畳張替えのノウハウ

費用相場

畳の張替えリフォームの費用相場

日本人にとって馴染み深く、現在でも多くの住居に使われている畳。い草の香りが心を落ち着かせてくれ、好んで和室を設ける方も多くいます。しかし、年月が経つと表面の擦れや色褪せ、さらには踏んだ時に沈むようになってしまったりと、畳は劣化がつきものです。そこで今回は劣化してしまった時に検討される張替えについて、その費用や張替えの目安を紹介します。

畳の構成

畳は以下の3つの部材から構成されます。

・畳表
・畳床
・畳縁

まずは、これらの部材ごとに、どういった物があるのか、それぞれをご紹介します。

畳表

畳表は畳の表面のい草を織り込んで作られた部分のことを言います。畳表の見た目や強度によって印象が変わるため重要な部分となりますが、畳表の品質について知っている方は少ないと思います。畳表の品質を決める主に重要視される3つのポイントを紹介します。以下で紹介するポイントから品質が定められ、どのような畳表を使用するかによって張替えの値段も変わってきます。

ポイント1.い草の長さや量

畳表は前述したようにい草を織り込んで作るため、い草が丈夫であれば良い畳表ができます。使用するい草の長さが長ければ、丈夫であるい草の中央部分で織り込むことができ、逆に短いとあまり丈夫ではない端の方まで織り込まれてしまいます。また、色合いにおいても、い草の中央部分は鮮やかな緑色をしていますが、端の部分は茶色や白っぽくなっているため、長いものを使用した方が綺麗な仕上がりとなります。そして織り込むい草の量が多いほど厚みのある畳表ができ、丈夫で長年使えるものとなります。

ポイント2.縦糸の種類

い草を織り込む際には縦糸を通します。この縦糸の強度によっても畳表の品質は左右されます。使用される縦糸は主に、麻と綿です。麻の方が強度は高く、より多くのい草を織り込むことができます。しかし、縦糸が強すぎると畳独特の柔軟性が低くなってしまうため、麻と綿をバランスよく使うことが重要となります。

ポイント3.い草の産地

い草の生産される場所によって、い草自体の品質が異なります。い草は主に国産もしくは中国産です。国産の中でも熊本産は最高級品質のい草とされています。現在一般的に普及しているものは中国産ものが多くなっています。

畳床

畳床とは畳表の下にある畳の芯材に当たる部分のことを言います。畳床は大きく分けて3つの種類があります。

ワラ床

ワラを主原料とした、昔ながらの畳床です。築年数の高い住宅にはこちらが使用されていることが多いです。ワラならではの吸放湿性によって夏場でも快適に過ごすことができます。しかし、自然素材でできているため、ダニの発生が著しく、問題視されるようになりました。また、ワラ床は重量が大きいことや、作る職人によって品質の差があることから、最近では使われることが少なくなってきました。

ワラサンド床

ワラ床の間にポリスチレンフォームなどの断熱材を挟んだ畳床です。断熱材を挟むことで、断熱性の向上や軽量化に成功し多く普及しました。しかし、ワラ床部分のダニの問題から、使用率は減少しています。

建材床

ワラを使用せず、たたみボードやポリスチレンフォームで構成された畳床です。ワラを使用していないため、ダニの発生を抑えることができ、軽量であることや品質の差も少ないことから、現在では畳床の主流になっています。

畳縁

畳縁とは、畳の両端にある幅約3センチの布状の部材のことを言います。畳縁には綿糸や合成繊維糸、金糸が使用されています。ほとんどの畳屋では畳の張替えの金額に畳縁の金額も含まれていることが多いです。畳屋によって柄は多種多様ですが、主に使われている柄のサンプルなどもあるため、そこから選ぶことをお勧めします。

張替えの方法

畳を張り替える方法は以下の3つです。

裏返し

既存で使用されている畳表を裏返して使用し、畳縁のみ取り替えます。この方法は畳表が丈夫で、大きな傷みのない場合に可能です。比較的安価に綺麗な状態にできますが、張り替えた後の耐用年数は短いのであまり長くは持ちません。また、建売の住宅やマンションの畳の場合、畳表自体が丈夫でない場合が多いので注意が必要です。

