
基礎知識
畳の良いところ
公開日:2015年08月10日
高い断熱性や保湿性がある
畳表に用いられるい草や畳床のワラの内部は、スポンジ状になっており、たくさんの空気がしっかりと詰まっています。
空気は熱を伝えにくい性質を持っていることから、夏は暑い日にもひんやりとした心地よい肌触りを感じることができ、冬は室内に溜まった暖かい空気を逃さないので、年間を通して快適に過ごすことができます。
夏の暑い空気や冬の寒い空気を遮る働きにより、冷暖房が効きやすくなるので省エネかつ経済的です。
また、畳の内部に含まれた空気は、断熱性だけでなく保湿性を高める効果もあるので、快適な室内空間を長時間保つことが可能です。
吸放湿性がある
畳表に用いられるい草には、空気中にある余分な湿気をスポンジのように吸収する働きがあります。
畳床のワラにある空洞部分が湿気を放出することから、畳は呼吸をするようにして室内の湿度を調整しているのです。空気が乾燥している際には多めに空気を放出することで、程よい湿り具合を保って乾燥を防ぐ効果もあります。
また、ゆっくりとしたペースで湿気の吸収と放出を繰り返し、畳一帖でおおよそ500mlの吸湿が可能なので、高温多湿の日本では昔から現代に至るまで、柱の木や障子と同様に重宝されている住宅材料のひとつです。
弾力性がある
畳には程よい弾力性があるので、歩いたり寝転んだりしても心地よく感じることができます。
それは畳の表面に使われているい草の中に空気がたくさん詰まっているため、踏むとフカッとした感触になるのです。さらに、芯である畳床は40cm程に積んだワラを5cmまで圧縮して作るので、柔らかすぎず硬すぎない絶妙なバランスになるのです。
また、弾力性があるということは、クッション性もあり転倒などによる衝撃も和らげてくれる効果があるため、小さいお子様や高齢者がいる家庭などにも安心です。
空気を浄化してくれる

い草が放つ清清しい独特の香りには空気を浄化する作用があるため、森林浴と同様のリラックス効果を得ることができます。他にも鎮痛効果や集中力を高めるなど、い草の香りにはさまざまな効果があります。
い草の中は空洞で、スポンジのように無数の小さな穴が開いており、これらが二酸化窒素やアセトアルデヒドなど、人体に悪影響を及ぼす可能性のある物質を吸着する働きがあることがわかっています。このことから、い草には室内の空気を浄化してくれる効果があるということです。
さらに、シックハウス症候群の要因とされているホルムアルデヒドにも同様の効果が得られており、精神面だけでなく健康への効果も大いに期待できると言えるでしょう。
吸音性や遮音性に優れている
畳床に使用されているワラに含まれる多くの空気には、高い吸音効果があります。この空気が足音や生活音、ステレオやテレビなど様々な音や振動を吸い込んでくれるので、静かな空間を保つことができます。
さらに、畳は遮音性にも優れているので、多少乱暴に歩いたり小さな子供が走り回ったりしても周囲の部屋への音の影響は軽減されます。
和室といえば多くの人が「静かで落ち着いた雰囲気」をイメージしますが、畳による視覚的な印象だけでなく実際に余計な音を吸収する働きによりシーンとした静けさを実現しているのです。
お寺や高級料亭などで体感する静けさも、畳が大いに影響していると言えます。
難燃性がある
畳は高さ40cmほどのワラを5cmまで圧縮して作られているため、燃えにくい特性があります。紙も1枚だとすぐに燃えますが、電話帳のように分厚くなるとなかなか燃えないのと同じ原理です。
あわせて畳内部には常に適度な水分を含んでいるため、すぐに火が燃え広がることもありません。万が一火が付いてしまっても一気に燃え上がることはなく、焦げる程度で収まることが殆どです。寝タバコで火事になりかけたが畳を焦がしただけで済んだという実例も少なくありません。
また、畳は天然の植物から作られているので、一酸化炭素などの有毒ガスも発生しないので安心して使うことができます。
畳はプラスの効果を与えてくれる
畳はただの床材ではなく、私たちにさまざまなプラスの効果を与えてくれます。
光によるやすらぎ効果
人間の皮膚は、呼吸をするのと同時に光も吸収しています。人は皮膚の色に近い光の反射率の色には安心できるという本能があります。畳の部屋の反射率は日本人の皮膚の反射率とほぼ同じなため、安らぎ効果が高いと言われています。
鎮静作用でリラックス効果
畳の部屋に入ると、その香りでまるで森林浴をしているかのようなリラックス効果を感じる事ができます。それは、い草にフィトンチッドやバニリンなどの成分が含まれているからです。
フィトンチッドは樹木から発散される芳香成分で、この匂いが森の香りの源となり森林浴をしているような気分にさせてくれます。また、バニリンはケーキやお菓子などに使われているものと同じ「バニラ」の香りです。これらは高いリラックス効果や鎮静作用があると言われています。他にもαーシペロンやジヒドロアクチニジオリドという成分も含まれており、リラクゼーション効果に役立つとされています。
抗菌作用がある
い草には、水虫菌をはじめ、足の臭いの原因となるバクテリアや、食中毒の原因となるサルモネラ菌やO-157、肺炎の原因となるレジオネラ菌など様々な菌に対して天然の殺菌効果があります。その作用は時間とともにその効力も分解され減少していき、その効力はおよそ5年とされています。