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ベランダ・バルコニーの増築、後付けは可能?後付けする費用と注意点
公開日:2019年02月14日

リフォームを検討している方の中には、ベランダやバルコニーが小さかったなどの理由で増築したいと思っている人もいるでしょう。この記事では、ベランダやバルコニーを増築したいけど、よくわからないと悩んでおられる方の為に、費用や注意点を解説していきます。是非参考にしてみてください。
ベランダ・バルコニーの増築、後付は可能
ベランダやバルコニーの増築、後付けについて、建築事情に詳しくない人にとっては、できるのかもわからないことではないでしょうか。
結論から言いますと、ベランダやバルコニーの増築や後付けは可能です。ただ、それを実現して行く為には、様々な事をクリアして行く必要があります。
建築基準法(建ぺい率と容積率)に抵触していないか確認必須!
ベランダやバルコニーを増築する場合、建築基準法に適合している必要があります。
建築基準法とは、住宅等を含めた全ての建築物について、耐震や防火等の観点において必要最低限の安全性を定める法律です。
ベランダやバルコニーも建築物の附属物である事に違いは無いので、安全性が担保されている必要があります。行政庁に申請を出す等の問題はありますが、建築士等の専門家が適正に設計し、設置される必要があります。
ベランダやバルコニーを増築する場合に特に気をつけなくてはならないのが、敷地面積に対する建築面積で表現される建ぺい率についてです。
住宅地などの場合、建ぺい率は低く設定されている事もあり、うっかりバルコニーを増築したら、建ぺい率をオーバーしてしまったという事もあり得ますので、どれだけの余力等があるのかはしっかり把握しておきましょう。
ちなみに、建築面積は建築物の水平投影面積で表され、庇や屋根などがかかるベランダやバルコニーなどは先端から1m不算入となる緩和規定があります。
容積率についても注意が必要です、容積率は敷地に対する延床面積で表現されますが、ベランダやバルコニーを増築すると参入される場合があります。延床面積にカウントされるのは、庇や屋根がかかっている部分で、緩和規定として先端から2mは不算入とすることができます。
建ぺい率や容積率をオーバーする事は出来ませんので十分注意してください。
建築確認申請をする事になった場合のポイント
ベランダやバルコニーを増築するとなった場合に、必ず注意しておかなくてはいけないのが、建築確認を申請する行為に該当するかです。
増築時において建築確認申請をする対象となる要件は少し複雑なので、対象とならない要件を紹介しておきます。
「防火地域又は準防火地域以外で、増築の床面積が10m2未満のもの」
これ以外は、全て増築確認申請となりますので注意が必要です。
しかし、床面積には先端から2m不算入という緩和規定もあるので、上手にやれば確認申請は不要になるかもしれません。
さて、結局、確認申請が必要になった場合はどうするかというと、リフォーム会社等に所属している建築士等に確認申請を申請してもらう事になります。快く引き受けてくれるので心配は不要です。
増築確認申請時に必要な資料として既存建物の確認申請図書、完了検査済証などが必要になってきます。確認申請をする建築士が詳しく教えてくれるので心配要りません。
ベランダ・バルコニーを増築、後付する方法は大きく分けて2つ
確認申請については、何とか対処できそうだとわかった方は、いよいよベランダ・バルコニーを後付け増築する図面等をリフォーム会社等に書いていただきます。しかし、事前にどういう方法で増築、後付けするのかということを頭に入れておく必要があるでしょう。
ベランダ・バルコニーを増築、後付するには大きく分けて2つの方法があり、建物の状況や取付方法で選定します。その2つをご紹介します。
建物と同じ構造体で増築、後付する方法
一つ目は、建物の構造体と連結させ、一体化させて増築する方法です。
安全性が高く、強度も強いことと、建物の外壁と統一感を持たせることが出来ます。はね出したバルコニーを増築する場合は下部に柱を設ける必要がある場合があります。
アルミなどの既製品のベランダを増築する方法
二つ目は、既製品の商品を既存のベランダ・バルコニーに増築する方法です。
上記より安価で、工期も短いですが、建物と見た目の統一感は無く、強度も上記よりは低いです。既製品なので、規格品の上限を超えるような極端に大きいものは施工することはできません。
ベランダ・バルコニーの後付け増築をする際の注意点
注意点も頭に入れておいてください。リフォーム会社任せにするのではなく、自らもどこに注意するべきか頭に入れておけば、失敗を防ぐことができます。
自立型は下に柱が必要
自立型のベランダやバルコニーを建てる場合は、1階の地面部分に支える為の柱が必要になってきます。例えば、バルコニーを設置したいが、ちょうどその下の部分に、駐車場がある場合や出入り口などがある場合は、支障が出る可能性があるので、そちらの対応も必要になります。まずは、作りたい場所の下に影響があるものはないのかをしっかり確認しておき、計画を考えましょう。