表替え

畳床は既存のままで畳表を新しく張り替える方法です。表面のみ傷んでしまっていたり、色褪せが気になる場合はこの表替えで対応が可能です。畳を全て新しくするより安価にすみ、見た目も綺麗になる他、耐用年数も比較的長いため人気の張替え方法です。

新畳

畳床を含めて全て交換する方法です。長年使用している畳の場合、人がよく通る場所は畳床が傷んでしまい、ふかふかしたような感触になります。その場合、畳床からの交換が必要となります。この方法は畳床、畳表、畳縁全て交換することになるため、張替え費用は高くなります。

張替え費用の相場

畳の張替えは前記した3つの方法があります。また、い草の産地や本数、何番草か(丈夫さ)によってグレード分けされています。一畳当たりの裏返し、表替えの費用の相場は以下の通りです。

格安品 中級品 高級品 最高級品
裏返し 2,000〜3,000円
表替え 3,000〜5,000円 5,000〜8,000円 8,000〜12,000円 12,000〜15,000円

※格安品…中国産のい草を使用、縦糸:綿
※中級品…国産のい草、4・5番草を使用、縦糸:麻・綿
※高級品…国産のい草、2・3番草を使用、縦糸:麻・綿
※最高級品…熊本産のい草、1番草を使用、縦糸:麻・太綿

また、畳床には3つの種類がありそれぞれ価格が異なります。以下が一畳当たりの畳床の費用の相場です。

建材床 ワラサンド床 ワラ床
新床 4,000〜8,000円 5,000〜8,000円 6,000〜15,000円

畳を新畳する場合は、『表替えの価格』+『新床の価格』になります。選ぶグレードや種類によって価格は大きく変わるため、それぞれの特徴を知った上で選択をすることが重要です。

張替えの目安

畳の張替えは、使用年数によって張替えできる方法が変わってきます。以下に張替えの方法ごとの使用年数や傷み具合の目安をご紹介します。

裏返しは、使用年数5年前後

裏返しは畳表の表面のみ傷んでしまっている場合に有効な方法です。多少のささくれや色褪せであれば裏返しで対応が可能です。しかし元々の畳表が格安品や中級品の場合、裏返しは難しいこともあるので注意が必要です。

表替えは、使用年数5〜10年

使用年数が5年を過ぎてくると良い畳でも傷みが目立ち始めます。ささくれが大きくなったり、擦れて下の畳床が見えてきている場合は張替えが必要です。その場合は裏返しではなく表替えの方が綺麗に仕上がります。

新畳は、使用年数10〜20年(ワラ床の場合)

使用年数が10年を過ぎてくると、表面だけの劣化ではなく芯材である畳床にも劣化が見られます。踏んだ時に沈んだり、キシキシと音がなるなどの症状は畳床も交換し新畳にする目安です。年数的には表替えは1、2回が限界でその後は畳床も交換しましょう。ただし、最近普及している建材床の場合、耐用年数はワラ床よりも長いため、長く使用できる場合もあります。

特殊な畳をご紹介

一般的に住宅で使用されているのは縁付畳ですが、最近ではニーズに合わせて様々な種類の畳が作られています。ここではいくつかの種類をご紹介します。

縁無し畳

一般には琉球畳と呼ばれています。縁がない分シンプルで洋風な家の作りにも合うため最近では人気になってきています。

和紙畳

畳表にい草ではなく和紙を使用した畳です。い草に比べて変色が少ないことが特徴です。

化学表畳

畳表い草ではなく化学繊維の樹脂を使用した畳です。樹脂のため変色がほとんどなく、水をこぼしても拭き取ることができます。耐久性も高いですが、樹脂のため熱には弱いという特徴があります。

その他

また、最近ではフローリングに敷き込む用の畳や、い草を染めて色をつけたカラー畳なども作られています。畳屋さんでは多くの要望に応えてくれるので、特殊な畳にしたい方は相談してみるのもお勧めです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。畳の張替えの目安や費用についてご理解いただけたかと思います。畳は比較的安価に張り替えることができるので、こまめに張り替えて、い草の匂いや風合いを感じる生活も良いと思います。また、最近では様々な畳が作られているので、張替えの際に雰囲気を変えても良いかもしれません。