴上げ高さを低くする事です。踏み面の奥行きが長くなると当然、階段の全長が長くなります。同様に蹴り上げの高さを低くすると、その分階段数が必要になり、全長が長くなります。

つまり、階段で使っているスペースよりも、もっと必要になってくるという事です。

スペースが無い場合、どうしても確保できない場合は、手摺などを設置して危険性を緩和することが望ましいでしょう。

リフォーム費用

緩やかにするだけのスペースがあり、リフォームを検討される方は、気になるのは、費用面かと思います。

階段を付け変える方法によって、新しい緩やかな階段を設置する費用は、概ね120万円から150万円かかるとされています。

床材のグレードや、階段設置の付帯工事がある場合には更に費用がかかるので注意が必要です。

対して、段数を付け足す方法では20万円から50万円ほどの費用となります。

まとめ

文中でも解説させてもらいましたが、急な階段は事故の元です。急な階段をお持ちのお宅は、予算とスペースが確保できれば是非ともリフォームをして、怪我や事故が起きにくいお住まいにされてみてはいかがでしょうか。

また、大規模なリフォームをお考えになっているようであれば、間取り等の見直しも含めて、階段のリフォームも検討してみてください。