屋根葺き替えリフォームのノウハウ

リフォームポイント

葺き替え時の屋根材の種類と屋根材選びのポイント

屋根材の種類と特徴

住宅街の屋根

屋根材にはさまざまな種類があります。どのような屋根材があるのか、よく用いられる屋根材を挙げご紹介します。

粘土瓦

粘土瓦とは、粘土を使った焼き物の屋根材で、古い日本家屋などによく使われています。表面に釉薬を塗った釉薬瓦と塗っていない無釉瓦に大別することができます。

釉薬瓦は耐水性、耐久性に優れ、カラーバリエーションも豊富です。柔らかい粘土を成形しますので形状も自由自在、どんな家にも合わせられるのが特徴です。

釉薬を使わない無釉瓦は、さらに松材・松葉でいぶすいぶし瓦と焼いただけの素焼き瓦に分けることができます。いぶし瓦は銀色で、和風建築の住まいによく合います。素焼き瓦は酸化現象により赤っぽい色になります。洋風建築の家によく合います。

粘土瓦は断熱性に優れているほか、遮音効果もあります。重厚感があり、デザイン的にも優れた屋根材です。粘土瓦の耐用年数は非常に長く、瓦自体は半永久的に使えるという利点もあります。塗り替えの必要もありません。高価な屋根材ではありますが、長い目でみれば決して不経済な屋根材ではないでしょう。ただし漆喰部分には定期的にメンテナンスが必要です。

粘土瓦の欠点といえば、屋根材の中で最も重いことです。粘土瓦を採用する際には、建物の耐震性能への配慮が必要です。

スレート瓦

スレート屋根とは、薄く加工した板状の屋根材のことで、天然の粘板岩を材料とした天然スレート、セメントと人工繊維などを材料とした化粧スレートがあります。以前は、セメントと石綿を材料とした石綿スレートがありましたが、現在は製造されていません。

天然スレートは手に入りにくく高価なこともあり、多くの住宅で使われているのは化粧スレートです。日本で最も普及している屋根材とも言われています。軽量でそれなりに耐久性があり、しかも安価。カラーバリエーションが豊富で、好みのデザインを選べるのもメリットです。重量感はありませんが、モダン、洋風建築、和風建築いずれにも合わせることができます。

耐用年数は比較的長く、定期的なメンテナンスを行うことを前提にすると、20年~30年くらい持ちます。耐水性能や強度も含め、スレートの寿命は塗装にかかっていると言っても過言ではなく、適切なタイミングで塗り替えを行えるかどうかは重要です。塗り替えのサイクルは塗料や地域によって異なります。

風などの衝撃には弱いため、反りや割れがないかをこまめに点検することも大切です。

セメント瓦

セメント瓦とは、セメントと砂などを混ぜたモルタルを材料とした屋根材で、厚形スレートとコンクリート瓦に分けることができます。

厚形スレートは、セメントと砂などの割合が3対1のモルタルです。表面に釉薬処理を施したものもあります。コンクリート瓦はセメントと砂などの割合が2対1のモルタルで、厚形スレートよりも硬いのが特徴です。

セメント瓦は材質が均一なので仕上がりが美しく、施工性も優れています。日本瓦よりも安価で軽量です。塗装ができますのでカラーの選択肢が多く、形状もさまざまあります。

ただし、軽いとはいっても「瓦」ですのでスレート材や金属系屋根材と比べると重くなります。建物の耐震性には注意が必要です。耐用年数は30年~40年と長めですが、定期的に塗り替えなどのメンテナンスを要します。塗装が剥げてセメント部分が剥き出しになると、セメント表面から水が浸透し、放っておくと雨漏りが起こす原因となります。

セメント瓦そのものが劣化すると、塗り替えをしても元通りになりません。早め早めに塗装をすることが重要な屋根材です。また比較的割れやすいという欠点もあり、地震などの衝撃に対する耐久性には不安があります。

