太陽光発電リフォームのノウハウ

メンテナンス(手入れ、掃除)

太陽光発電のメンテナンス

メンテナンスの重要性

太陽光発電システムは、他の機器と比べて故障が少ない機器であると言われていますが、全くメンテナンスが不要というわけではありません。

少し前まではメンテナンスフリーと謳われることも多かった太陽光発電ですが、適切なメンテナンスが行われなかったことによる不具合や故障が想定より多く発生したのも事実です。そもそも何もせず何十年も放っておいて問題ないような単純な構造の機器ではなく、多くの機器や電気回路で成り立っている電気製品です。点検・保守が不可欠であることを覚えておきましょう。

また故障までいかなくとも、些細なことが原因で発電量が落ちることもあります。長期間安定した発電量を維持するためには、メンテナンスが必要です。

太陽光発電システムの不具合は気付きにくい

太陽光発電システムの不具合は分かりにくいため、気が付かないまま過ごしてしまうことがよくあります。全く発電しなくなる、いきなり発電量が半分になるなど極端な変化があれば別ですが、多少発電量が下がったぐらいでは、故障なのか天候の問題なのか判断がつきません。

システムの不具合で発電量が落ちていることに気付かなければ、長期に渡って損失を出してしまう可能性がでてきます。せっかく導入した太陽光発電システムを最大限活用するためにも、日頃から発電量をこまめにチェックする癖をつけておくことをおすすめします。すべての不具合に気付くことはできませんが、異常に気付くきっかけになるかもしれません。

メンテナンスの頻度と点検箇所

太陽光発電システムにおけるメンテナンスの頻度は4年に1回以上行うのがよいでしょう。故障がないかはもちろんのこと、能力に見合う発電ができているかどうかもチェックします。

主な点検箇所はシステムの要となるモジュール、接続箱、パワーコンディショナです。モジュールは鳥の糞など頑固な汚れがついていないかどうか、固定されているかどうか、ケーブル類が収まっているかどうかを点検します。接続箱は配線状況、部品の固定状況、防水ができているか、サビが出ていないか、などをチェックします。パワーコンディショナは作動確認、エラー履歴の確認、異音の有無などをチェックします。

代表的な問題や不具合について

太陽光発電にはメンテナンスの必要がない、というイメージが先行してしまったため、具体的にどういったお手入れを行えばいいかわからない方も多いと思います。そこで、比較的起こりやすいトラブルやその対処法をいくつか挙げてご紹介します。

太陽光パネルの汚れ

太陽光パネルは傾斜をつけて設置しますので、ある程度ならゴミや汚れが付着しても雨や風で洗い流されます。それほど清掃に神経質になる必要はありません。

しかし、鳥の糞や油性の浮遊物などが付着すると、雨風くらいでは簡単に落ちません。部分的な汚れであっても、放置するとそれが原因で全体の発電量が落ちる可能性があります。極端に発電量が落ちればすぐに気が付きますが、汚れによる発電量の低下はわずかですので気が付きにくいものです。

雨や風で洗い流されない汚れが付着した場合には清掃が必要となることを覚えておきましょう。

ホットスポット現象

ホットスポット現象とは、太陽光パネルの一部が発熱し、セルが不具合を起こしたり破損したりする状態のことです。原因は落ち葉や鳥の糞、ゴミなどが長期にわたって付着してパネルに影ができることや、製造時の不具合などです。一部のセルが不具合を起こして発電しなくなると、そのセルが電気抵抗により発熱し破損を起こします。場合によっては発火することもあります。

ホットスポット現象を防ぐためには、定期的な点検、清掃しかありません。点検で発電していないセルや、ゴミの付着などを見つけることが大切です。

汚れへの対処法

太陽光パネルが汚れてしまったら、本来の発電量を取り戻すためにも、早めに清掃をする必要があります。

家庭用高圧洗浄機でも綺麗になりますが、作業をするには屋根にのぼらなくてはなりません。自分で行うのは大変危険です。また素人が行うことによって、汚れは取れたが水垢がついてしまった、というような事態も起こりえます。専門の業者に依頼するのが良いでしょう。

配線の接続不良

1枚の太陽電池モジュールは複数のセルで構成され、セル同士は配線で繋がれています。施工に不備がなく、セル自体には問題がなくても、自然環境などの影響で接続不良や断線を起こすことがあります。

原因は様々ですが、地震の揺れ、経年劣化、鳥の侵入などが考えられます。配線不良が起きるとモジュールが部分的に発電しなくなると、全体の発電量が落ちることになります。配線の修理や、場合によってはセルの交換が必要です。

パワーコンディショナの不具合

パワーコンディショナは、屋根に設置した太陽電池モジュールで発電した直流電力を、家庭内で使えるように交流電力に変換する重要な装置です。

モジュールでしっかり発電をしていても、パワーコンディショナの変換効率が落ちると、使用できる充分な電気を得ることができません。使用できる電力が落ちれば家庭内の電気を充分にまかなえないだけでなく、売電量も減ることになります。つまりパワーコンディショナの劣化、故障は発電量が落ちているのと同じ状態です。定期的なメンテナンスが欠かせません。

不具合や故障への対処法

パワーコンディショナの耐用年数は10~15年ほどですが、特に屋内用は湿気や温度に弱いため、使用状況によっては数年で不具合が出ることもあります。一般的には概ね10年を過ぎたあたりからエラーが出やすくなります。修理や部品の交換で済むこともありますが、本体の交換もいずれは必要になってきます。太陽光発電システムの中で比較的故障しやすく、寿命が短い装置と言えます。

パワコン内部の電子機器は熱によって劣化が進み、変換効率が悪くなります。最近は10年保証のメーカーが多くなっていますので、保証が切れる少し前のタイミングで点検を受けると良いでしょう。

売電メーターの交換

太陽光発電にて余った電気は電力会社が買い取りますが、売電量を計るために必ず売電メーターが必要になります。売電メーターは法令で10年ごとの点検が義務付けられており、点検のタイミングで新しいものと交換します。

交換費用は電力会社負担になる場合と自己負担になる場合とがあります。どちらになるかは電力会社と売電メーターの所有者によって決まります。売電メーターの所有が電力会社であれば電力会社負担、施工主の所有であれば施工主負担が基本ですが、電力会社所有でも交換費用は施工主負担、というケースもあります。事前に電力会社に確認しておきましょう。