屋根葺き替えリフォームのノウハウ

リフォームポイント

屋根葺き替えのメリット・デメリットと注意点

葺き替えとは

屋根葺き替え

葺き替えとは、古い屋根材をすべて撤去して新しくすることです。一般的に、下地からすべて取り替えます。屋根材の激しい劣化はもちろん、防水シートなどの下地部分にまで劣化が進んでいる場合に行います。同じ屋根材にすることもできますし、勾配や強度に問題がなければ全く違う屋根材に替えることもできます。

屋根材に「ヒビ割れや大きなズレなどがある」、「天井にシミやカビがある」といった症状が見られたら葺き替えを検討しましょう。屋根材には寿命があり、どんな屋根もいつかは葺き替えが必要になります。

屋根葺き替えのメリット

屋根リフォームで葺き替えをするメリットは、見せかけだけ綺麗にするのではなく、屋根全体を一新することができるという点です。下地からすべて新しくするため、少しでも腐食が進んでいる場合には、他のどのリフォーム方法よりも屋根を健康に保つことができます。

特に、下地に傷みが出ている場合、塗り替えやカバー工法では充分な補修ができない可能性があります。そのまま放置すると屋根内部の腐食を招き、建物そのものの寿命を短くすることにもなりかねません。葺き替えではそのようなリスクを減らすこともできます。

また、葺き替えであれば、屋根材の種類や色を変えて、デザインを一新することも可能です。たとえば屋根リフォームのついでに天窓を設けるなど、デザインの選択肢も増えます。加えて、屋根材の選択次第では耐震性の向上にも期待できます。

屋根葺き替えのデメリット

葺き替えによる屋根リフォームのデメリットの1つは、施工費が高額になることです。古い屋根材を解体して撤去し、さらに新しい屋根材を設置しますので、材料費だけでなく解体や撤去にも費用がかかります。時間も人手も必要な工事であるため、当然費用が嵩みます。

また、古い屋根を解体する際の大きな音やホコリ、ゴミといった問題もあります。住宅密集地ではご近所への迷惑は避けられません。近隣への挨拶や養生など、周囲への配慮をしっかり行わないとトラブルに発展する可能性もあるため要注意です。

主に粘土瓦屋根で用いられる「葺き直し」工法もある

既存の屋根材を一旦外し、下地部分の修繕をした後、外した屋根材をもとに戻すことを葺き直しといいます。屋根材をすべて新しくする葺き替えとは違い、古い瓦を生かすリフォームです。主に粘土瓦屋根のリフォームで使われる工法です。

粘土瓦のように屋根材の耐久性が高いと、下地材が先に傷んでしまうことがあります。こういったケースでは下地部分を一新し、まだまだ使える瓦を再利用する方が経済的です。また施工前と同じように仕上がるため、デザインを変えたくないという場合にも適しています。

ただし、屋根の骨組み自体に歪みがある場合、既存の瓦が廃番になっている場合などは施工できない可能性があります。他にも、外した瓦の保管場所を確保しなくてはならない、保管場所がない場合は運搬費がかかる、運搬には割れるリスクを伴う、古い瓦には補助瓦が必要になる場合があるなど、施工するにあたり多くの条件がある工法です。

葺き替えリフォームの注意点

建物の強度によって屋根材選びに制限がある

屋根の葺き替えリフォームを行う際、屋根材を変えたいと考える人は少なくないでしょう。しかし、どんな屋根材でも好きに選べるというわけではありません。重い屋根を支えるにはそれに耐えうる建物の強度が必要です。つまり、屋根材選びでは、建物の強度の確認が不可欠であり、建物に合わせた重さの屋根材を選ぶ必要があります。

建物の強度は具体的に壁の量、柱の量で計算します。重たい屋根材の建物では、たくさんの壁と柱が必要です。逆に屋根材を軽いものにすれば、壁と柱の量は少なくて済みます。

もともと、軽量の屋根材に合わせた設計で建てられた住宅には、既存の屋根材を支えるだけの耐久力しかない可能性があります。たとえば、金属系の軽量な屋根から、和瓦などの重たい屋根に変更したくても、構造上の問題で施工が困難な(あるいはできない)場合があるということです。また、壁と柱の量は、間取りにも影響します。選んだ屋根材の重量によっては、望んだ間取りにすることができない可能性もあります。このように、屋根材の重量は建物全体に影響を与えるため、屋根材選びの際には無視できません。

葺き替えの際には、より軽い屋根材を選択することが一般的となっています。既存の屋根よりも軽い屋根材を選べば、建物の耐久性に影響を与えることはありません。

屋根材によって必要な勾配がある

屋根の葺き替えリフォームの際は、屋根材によって必要な勾配が異なることも知っておく必要があります。これは、屋根材によって吸水率が異なるためです。吸水率が高い屋根材ほど勾配をつけて、水分が屋根に留まらないようにしなくてはなりません。屋根材ごとに適した傾斜がなければ、雨漏りを起すリスクが高くなります。

選んだ屋根材が既存の屋根材よりも吸収率が高い場合には、勾配調整工事を行う必要があります。ただし、施工不可な場合もありますので注意が必要です。いずれにしても、屋根材を変更する場合は、必要最低勾配を確認した上での選択となります。

耐震性を上げるためだけに、葺き替えは正解ではない

耐震補強を目的に屋根の葺き替えリフォームを考える人も多いですが、葺き替えがすなわち耐震補強になるという考えは正解とは言えません。

葺き替えによって屋根が軽くなれば、建物にかかる負担が減りますので、結果的に耐震性を高めるのは事実です。ただし、葺き替えをしても、屋根の重量が変わらなければ耐震性を高めることになりません。また、ごく稀にですが屋根が軽すぎることで建物全体のバランスが崩れ、耐震性が下がってしまうこともあります。

そもそも、屋根の葺き替えリフォームは、本来屋根全体のリフレッシュが目的でされる工事です。耐震補強工事とは別物と考えましょう。耐震補強をメインに考えている場合は、葺き替えではなく耐震工事を選んだ方が、効果や費用面でよりよい結果が期待できます。