障子張替えのノウハウ

基礎知識

障子を知る

障子とは

障子とは、木枠に薄い和紙を張ってある建具のことです。
部屋の間仕切りとしてだけでなく、窓ガラスの内側に設置されることもあります。一般的には木枠に15cm×25cm程度の同じ大きさの和紙が張られ、ノーマルなデザインのものもあれば、全面に和紙を貼ったもの、一部を板張りにしているものなどいろいろなデザインがあります。

ふすまとの大きな違いは、採光の有無です。ふすまには全体に一定の厚みがありますので、閉めると視線と同時に光も遮ります。しかし、障子は閉めることで外部の視線や風を遮りつつ、和紙が張られた部分から光を取り入れることができます。

奥の採光が届かない部屋などでも明かりを取り入れられる建具であることから、「明かり障子」とも呼ばれていました。和紙を通じて入る光は独特な風合いを作りだすため、日本の和風建築の代表的な建具とも言えます。

障子の構成

障子は、枠組みの両横は竪框(たてがまち)、上が上桟(かみざん)、下が下桟(しもざん)と呼ばれ、中には横と縦に張り巡らされた組子(くみこ)で構成されています。

また、障子はそのかたちや組子の組み方によって様々な種類があり、呼び方も地方によって異なります。

障子の形状によって分けられる種類

障子における組子の組み方は、長い年月を経てバリエーションを増やしてきました。使用する地域や目的、設置する部屋によって様々な種類の障子を使い分けることが可能です。
また、関東や関西など地域によって好まれる形状も異なるため、それぞれの地域で独自の発展を遂げています。

荒組障子 縦横の組子の間隔が比較的大きく荒めに取られている障子のことです。荒間障子とも呼ばれ、癖のない形状なため多く使用されています。
横繁障子 横方向の組子が通常よりも多く入れた障子で、関東地方に好まれるタイプです。
縦繁障子 横繁障子の反対で、縦方向の組子が通常よりも多い障子です。関西地方で多く使用されています。
腰付障子 前面に組子は張らず、下部に腰板をはめ込んだ障子のことです。様々な板の種類や形状があり、腰板に絵画が描かれたものや、ふすま張りが施されているタイプもあります。ちなみに、腰のない障子のことを総称して水腰障子と言います。
猫間障子 下半分にガラスを嵌め込み、上下にスライドが可能な小障子を組み入れてあります。障子を閉めている状態でも猫が出入りできるように小窓を付けたことがはじまりで、元々はガラスのない状態が主流でしたが、気密性を高めるために近年ではガラスが埋め込まれるようになりました。
雪見障子 猫間障子の一種で、障子の建具内に小さな障子を嵌め込み、上下左右に動かす仕様になっているため摺上げ障子とも呼ばれています。腰付障子の下部に小さなガラスが嵌め込まれているタイプもあり、障子を閉めた状態でも外の様子を伺えたり、景色を眺めたりすることができます。

障子の素材

国産材

赤杉 赤みを帯びた心材の柾目杉で、杉独特の柔らかさと上品な木目が特徴です。
日本の風土に合っており、最も高級な造作材として長年使用されています。
備州ヒノキ 緻密で均質な心材で、生産地によって性質に違いが見られるのが特徴です。
建具材としての人気も安定しており高級感もあるため、昔から座敷の障子には伝統的なヒノキが採用されています。

輸入材

米ヒノキ(米檜) 黄褐色や桃褐色の心材で、日本のヒノキと比較して色が濃く木目の細かさが特徴です。
耐久性に優れており、加工時の狂いが少ないため製品の仕上がりも良くなります。
ヒノキと材質が類似しており価格も手頃なことから、代替品として広く出回っています。
米杉 ヒノキ科のネズコと同じ種類ですが、杉とは異なります。
杉に色目が似ているため「米杉」と呼ばれており、密でまっすぐに通る木目が特徴です。軽くて柔らかいため加工性は高いですが、表面の仕上がりは中級クラス程度です。また人によってはアレルギー症状を引き起こす原因になることがあるので注意が必要です。
スプルース 主に北米から輸入されるマツ科の木材で、淡黄白色で通直な木目と密な木肌が特徴です。
軽軟なので加工性に優れており、比較的安価なことから一般的に多く使用されていますが、色焼けしやすいというデメリットもあります。
軟らかいという特徴の反面、繊維が強いため建具を繊維方向に強く搾りすぎると、表面が剥げてしまうことがまれにあります。

障子がもつ効果とは

部屋が明るくなる

障子に使われている和紙には直射日光を遮り、光を拡散させる機能が備わっています。
光が拡散されることによって部屋全体が柔らかい光に包まれ、明るく見せることができます。障子の光の透過率は40~50%であるため、ほどよく日光を遮りながら効果的に光を室内に取り込む事ができます。

室内環境を快適に保つ

障子は通気性や吸湿性、保湿性、断熱性に優れており、室内環境を快適に保ちます。
室内の暖かい空気を外へ逃がさず、外部からの熱を伝えにくくする効果があるため、冬の寒さを軽減してくれます。また夏には日射を遮ることで暑さを軽減し、冷房の効率が良くなります。湿度が多い時には和紙を通して外へ排出する効果もあります。
他にも障子には室内の温度をコントロールする機能があります。
冷たい空気は下へ流れる性質がありますが、内障子を設けることで空気が直接窓に当たるのを防ぎ、床近くの温度が下がるのを軽減します。

照明の効果を引き立たせてくれる

和紙が光を反射すると同時に部屋全体に拡散させるため、照明効果を高め部屋をより明るくします。反射率は60%にもなり、夜になると障子が間接照明としての役割をも発揮します。
このように和紙が持つ光を拡散させる機能には、照明の効果を引き立たせる役割もあります。