窓・サッシ交換のノウハウ

リフォームポイント

天窓を後付けするメリット・デメリットと取り付ける際の注意点とリスク

天窓を後からつけたいと悩んでいる方のために、メリットとデメリット、そして注意点などをご紹介します。

天窓は明るくて良いイメージがあるかもしれません。しかし、反対にデメリットもあります。デメリットも理解した上でなければ、後で必ず後悔すると思います。綺麗な屋根、天井を一部開くので、一度設置すると簡単に元には戻せません。

この記事をご覧いただいた上で、判断してください。

天窓を後付するメリット

部屋が格段に明るくなる

建築基準法の居室の採光計算で天窓は、同じ大きさの壁面の窓の有効採光面積の3倍になります。それだけ天窓を付けることによって得られる明るさは大きいです。

居室の採光は、直接光より前天空照度に大きく左右されます。ですので、太陽光が直接当たらなくても空が明るければ十分な明るさを得ることが出来るので、節電にもなりますし、仮に隣家が建て替えなどで外壁の位置が近づいてきたとしても、天窓には影響が少なく、今まで通りの採光を得ることが出来ます。

開けられる天窓であれば、夏場の換気効率が上がる

暖かい空気は上に上がるので、開くことが出来る天窓にすることによって、天井付近にたまった暖かい空気を外部に排出することが出来、換気効率が上がります。

換気効率が上がると、居住スペースの平均温度が下がり、快適度が増します。

天井の圧迫感が軽減される

天窓を設けることによって、天井の面が減り天井の圧迫感が軽減されます。天井の高さが低いほど、また、天窓の大きさが大きいほどその効果は大きくなります。

只、逆に取付場所によっては外からも見えるようになってしまう場合があるので、注意が必要です。

冬は日射取得熱で暖かい

冬は、日射取得熱で暖かくなります。

日差しが強いときは、部屋を閉め切っていれば暖房の代わりになるくらい暖かくなりますし、暖房のように乾燥しやすくなることもないので、天然の空調機として活用することが出来ます。

天窓を後付するデメリット

断熱効率が悪くなる

天窓の無い天井・屋根に比べ、天窓がある天井の方が断熱効率は悪くなってしまいます。

通常の天井では、屋根材・天井裏、断熱材、天井材などで断熱できるのですが、天窓にする部分は、上記のすべてを取り除き、サッシのガラスのみになってしまいますのでどうしても効率は落ちてしまいます。

なるべく高断熱のサッシを選定することによって、断熱効率の低下を少なくすることは可能ですが、それでも、以前と比べて断熱効率は悪くなります。

カーテンやブラインドが付けにくい・動作させにくい

カーテンやブラインドを取り付けるヵ所が天井となってしまいますので、通常の壁面の窓より高い位置になってしまいます。

天井に取り付けるので、カーテンやブラインドの商品の選定も必要になります。

カーテンの場合、通常のカーテンは1本のカーテンレールに吊り下げますが、天窓用のカーテンは上部と下部にカーテンレールがあり、天井に取り付けても垂れ下らないようになっています。既製品では商品が少ないです。

動作させる際も台などの足場が必要であったりとスムーズに動作させることが困難です。電動で動くブラインドも発売されていますが、それでも、故障など不具合が出たときなどは、手動で動作が必要になります。

雨の当たる音がうるさい

上記の断熱効率の低下の理由と同じですが、天窓に雨が当たるとその音を遮音するものがガラスしかありません。複層ガラスなどの遮音性能があるガラスにすると雨音が軽減はされますが、それでもそれまでの屋根のときと比べるとうるさく感じるでしょう。

透明ガラスにすると直接太陽光が入るので、眩しい

壁面の窓より天窓の方が、直接太陽光が入ってきやすいので、太陽光がまぶしく感じるときがあります。

部屋自体は明るくなりますが、均斉度(明るさの均等さの割合)が落ちてしまい、目の疲労などにもつながってしまいます。型板ガラスなどで均斉度を上げるなどの工夫が必要になります。

窓の外側が清掃できない

一般的な住宅は屋根に上る想定をせずに設計しているので、天窓の外側を清掃するには大きな梯子などが必要になります。屋根に上ることは落下の危険性もあり、現実的ではないので、清掃は業者に依頼することになると思います。

夏は日射取得熱で暑くなる

冬にはメリットに働く熱取得の良さですが、夏でも同じ状態になり、部屋が暑くなります。天窓を開けたり、カーテンを付けるなどで対応して夏の暑さへの対策が必要になります。

天窓を後付する際の注意点

屋根が瓦葺きなどの場合、天窓を後付けすることができない場合がある

天窓のサッシの取り付けの納まり上、和瓦などの昔からある和風住宅の屋根下地は土の場合が多く、構造上天窓を取り付けることが出来ない場合場あります。

屋根をスレートなどに葺き替えてからであれば、施工可能ですが、大掛かりな工事になってしまいますので、費用がかさんでしまいます。

清掃等のメンテナンスをしっかり考えてから取り付ける必要がある

上記のデメリットでも挙げましたが、天窓の外部はほぼ清掃できませんし、内部に至っても高所になるので、清掃が難しいです。

他にも、天窓はサッシで冬は結露しやすいので、定期的に拭かなければ水滴が垂れてきたり、カビの原因になります。冬は頻繁にメンテナンスする必要があります。

天窓の設置位置を気をつける

例えば、天窓から朝日が入る角度にベッドを配置した場合、直接朝日が降り注ぎます。他にも、作業するデスクに直接当たる場所に設置すると、反射グレアが生じる場合があります。

天窓から太陽光が入る時間帯や位置を把握して、家具などのレイアウトを調整して生活に不便が生じないようにする必要があります。

天窓を後付する事によって発生するリスク

屋根より天窓を取り付ける部分が出っ張る為、水が溜まり、漏水のリスクが高い

天窓を取り付けると屋根材より飛び出た形になりますので、天窓と屋根の接合部の水上部分は、雨が溜まりやすいヵ所になります。天窓は一番雨漏れするヵ所なので、重点的に防水処理は施工するのですが、経年劣化で雨漏れを起こすリスクは高いです。

窓ガラスが割れた際に部屋にガラスが落ちてくるリスクがある

台風などで、飛来物が天窓に当たるとガラスが落ちてくる可能性があります。

通常の壁面の窓のように天戸やシャッターが無いので、割れないように防ぐ方法がありません。台風などで窓ガラスが割れる危険性がある時は、天窓のある部屋から非難することをお勧めします。

工事の度に仮設足場が必要になる場合があり、費用がかさむ

天窓をメンテナンスや改修工事をするためには屋根に上らなければならないので、仮設の足場を建てる必要がある場合があります。そうなると、費用がかさむのがリスクです。

簡単な修繕や改修工事であれば、はしごでも可能だと思いますが、ケースバイケースですので、見積もり依頼される際に、確認しておきましょう。