雨処理を徹底する
持ち出し式のベランダやバルコニーを建てる場合には、その接合を既存の壁部分に取り付ける形となります。外壁の張り替えなどを同時に行う計画であればさほど問題にはならないと思いますが、外壁を切り欠き、設置する場合や、穴を開けて行う場合などは、そこから雨水が浸入するなんて事も考えられるかもしれません。計画の段階から雨仕舞いをどのように考えているかなどを設計者や業者と確認しておいたほうが良いでしょう。
構造的安定性を確認する
こちらも同様に持ち出し式のベランダやバルコニーの場合は、持ち出した状態で、安定している必要があります。その安定させる為に、既存の柱等に力を負担させる形になります。ここで、気をつけておかなくてはいけないのは、設置した事により建物のもとの構造に不利な状況となり、弱くなってしまわないかを設計者等に確認しておいたほうが良いでしょう。
ベランダ・バルコニーを増築・後付けするデメリット
ベランダ・バルコニーを増築したいとお考えの場合、メリットばかりが思い浮かんでいると思いますが、デメリットもございます。そのデメリットをしっかりと把握しておいてください。
防水の範囲が増えるので、漏水のリスクが増える
屋根があるとしてもあくまで屋外なので、防水する必要があります。ベランダ・バルコニーの防水は屋根や外壁に比べるとどうしても損傷が早いです。
ベランダ・バルコニーの下に部屋があると漏水した際に雨水が入ってきてしまいますので、構造体や内装の損傷やカビの発生などのリスクがあります。10年に1度くらいの頻度で防水工事をすることをお勧めします。
建物と構造体を一体化させる場合、建物側への過重負荷が増える
建物の構造計算時には想定していなかったものを増やすわけなので、計算以上の負荷が建物にかかってしまいますので、極端に大きいベランダ・バルコニーを増築する場合は、構造計算を再計算して、建物の強度が問題ないか確認する必要があります。
強度が足りない場合は、構造を補強するなどの工事が増えます。
風のたまり場になりやすいので、落ち葉などが溜まりやすい
建物に囲まれたインナーバルコニーのような形状にする場合は、どうしても風のたまり場になってしまい、風に乗って飛んできた落ち葉やゴミが溜まりやすくなってしまいます。
建物より突き出す形で増築すると風が滞留しにくく、風も抜けてくれるので、増築のプランの際に工夫すると未然に防ぐことが出来ます。
ベランダ・バルコニーを増築、後付けする費用相場
リフォームをするからには、費用面については一番の気になるところかと思います。ここでは、その目安を掴んでいただけるようにご紹介します。
中心価格は30~50万円
まず中心となる価格帯は、30万円〜50万円という範囲で、一番一般的なサイズである横180cm×奥行き90cmの持ち出し式の価格帯です。持ち出し式とは、下等に柱がついていないもので、壁に取りつけています。
こちらは、既存のものが無い状態で、新たに設置する場合の価格になります。現実的には、ベランダやバルコニーが狭かったという場合などにリフォーム等を考えると思うのでこちらのパターンが一番多いのではないでしょうか。
既存取り外しや拡張リフォームは50万円超え
既存のベランダやバルコニーが老朽化などで作り変えたい、既存は活かしたいけどといった場合は、単純な取り付けとは行かず手間もかさむ為、費用面もかかってきます。
防水工事やサンルーム化する場合などは100万円超えも
一階に部屋を構えている場合などの構造にする場合や屋根をかけて部屋のような状態にしてしまう場合は、様々な附属工事が発生する為、費用は100万円を超えることもあります。
ベランダ・バルコニーを増築すると固定資産税があがる?
固定資産税は、住宅等をお持ちの方はご存知かと思いますが、土地と建築物などの資産に対して課税される税金で、市町村等が徴収する税です。毎年1月1日時点の固定資産に対して課税がされ、4月から6月頃に納付通知が届きます。初めての課税時には市町村の職員が土地や建物の状態等を確認しにきます。
ベランダやバルコニーの増築をした場合、一般的な屋外ベランダやバルコニーであれば課税の対象とはならないので心配は入りませんが、屋根がついていたりサンルームのように囲まれている状態ですと課税対象にもなり得るようです。心配であれば計画前に課税する市町村等に考え方を確認しておくのが良いでしょう。
まとめ
ベランダ・バルコニーの後付増築については、住宅を建ててから必ずと言っていいほど考えるテーマではないでしょうか。
増築をする場合の建築確認申請、構造的な面、固定資産税の面など、注意点をご紹介させていただきました。リフォーム会社は、当然このような状況については詳しく教えてくださるとは思いますが、まずはご自身で今回の記事を参考に増築を検討してみてください。
そうすることで、リフォーム会社に相談する時にはより具体的な計画の話ができるのではないでしょうか。
是非、素敵なベランダ・バルコニーづくりにお役立てください。