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ベランダ・バルコニーを撤去することはできる?無くすメリットやデメリット
公開日:2020年01月22日
一般的に住宅にはベランダやバルコニーが設置されていますが、近年、ベランダやバルコニーは必要無いという方が増えてきました。ベランダやバルコニーを撤去することで起こるメリットやデメリットなどをご紹介したいと思います。
ベランダ・バルコニーを撤去することはできる?

ベランダ・バルコニーは後からリフォームで撤去することはできます。メンテナンスに手間や費用がかかるのであれば、いっそのこと無くしてしまうこともひとつの選択肢でしょう。
そもそも、一部例外を除いて、基本的には、戸建て住宅にはベランダやバルコニーを設置しなければならない義務はありません。
一般的な建売の戸建て住宅などでは、ベランダを設置されていますが、これは一般的な需要に応えているだけなので、必ず必要で設置しているわけではありません。ですので、ベランダやバルコニーが必要無いと思えば、撤去したり、バルコニー部分に増築して部屋を広げたりすることが出来ます。
初めから必要無かったものや、子供が巣立った後、必要以上に大きいベランダやバルコニーを使わないまま放置すると、メンテナンスされないままになり、雨漏れなどの原因になってしまいます。必要無ければ、撤去するのも一つですが、せっかくスペースがあるので部屋の増築を検討すると選択の幅が広がります。
【例外】法律や条例でベランダ・バルコニーが必要な場合がある
例外があります。豪邸のような一定規模以上の面積や階数を超えると、特殊建築物と同じような制約が法律で定められています。このような建物は、特殊建築物のように2方向非難が必要になってきたり、火災時の消防隊の非常用侵入口が必要になったり、住人の非難バルコニーが必要になったりします。
他には、地域によって条例などで制約を受ける場合があります。景観の条例や建築協定を定めている地域では、例えば、エアコンの室外機や給湯器等が見えてはいけない地域がありますので、室外機置場としてサービスバルコニーを設置しなければならない場合があります。行政によって内容が変わりますので、あらかじめ、施工業者や設計事務所に確認することをおすすめします。
ベランダ・バルコニーを撤去したときのメリット
外観が綺麗になる
ベランダ・バルコニーがあったヵ所を無くすことによって、外壁の凹凸が少なくなりすっきりとした印象の外観になります。
清掃が楽になる
雨が溜まった跡や、雨垂れの跡が着く心配がなくなることと、風に乗って飛んできたごみや落ち葉などが溜まる心配もなくなるため、清掃が必要なヵ所が減るので清掃が楽になります。
セキュリティ面が向上する
ベランダ・バルコニーのそばに登れてしまうものがある家は特に言えることですが、空き巣がベランダの中に入ってしまうと外部からは中々見つけることが出来なくなってしまいます。隠れる場所にも、足場にもなってしまいますので、侵入される危険性のあるバルコニーは特にベランダを無くすことをおすすめします。足場がなく、危険で人目に付くようにすれば空き巣に狙われる危険性を極端に下げることが出来ます。
ベランダ・バルコニーからの雨漏れ、地震時のひび割れの心配がなくなる

ベランダ・バルコニーの防水の耐年数は新規で10年保証、リフォームの物で5年保証が一般的です。
それに比べて、屋根の防水は20年保証が一般的です。それだけベランダ・バルコニーは屋根より雨漏れしやすいということになりますので、ベランダ・バルコニーを撤去するだけで、雨漏れのリスクの軽減になります。
ベランダをはね出して設置しているものをよく見かけますが、このタイプは地震時に建物とベランダのつなぎ目の部分にひびが入り、そのひびから雨漏れを起こすリスクがあります。このタイプのベランダは、撤去した方が、外壁のひび割れのリスクとそのヒビからの雨漏れを防止でき、建物を長く使えることに繋がります。
部屋床面積が増加する
延床面積や日影規制や高さ制限の確認は必要ですが、ベランダ・バルコニーを撤去したヵ所に部屋を増築するのも一つの案です。単純に隣接していた部屋を大きくしたり物置部屋として増築するなど、スペースの有効活用が出来ます。
延床面積や日影規制や高さ制限はベランダ・バルコニーには緩和措置があるので、その緩和措置を利用してベランダ・バルコニーとしているものは残念ながら増築はできません。プランの段階であらかじめ、施工業者や設計事務所に確認が必要です。
ベランダ・バルコニーを撤去したときのデメリット
室内の物干しスペースの確保が必要になる
ベランダ・バルコニーを撤去していることを検討しているということは、すでに解決済みの問題かもしれませんが、今までベランダ・バルコニーで物干しをしていた方は、部屋の中にベランダ・バルコニーと同じくらいの大きさの物干しスペースが新たに確保する必要があります。
