
メンテナンス(手入れ、掃除)
ベランダ・バルコニーの劣化を防ぐお手入れ方法
公開日:2019年01月23日
ベランダ・バルコニーの起こりえる劣化の症状
雨漏り
ベランダ・バルコニーにおこりえる不具合として、雨漏りがあり、原因はさまざまです。
たとえば、屋外にあるベランダやバルコニーは排水口の汚れも屋内より早く溜まります。この汚れを放置しておくと排水口が詰まり、排水口以外のところに雨水が侵入してくることがあります。他にもゲリラ豪雨など予想できないほどの大量の水が流れ、詰まることや、防水層の劣化などが考えられます。
床の剥がれ・ひび割れ

ベランダやバルコニーの床には防水層を守るための保護塗料が塗られています。この保護塗料が紫外線などの影響によって少しずつ劣化し、剥がれやひび割れが起こることがあります。
ひび割れは、塗料にポリエステル樹脂系を使った場合によく起こり得ます。原因としては、施工時にパラフィンの拭き取りが不十分であるほか、紫外線や熱などのダメージによる経年劣化によっても起こる現象です。ただし、正しい施工をしていてもひび割れが発生してしまうこともまれにあります。
水たまり
雨がやんだ後、何時間経ってもベランダやバルコニーの床が乾かなくて水たまりになってしまっているという現象が起こりえます。これは床の下地の勾配が上手に設計されていないことによって起きる不具合です。
ベランダ・バルコニーの床は、一見平らに見えますが、実は排水口に向かって水が流れるように緩やかな勾配がつけられています。その勾配が足りないと水が上手く排水口に流れず水たまりができます。
また、設計や工事のミスの可能性もありますが、長年できなかった水たまりが少しずつできるようになってきたようなケースでは、熱膨張、経年劣化等によって下地に凸凹ができ、その部分に水たまりができていることが考えられます。これらは床の防水層がすぐに劣化する原因ともなり、ひどくなると雨漏りの原因にもなります。
日頃の手入れ方法
ベランダ・バルコニーは日頃から手入れが必要です。こまめに掃除をしていれば、起こりえる不具合も未然に防ぐ事ができ、早期に不具合を発見できる可能性があります。
ここでは床や壁、手すりなどの手入れ方法、防げる原因についてご紹介します。
床の手入れ
床は、ほうきや掃除機などで小さなゴミも取り除くようにしましょう。
最低でも月に1度、強風や雨の日が多い時期は、ゴミが飛んできやすいので週に1度程度の手入れをしましょう。
ホースで水を流すだけですと、汚れが排水口に詰まってしまいますので、必ずほうきで集めたゴミはちりとりを使って捨てるようにします。コードが届くようであれば、掃除機を使うのも有効です。
床面を清潔にしておくことで、排水溝の詰まりによる雨漏り、水たまりを防ぐこともできますし、ゴミの重みからくる床の塗装、防水層の劣化を防ぐこともできます。
壁の手入れ
ベランダやバルコニーの壁部分は、一番外に近いということもあり、風雨にさらされやすい箇所です。当然劣化もしやすいので、家の屋根や外壁と同じように日頃からの手入れによってカビやシミを防ぐ事ができます。
2週間に1度くらいの頻度で手入れしていれば、汚れも簡単に取れて楽です。台所用の洗剤を固く絞った雑巾や布につけて拭くだけで綺麗になります。
また、カビや軽くこすった程度では取れないような頑固な汚れは、お風呂場用のカビ取り洗剤、自動車用の水垢用洗剤を使うと良いでしょう。 硬いブラシでゴシゴシすると表面が傷ついてしまいますので、柔らかい布やスポンジを使うのがベストです。
手すりの手入れ
ベランダやバルコニーの手すり部分は素材によって手入れの方法が異なります。
最近主流になってきているアルミ製はお手入れも楽で、2週間に1度のペースで水拭きと乾拭きをすれば十分です。こびりついた汚れは中性洗剤等でこすり洗いし、その後乾拭きをしておきましょう。
鉄製の場合は、錆びに弱いため定期的な手入れが大事となってきます。錆びの原因の1つである湿気を防ぐため、週に1度は乾拭きをします。またサンドペーパーや錆び止めスプレーで予防するのも有効です。
こうした素材に適した手入れをすることで、手すりの腐食、劣化を防ぐことができます。
排水口の手入れ
排水口にはとにかくゴミが流れないようにすることが重要です。
ゴミが詰まってしまったら、ヘドロ状になった排水口内を掃除しなければならなくなります。そうならないよう、床掃除をしっかりとしておく必要があります。排水口用のゴミ取りネットをセットし、週に1度は取り替えるようにしましょう。
手入れを怠ると排水ができなくなり、水漏れや水たまりの原因となります。集合住宅ならお隣や階下へ迷惑をかけることにもなりかねませんので定期的に行いましょう。
ベランダ・バルコニーの防水塗装
ベランダやバルコニーは家の中とは違い、紫外線や雨水に直接さらされています。表面は防水加工によって雨水などを防いでいますが、経年とともに塗装の剥がれやひび割れが起こります。
防水塗装を定期的にすることで床面の劣化や雨水の浸透を防ぐことができます。
工法の種類
FRP防水
FRP(繊維強化プラスチック)を使用した工法で、強度と耐久性に優れています。軽量で丈夫なことに加え、強靭性、追従性、耐水性、耐候性、耐食性に優れています。真夏の高温や強い紫外線、真冬の低温にさらされても充分に対応できる工法であり、現在のベランダの防水工法としては最も多く使われています。
ウレタン防水
ウレタン樹脂塗料をローラーや刷毛などで塗装する工法で、複雑な形のベランダでも継ぎ目なく美しく仕上げることができます。しかしウレタンはゴムであり、強い紫外線や激しい温度変化によってゴムが劣化しやすい弱点があります。
シート防水
ゴムや塩化ビニールなど、防水性のあるシートを繋ぎ合わせていく工法です。シート部分には強度がありますが、繋ぎ合わせた部分の強度が弱く、年数と共に剥がれや浮きなどが発生するという問題があります。
アスファルト防水
アスファルトをコーティングしたシート状のルーフィングを重ねていく工法で、大型ビルやマンションの広い屋上に適しています。シートを積層することで水密性が高い防水層となり、露出仕上げやコンクリートなどさまざまな仕上げが可能になります。
どの工法も劣化原因は共通している
防水工法にはいろいろな種類がありますが、どの工法を選んだとしても、劣化する原因は紫外線や温度変化、排水不良など共通しています。表面が浮いてきた、ひび割れがある、表面の色褪せや傷が目立つなどの場合も劣化が早まる原因となるので注意しましょう。
劣化や不具合を放置すると家の寿命が縮む
ベランダ・バルコニーは居住空間ではないため、色褪せ等を発見してもメンテナンスなど後回しにしてしまいがちです。しかし、放置していると建物そのものの劣化の原因にもなり、家の寿命が縮むこととなります。
劣化した箇所から雨水が入りこみ、建物の内部から腐食が進むと、塗装だけではなく、建物自体の下地を補強するための工事も必要となってきます。
そうならいないためには、定期的な塗装や点検などのメンテナンスをし、不具合を見つけたらすぐに対処することが重要となってくるのです。