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マンションの部屋に間仕切り壁を設けて2部屋に分けることができるのか?
公開日:2019年04月05日

マンションの部屋に間仕切り壁を設けて2部屋に分けることができるのでしょうか?その回答は「できます」です。間仕切り壁は木軸(もしくは軽量鉄骨)とプラスターボード(石膏ボード)でできています。その間仕切壁で仕切ることは比較的簡単に施工する事ができます。ただし、できない場合や注意することもあるのでそれを見ていきましょう。
間仕切り壁で仕切ることは可能
間仕切り壁の工事の進め方ですが、2つの進め方があります。壁を先に立てて、壁の間に床組みをする進め方を「壁先行」といいます。逆に、床を組んでおいて、床の上に壁を立てる場合は、「床先行」といいます。
マンションでは通常壁先行です。壁先行では、スラブtoスラブといって、上下のコンクリートスラブに間仕切壁を固定してプラスターボードを張り伸ばします。これにより床下と天井裏が塞がるので、居室~居室間、居室~水回り間の遮音性が高まります。一方、既存の壁を撤去したり、新しく壁を立てるのは床先行に比べると難しくなります。理由は、壁が立っている近辺の床・天井を広く解体する必要があるからです。
床先行では床組・天井組をしている間に間仕切壁を立てます。この場合、床下と天井裏はつながっているので、遮音的には不利となります。一方、既存の壁を撤去したり、新しく壁を立てるのは壁先行に比べると簡単です。
したがって、壁先行のマンションでは、間仕切り壁を設ける場合は床と天井を広く解体します。床先行のマンションでは、壁先行ほど床と天井を広く解体する必要はありませんが、間仕切壁をしっかり床と天井にビス等で固定する必要があります。
いずれにしても、間仕切り壁を設けて仕切ることは可能です。
床暖房がある上には間仕切りが立てられない
標準仕様として床暖房があるマンションが増えています。床暖房はフローリングの下に温水マットや電気パネルを敷きこんでいて、それに温水を循環させたり、電気を通すことで暖房機能が働きます。床暖房がある場所に間仕切り壁を立てることはできません。壁先行・床先行に関わらず、間仕切壁を立てることにより床暖房を棄損してしまいます。
床暖房の上に間仕切壁を立てる場合は、床暖房を撤去する(床暖房不要)か、床暖房を一旦全撤去して新しく床暖房を設置するか、いずれかになります。それなりに工事はかかりますので、コストを抑えたい場合は、床暖房がある場所に間仕切壁を立てるのは避けましょう。
外気からの給気口や点検口をふさぐ箇所には間仕切りが立てられない
外部に面する壁には給気口(換気ガラリ)があります。また、壁に点検口がある場合があります。(多くの場合壁の向こうがパイプスペース)
前者はお部屋を換気するために外気を取り込むのに必要であり、後者はパイプスペース内にある設備配管を点検、メンテナンスするために必要です。大切なのは、どちらもその位置を動かすことが難しく、かつ、機能上塞ぐことはできないという事です。したがって、それらを塞ぐように壁を立てることはできません。ただし、どうしてもそれらを塞ぐラインに壁を立てたい場合は、給気口または点検口の手前で壁を止める事は可能です。(つまり隙間を空ける)その場合は給気口や点検口の機能を果たすことが出来るようなスペースを確保する必要があります。
窓がある場合は手前で壁を止めるなら可能
間仕切壁を立てたいラインに窓がある場合はどうでしょうか。その場合は、窓の開け閉め、清掃、カーテンの開け閉めができるスペースを確保して、窓の手前で壁を止める事が多いです。お隣の部屋と隙間が空くことになりますので、遮音性能が特に重要な場合には不可となります。
2部屋に分けるときの注意点
建築基準法上の採光がとれなくなり、居室扱いにならなくなる
洋室やリビング等は「居室」といい、居室では建築基準法で必要な採光のための窓面積と床面積の係数が決まっています。(窓面積の7倍以下の床面積とする。)
窓面積に対してお部屋の床面積を広くすると、居室と呼べなくなりますし、また、壁を立てることで窓がない部屋としてしまうと居室扱いにならなくなります。(建築基準法上の話であって、実際の居室としての使い方や仕様の話ではありません。)
「居室扱いにならなくなる」ことは何がいけないのでしょうか?
「別に居室扱いじゃなくてもいいんじゃない?」と思われるかもしれません。困るのは売却するときです。リフォーム前は3LDK(居室が三つ)だったのが、リフォーム後は窓がない部屋にしてしまったため、2LDK(居室が二つ)としか呼べなくなると、売却上不利になるかもしれません。
実際には、遠い将来の売却の事まで心配してリフォームプランを決めることもないかもしれませんが、ひとつの知識として知っておくのもよいと思います。
エアコン設置が難しくなる
間仕切壁を立てて部屋数が多くなりエアコン設置台数が増える場合、困るのはエアコン設置が難しくなることです。当然ながらエアコンを設置するには、室外機置場、室外機とつなぐ冷媒管およびドレン排水、電源供給を解決しなければなりません。
- 室外機置場=バルコニーなどの広さは大丈夫か?
- 冷媒管=コンクリ-ト外壁に配管に仕える穴はあるか?
- ドレン排水=室内機から出るドレン排水をどのように流して処理するか?
- 電源供給=200V、コンセント設置は可能か?
などなど多くの問題を解決する必要があります。リフォーム業者とよく相談のうえ決めましょう。
火災報知器やスプリンクラーの移設・増設が必要
間仕切り壁を立てて間取りを変えることにより、火災報知機やスプリンクラーの移設・増設が必要になる事は、かなりの高確率で起こる事です。リフォーム経験が浅い担当者は、その知識がないままリフォームプランを計画した結果、リフォーム工事完了後に増設が判明し、追加費用をかけて是正工事を行う事になった、という笑えない話もあります。
火災報知機やスプリンクラーの工事は普通の電気業者や設備業者ではできないため、専門の防災業者に依頼し、また、消防署への設置届出等も必要となります。
間仕切り壁以外に部屋を仕切るアイデア
部屋を仕切るには間仕切壁である必要はありません。
- ブラインド
- ロールスクリーン
- パーテーション
- 複数枚の引き戸や折れ戸
- 可動収納などの収納家具
など多岐に渡ります。将来の可変性、費用、使い勝手、エアコン問題などを総合的に判断して決めましょう。
まとめ
マンションで間仕切壁を設けて2部屋に分けることは可能です。しかし、条件によりできない場合や、注意すべきポイントをみてきました。とはいえ、「お部屋を仕切りたい」ということは非常にメジャーなリフォーム要望のひとつです。仕切り方、仕切る場所、仕切ることによる注意、そして工事費用などをいろいろと検討し、よりよいリフォームにしてください。