部屋干しによる湿度の上昇、内装の損傷
部屋干しすると、必然的に室内の湿度は上がってしまいます。壁紙やカーペット、カーテンなどは耐水ではないので、日常的に湿気に晒され続けられると、カビなどが発生する恐れがあります。
壁や天井の下地に石膏ボードを使用することは一般的なのですが、石膏ボードは水に強くなく、濡れると柔らかくなって、放置し続けると穴が開いてしまいます。
上記を防止するためにも部屋干しする部屋には除湿器で、乾燥し続けなければなりません。
電気代はかかってしまいますが、家の修繕費の方が高額になってしまいますので、除湿、乾燥は徹底することをおすすめします。
部屋干しにすると来客時等の人目に対する配慮が必要になる
ベランダ・バルコニーに洗濯物を干しているときに来客が来てもカーテンを閉めれば目隠しになります が、部屋干しの場合は、来客者が入らない部屋に干す等の配慮が必要になります。洗面室は意外と来客者が使う場合がありますので注意が必要です。
部屋干しすると内観の見た目が変わる
部屋干しに変更することによって内装に必要なものが増えます。大きなものでは、物干し竿や乾燥機が必要になります。固定式の物や、使用しないときは収納できるものなど、色々な既製品がありますので、使用できるかどうかも踏まえて検討する必要があります。
また、部屋干しすると、内観でどうしても生活感が出てしまいます。同時に清潔感も失いがちなので、見た目も良くするとなると考慮する必要があります。
エアコンの室外機置場が必要になる
家の周囲の犬走りにエアコンの室外機を設置する場合もありますが、周囲に塀などがあると、室外機は壁から一定の距離以上離さないと空調効果が発揮されない場合がありますので、きちんと設置場所は検討する必要があります。
また、上階のエアコンの室外機を一階に設置する際に、建物形状や位置によっては不可能な場合がありますので、上階にエアコンが取付できない部屋が発生する可能性があります。
庇の設置が必要になる場合がある
例として、ベランダの下に玄関扉があるタイプなどは、ベランダを庇の代わりも兼ねて、玄関ポーチが濡れないように設置している場合があります。 このタイプはベランダを撤去してしまうと、雨の日に玄関先で傘を閉じることが出来なくなってしまいますので、雨除けの為の庇が必要になります。
施工不良による施工箇所からの雨漏れや工事跡が残るリスク
ベランダ・バルコニーを撤去した後の壁や屋根の補修ヵ所から雨漏れが起きる危険性があります。
これは、基本的に施工不良で、防水処理が施工不十分であったり、排水勾配が施工不良で水が溜まってしまったりすると起こります。
他に、基本的にベランダ・バルコニーを撤去した部分の外壁や屋根は補修で対応しますので、材料が粗悪品であったり、施工技術が不十分だと補修ヵ所が目立ち、工事跡が古傷のように残ってしまう危険性があります。
信用できる業者に依頼するとこのリスクは減りますので、金額が安い業者より信用できる業者を選定することをおすすめします。
仕上げ材の経年劣化や製造ロット、廃番などによる既存部分と新設部分の意匠や色のズレ
外壁や屋根の材料は直射日光や雨風に晒されるので、どうしても色や質感の経年劣化は避けられません。また、既製品は、製造場所や製造年月日によって少しロットが違うことが多々あり、同じ品番でも並べると少し違うように見えてしまいます。
既製品を補修する場合は、部分的に補修すると上記と同じように工事跡が残ってしまい、目立ってしまうので、外壁の出隅や入隅など見切がつくところまで、リフォームすると、目立たなくなります。
もしくは、外壁塗装を行うタイミングで撤去することで、撤去後の色違いなどを防ぐことができます。
大掛かりな工事になり、高いコストがかかる
内装の壁紙を張り替えるだけのような、安く早く終わるような工事ではありません。外部足場も必要ですし、解体工事が伴うので、近隣さんへの周知や配慮も必要になります。
材料や面積、仕様にもよりますが、2週間~1ヶ月は少なくとも工事をすることになります。また、外部作業ですので、雨の日はできる作業がほとんどなく、中止になることが多いので、梅雨時期は避けることをおすすめします。
また、解体業者、仮設足場業者、外壁業者、屋根業者、外構業者、サッシ業者、塗装業者など多くの業者が必要なことと、解体した産業廃棄物の処分費、多くの種類の材料費がかかりますので、コストは高くなってしまいます。より良い仕様にしようとするとさらにコストは高くなってしまいます。
まとめ
ベランダ・バルコニーを撤去すると、外観の見た目がすっきりしたり、建物を長持ちさせるという面ではメリットとして有効に働くことが多いのですが、洗濯物を部屋干しにしようとする場合は、湿度や見た目にデメリットが発生してしまいます。
施工に関しては、信用できる業者ときちんと入念に打合せをしてから施工すれば、防ぐことが出来る内容もありますので、施工する際は、慎重に選定することをおすすめします。