屋根葺き替えリフォームのノウハウ

リフォームポイント

葺き替えが必要な屋根の見分け方

屋根の葺き替えのタイミングは屋根材によって異なります。また、一般的に言われている耐用年数も、環境やメンテナンスの有無によって大きく変わる場合があります。

ここでは、屋根材ごとの葺き替え時期の目安に加え、屋根にどのような症状が出たら葺き替えを検討するべきかをご紹介しています。

粘土瓦屋根の場合

粘土瓦屋根の葺き替え時期は、概ね20年が目安です。

葺き替えが必要な屋根では、様々な症状が出てきます。たとえば、家の中の天井にシミが出てきたら、雨水が浸透しているサインです。防水機能が損なわれているため、早急に手を打つ必要があります。部屋の内部に症状が現れた時には、葺き替えが必要な可能性が高いと考えましょう。

瓦の割れ・欠け・ズレが多くみられる場合も、葺き替えが必要かもしれません。瓦を支えている桟木に固定するための釘が錆びたり、瓦棒が腐ったりして起きる症状です。その部分から水が浸透することが原因で、内部が腐食している可能性があります。屋根全体の瓦が波打っている場合も同じ理由で葺き替えを検討する時期です。

また、屋根に草や苔が生えている場合、それが止水の役割を果たしてしまうために雨水の排出が充分にできません。排出できなかった水が浸透し、それが原因で内部が腐食している可能性があります。やはり葺き替えを視野に入れ、屋根の状態を点検しましょう。

ただ、粘土瓦自体はとても耐久性があるため、葺き直しでも対応できることがあります。下地材や防水シートを新しくし、問題のある粘土瓦だけを修理、修繕するという工法です。

スレート屋根の場合

スレート屋根は、しっかりとメンテナンスをして初めて、防水性や耐熱性を維持できる屋根材ですので、葺き替えのタイミングはどれだけメンテナンスをしているかにかかってきます。

たとえば15年メンテナンスしていない住宅では、スレート材の寿命が既に過ぎている可能性もあります。一方で、環境やメンテナンスにより、30年以上経っても屋根材としての役割を維持できている住宅もあります。ただし、20年以上経つと下地材が先に傷んでしまうことも珍しくないため、下地材の耐用年数に合わせて葺き替えの計画を立てるのが一般的です。下地材の寿命は平均すると20年程度といわれています。

ほかにも、葺き替えのタイミングを見極めるにはいくつかチェックポイントがあります。たとえば、屋根に色褪せや汚れがひどい、あるいはスレート材の割れやズレが激しい場合、下地部分に傷みがないか一度点検した方がよいでしょう。特に、塗り替えなどのメンテナンスを施していない屋根では、葺き替え工事が必要なケースもあります。

また、表面にカビや苔が発生した状態が長く続くと、屋根の水はけが悪くなって内部に水が浸透し、雨漏りを起こすことがあります。天井にシミができている、あるいは既に雨漏りが起こっている場合は、屋根の下地からすべてが傷んでいる証拠です。すぐに葺き替える必要があります。

セメント瓦の場合

セメント瓦屋根は、10年くらいで色褪せてきて防水機能が低下し、少しずつ劣化が進みます。さらに放置すると苔やカビの発生で屋根の水はけが悪くなり、そこから浸透した水分がルーフィングや下地材を腐食させます。そうなると雨漏りが起きるのも時間の問題ですので、適切なタイミングでの葺き替えが必要です。

色褪せが起きる前に塗装を行うことが前提で、セメント瓦そのものの耐用年数が20年前後。葺き替え時期の目安にもなります。

瓦の耐用年数以外にも、屋根の症状によって葺き替えのタイミングを見極める方法はあります。たとえば、瓦が欠けたり割れたりしている場合、症状が酷ければ下地部分の劣化が進んでいる可能性があります。地震や経年劣化、メンテナンスの不備などが原因で起きる症状です。このような症状が見られたら、葺き替えも視野に入れて、まずは屋根の点検の実施をおすすめします。

瓦がずれている場合は、瓦自体の傷みもありますが、下地材の腐食が原因の症状である可能性もあります。雨漏りだけでなく、強風などで瓦が吹き飛ぶ可能性もあり危険です。補修、もしくは葺き替えを検討しましょう。

また天井にシミやカビが発生している場合は、既に屋根の防水性能が失われています。早めの葺き替えが必要です。

金属系屋根の場合

最近、一般の住宅にはほとんど使われなくなったトタン屋根の葺き替えは、15~20年くらいが目安となります。同じく一般の住宅には少ない銅板屋根は耐久性が高く、耐用年数は30年程度です。ここ数年急速に増えているガルバリウム鋼板も比較的耐久性のある金属系屋根材で、耐用年数は20~30年といわれています。ただし、銅板屋根もガルバリウム鋼板屋根も、下地材や防水シートが先に劣化する可能性がありますので、定期的な点検は不可欠です。

下地材や防水シートが劣化すると、天井にシミができる、屋根裏の木材が変形するといった症状が現れます。下地材が防水の役割を果たせず、雨水などが内部にまで浸透している状態ですので、早急に葺き替えを検討することになるでしょう。屋根材が浮いていたり、剥がれたりしている場合にも、隙間から雨水が内側に侵入するため注意が必要です。気付かずにそのまま放置しているようなら、下地部分に腐食が起こっている可能性は高くなります。

また、屋根材の穴も症状としては深刻です。重度のサビを放置した結果の症状で、いつ雨漏りを起してもおかしくありません。ここまでくると塗り替えなどでは対処できないケースが多く、下地部分にまで劣化が及んでいれば葺き替えが必要です。

アスファルトシングル屋根の場合

アスファルトシングル屋根の耐久年数は、おおよそ20~30年といわれています。ただし、適切なメンテナンスを施すことが前提の年数です。

アスファルトシングルの劣化は、温度差による伸縮と水分が主な原因です。特に寒暖の差が激しい地域では、屋根材の伸縮がくり返し起こるため劣化が早まります。場合によっては10年ほどで寿命を迎えてしまう可能性があり、メンテナンスを怠ることはできません。

屋根材の劣化による症状は、主にヒビ・割れ・剥がれ・コケです。ヒビや割れは屋根材にすき間を作り、そこから屋根内部に水が浸入します。コケも同様で、屋根材のすき間を中心に発生し、そのすき間から水分が浸透することで下地材を傷める原因となります。劣化による症状が激しいようなら、葺き替えを検討しましょう。

また、屋根の上に屋根材が剥がれて散乱している、あるいは屋根材の一部がなくなっているといった場合には、屋根の劣化状況が重度である可能性があります。補修ができない場合は、葺き替え工事が必要です。