金属系屋根材

金属系屋根材とは、鋼板や非鉄金属からなる屋根材のことで、近年大変需要が伸びています。軽量で施工しやすく、カラーバリエーションも豊富です。比較的手頃でデザインも豊富、地震にも強いと長所が多いことが注目されている理由です。材料が金属ですので耐水性に優れている一方で、熱が伝わりやすいといったネックもあります。しかし、最近は断熱材を使った断熱性、遮音性を高めた商品も数多くつくられています。

大きく鋼板系と非鉄金属系に分けることができますが、特に人気があるのはガルバリウム鋼板です。耐久性、耐熱性に優れ、塗膜によってサビや紫外線にも強い製品が出ています。非鉄金属系にはアルミや銅製などがあります。

鋼板の短所である防音性や断熱性を克服した石粒付きの屋根材も新しく出てきており、年々選ぶ人が増えています。

金属系屋根の耐用年数やメンテナンスの方法は、素材によっても異なります。銅板は錆びませんので基本的にメンテナンスは不要、50年以上の耐久性があると言われています。ガリバリウム鋼板は20年~25年程度、定期的なメンテナンスも必要です。

しかし、ガリバリウム鋼板の欠点をカバーした石粒付きの鋼板なら耐用年数はもっと長く、30~50年ほどもつとされています。塗り替えなどのメンテナンスは基本的に不要です。

アスファルトシングル

アスファルトシングルとは、ガラス繊維にアスファルトをコーティングし、表面に石粒を施した屋根材のことをいいます。加工がしやすいため形状の自由度が高く、簡単に丸みをつけられるほど柔らかい建材です。日本ではそれほど多くありませんが、欧米では最も普及しています。接着剤で貼り付ける方法と釘で打つ方法がありますが、いずれにしても軽量で防水性、耐震性に優れた屋根材です。

耐用年数は気候によって大きく変わりますので一概には言えませんが、およそ20~30年です。経年により表面の石粒が剥がれてくるため、定期的なメンテナンスを必要とします。塗り替えによるメンテナンスのほかに、新しいシングル材を重ね貼りして補修する方法もあります。軽量なため、重ねても問題はありません。

アスファルトシングルは、10年に一度程度を目安にメンテナンスを行います。ヒビ割れなどがある場合には、早めに補修をしましょう。放置すると雨漏りの原因となります。

屋根材選び方のポイント

葺き替えによる屋根リフォームをする際、これまでとは違う屋根材を選ぶこともできます。既存の屋根材と同じものにするにしろ、違うものにするにしろ、屋根材選びにはポイントがいくつかあります。

耐久性

屋根は、紫外線や風雨などの影響を直接受けるので、外壁以上に耐久性が必要です。雨漏りしないよう、吸水率が低く耐水性の高い屋根材を選ぶことが大切です。併せて積雪や風、温度変化などに対する強さにも考慮して選択しましょう。

重量

屋根が重いと、建物にはそれに見合う強度が必要になります。屋根は軽いほうが建物に負担をかけずに済むため、屋根材選びは重量も大きなポイントです。たとえば、軽量な屋根で作られた住宅には、重たい屋根を充分に支えるだけの強度がない可能性があります。建物の構造によっては、耐震性などの問題で採用できない屋根材があるため注意が必要です。

デザイン

もちろんデザインも重要です。屋根は住まいの印象、イメージに大きな影響を与えますので、住まいに合ったデザインを選びましょう。また、近隣の住宅の調和も考える必要があります。あまりにも目立ちすぐり配色の場合、ご近所からクレームが出ることもあります。

メンテナンス

最後に維持費です。いくら安い屋根材であっても、数年おきに塗り替えが必要で「結局長い目で見ると高くつく」というようなことでは賢いリフォームとは言えません。何十年と長い目で見た時、メンテナンスの手間や費用を抑えられる屋根材を選ぶことが大切です。