
基礎知識
広葉樹の無垢材の種類と特徴
公開日:2019年06月17日
広葉樹の木材の特徴

丸っこい葉っぱの広葉樹の特徴は硬くて傷がつきにくいことです。曲がって成長するため建材として加工するのが難しく、価格は高めになる傾向があります。針葉樹に比べ、環境の変化による収縮が少ないのも広葉樹の特徴のひとつです。
家づくりに使われる広葉樹は、クリ、サクラ、ナラなどが代表的で、これらはすっきりした木目でひんやりとした端正な印象を与える樹です。収縮が少ない広葉樹の建材は、内装材や化粧材などで広く使われています。床暖房の床材としても優秀な木材です。
広葉樹の無垢材の種類
ケヤキ
日本各地にケヤキ並木があることからも分かる通り、ケヤキは日本人にとってとても身近な木です。木目は美しく風格があり、硬くて強靭な木材です。
身近な木ではありますが、建材としては大変高価で貴重な樹種です。なぜならケヤキは、伐採してから建材の無垢材として使えるようになるまでに、非常に時間と手間がかかるからです。質のいい建材に仕上げるには、充分に乾燥させなければなりませんが、あばれ(木材が変形すること)が多く扱いやすいとは言えません。
また、中心部の心材しか使えないため、大黒柱などに使うとなると太い木が必要となり、高級材として扱われています。
サクラ
春になると、誰もが花見をするほど日本人には身近なサクラですが、建材としてのサクラ無垢材は比較的高級品として扱われます。高級家具やフローリング材としてよく使われ、色はとてもきれいなピンク色、木目はやさしく目立ちません。サクラは広葉樹のため硬く、耐久性が高いのが特徴です。また湿気に強く、水まわりに使われる場合もあります。
近年よく出まわっている木材に「樺桜」がありますが、これは桜ではありません。安価な樺のことを「樺桜」と呼び、建築・家具業界では樺桜を「桜」として扱うケースがあります。そのため、区別するためにサクラ材を「地桜」と呼ぶこともあります。
ナラ
ナラはフローリング材や家具、ウィスキーの樽などによく使われる硬くて丈夫な樹種で、心材は黄褐色、辺材は白っぽい木です。特徴は木目の杢で、虎の毛の斑点のように見えることから虎斑杢(とらふもく)と呼ばれています。硬くて加工は難しいですが、丈夫なためフローリングや備え付け家具に適しています。耐久性を求められる公共機関の床材に採用されることからも、その強さがお分かり頂けると思います。
白っぽい色でありながら、木目がはっきりしているナラには、高級感があり、部屋を明るく広く見せる効果があります。模様が美しく、洋風、和風、モダンとどんな雰囲気の家にも合わせられるのも魅力の一つです。
カバ
カバは比較的廉価な木材で、木目があまり目立たないことから、幅広い用途に使われています。重くて強度があり、床材に選ばれることも多い建材です。
白っぽい色で木目が大人しいので、無難な仕上がりになります。手頃ですが、仕上がりに安定感があり、見た目は上品で高級感があります。好みが分かれることもなく、どんな人にも受け入れられる安心の樹種です。
カバは、どちらかというと経年による色合いの変化が少ないと言われています。ただし、塗装を施すと色の見え方がかなり変わり、たとえばオイルなどを塗ると、黄色みが強く感じられます。
タモ
タモは主に日本、中国、ロシアを原産とする樹種で、高く真っ直ぐに成長する木です。幹は太くて長く、節のない木材が多くとれます。木目が均一で無駄なく使える上、硬くて弾力があります。そのため建材だけでなく、楽器やバットにも加工されます。
心材と辺材の色がはっきりと異なり、自然の風合いをより楽しめる木材です。太い幹は断面が真円に近く加工しやすいため、1本の木で流れるような木目を楽しめます。美しい木目を生かした床、窓枠、カウンター、テーブルなどに多く使われ、合板の材料としてもよく用いられています。
カエデ(メープル)
カエデは多くの種類がある木ですが、建材として使われる場合の多くは、メープルと呼ばれています。重くて硬さがあり、色は明るく光沢があります。光の反射で部屋を明るく見せてくれる効果があり、床材としてとても人気のある樹種です。鳥の目のように見える鳥目杢(ちょうがんもく)と呼ばれる斑点が特徴です。
木目が美しく、加工表面も綺麗に仕上がることから、床材以外の造作材としての用途も多くみられます。またこけしの材料としても有名です。硬度の異なるハードメープルとソフトメープルに大別されますが、どちらもほぼ同じ用途で使われます。
チーク
チークは強靭で耐久性が高い木材です。耐湿性によりシロアリなどの虫に強く、建材として大変優れています。そのため高価で、チークの無垢材ともなると最高級品といえるほどです。インド、ミャンマー、タイなど東南アジアに分布しています。
堅くて伸縮性が少ないですが、加工はしやすく弾力があります。曲げにも強く、光沢があり木目が美しいため建材だけでなく家具や船舶用材にも使われています。
チークは年月と共にロウ状の成分が徐々に染み出ることで深い色合いへと変化していきます。木目は真っすぐで美しく、縞模様のように見えます。心材は暗金褐色、辺材は黄白色です。世界三大銘木の1つです。
クリ
クリは日本で伐採する木の中では最も保存性が高い樹種です。耐水性に優れ、重厚で弾力もあります。土台や床材のほか、内装材としても使われます。
心材は褐色、辺材は褐色を帯びた灰白色です。クリの無垢材は重厚感があり、落ち着いた空間の演出にピッタリです。木目はほぼ真っ直ぐではっきりしています。
湿気に強く、強度と保存性に優れていることから、かつては土台によく使われていましたが、現在はその美しい木目を生かして内装用の無垢材として使われることが多くなっています。ただし変形を起こしやすいため、充分に乾燥させた建材を使うことが重要です。また加工性にはあまり優れていません。
ウォールナット
ウォールナットは、アメリカやカナダに分布するクルミ科の輸入材です。高級品に位置づけられており、世界三大銘木の1つでもあります。枝木の分かれ目の部位は特に模様が美しく、希少性があり高価です。
心材は茶色~紫赤色で、特にダークな色合いのブラックウォールナットは人気があります。落ち着いた色と美しい木目は高級感があり、家具や無垢材フローリングに使われています。
しっかりと乾燥させる必要がありますが、乾燥後はほとんど変形が生じない優れた樹種です。割れにくく、加工性が高い上、塗装に頼らなくても美しい艶があります。より光沢を出したい場合には、コーティングを施すことも可能です。
ブビンガ
ブビンガはアフリカに分布する大木で、床材や造作材、家具などによく使われます。とても硬質で強度があり、シロアリにも強い優れた木材です。辺材は淡く、心材は桃色~赤褐色です。木目はほぼ通直で緻密、重厚な風合いです。
加工はさほど難しくはありませんが、硬質なため手間がかかります。また乾燥にも時間がかかり、不十分だと反りや割れが生じやすくなります。加工時には充分に乾燥させることが重要な木材です。
光沢があり、コーティング材の馴染みも良いので仕上がりはとても綺麗です。幹が太く大きいので幅広材がとれ、大きな一枚板が求められるテーブルやカウンターなどにも多く用いられています。