防音・遮音リフォームのノウハウ

リフォームポイント

窓の防音対策の方法を紹介

マイク

騒音は空気の振動によって伝わるため、空気の通り道である窓から主に侵入します。住宅内から外に漏れる音に関しても同様です。もちろん屋根や玄関ドアなどからも音は伝わりますが、それらに比べると気密性が低い窓からのほうが断然多くなります。また気密性の高い住宅ほど、空気の侵入が窓に集中するため、音の出入りも窓に集中するという特徴があります。

騒音対策をするなら、窓の防音、遮音対策が最も重要であり、効果的でもあります。求める防音レベルが非常に高い場合、窓だけでは不十分ですが、一般的な防音対策や騒音軽減であれば、窓だけでも充分な効果が得られます。

手軽にできる窓の防音対策

大がかりな工事をしなくても、ある程度の音漏れや騒音対策は可能です。ちょっとした工夫で音の問題を解決できるのであれば、それに越したことはありません。では防音効果が期待できるグッズの代表的なものを、いくつかご紹介しましょう。

遮音カーテン

簡単にできる窓の防音対策の1つに、カーテンの設置があります。布には音を吸収する性質があるため、普通のカーテンでも防音対策になりますが、大きな防音効果は得られません。そこでおすすめなのが防音・遮音カーテンの設置です。防音・遮音カーテンには、特殊な織り方によってつくられている、生地が複層になっている、などの特徴があります。

カーテンは、主に250Hz以上の高音域に対して防音性能を発揮します。薄手のものでは樹脂や金属をコーティングしたレースカーテンから、厚手のものでは凹凸の多い生地や遮音生地を何枚も重ねたものまであります。まずは厚手の防音カーテンを導入し、不十分と感じたら薄手のレースカーテンなどと併用すると良いでしょう。

長さも幅も窓より大きく、窓をすっぽりと覆うようなサイズを選ぶのがポイントです。また壁や窓との間に隙間ができないように、ギャザーなどを寄せず、ピッタリと取り付けると効果的です。

防音・遮音テープ

防音・遮音テープは、ドアやサッシの隙間をふさぐことを目的にした、貼るだけのテープです。

窓から音が漏れたり侵入したりするのは、ガラスが薄いことも一因ですが、サッシの隙間からの音の出入りも大きな理由です。ガラス戸を開け閉めする以上、隙間を全くなくすことはできませんが、少しでも小さくすることで防音性能は飛躍的に上がります。防音テープはサッシの隙間を手っ取り早くふさぐことができる防音グッズです。

いろいろな厚さのものがありますので、隙間に応じて選ぶようにしましょう。窓の開閉時に少し力が要るくらいの厚みがちょうど良いです。時間が経つと劣化する消耗品ですので、定期的に交換するようにしましょう。

防音シート・ボード

防音シートとは、貼るだけで簡単に音の伝わりを軽減する防音グッズです。薄くて柔らかいため、はさみやカッターで簡単に切ることができます。窓用の防音シートは透明のものやレースタイプのものなどが多く出まわっています。すりガラスなどの凸凹があるガラスや特殊ガラスなどには適さない場合があるため、貼る前にはしっかり確認しましょう。

防音ボードとは、グラスウールやロックウールなどでつくられた板状のボードです。厚みはありますが、柔らかいのでカッターで簡単に切ることができます。音の透過を熱エネルギーに変換して吸収する効果があります。密度が高いほど、厚みがあるほど防音性能に優れています。

防音ボードで窓の防音対策をする場合は、窓全体を隙間なく塞ぐようにして使います。窓用の防音ボードが販売されていますが、窓のサイズに合わせ、自分でカットしたボードを使って防音することもできます。楽器を演奏する時だけ、音楽を聴くときだけ、など一時的にしっかりと防音したい場合に適した防音対策です。

窓ガラスを防音ガラスに変える

室内への音の侵入が多い窓の防音対策として、既存のガラスを防音ガラスへと交換する方法があります。窓のほとんどの面積を占める窓ガラスを、音の伝達を軽減する工夫がされた防音ガラスへと交換することで、窓からの音の侵入を減らすことができます。

サッシはそのままで、窓ガラスを交換するだけですので、簡単なリフォームです。費用も抑えられ、仕上がりのイメージが想像と違ったというようなトラブルもありません。見た目はそれまでの窓ガラスと変わりませんが、特殊膜を挟むことによって音の振動を軽減するだけでなく、万が一割れた時にガラスの飛散を防止する、UVカット、などの機能がプラスすることができます。

どんな音を防ぎたいかによって適したガラスが変わる

防音ガラスと一口にいっても、製品によって厚みや中に使う素材などに違いがあります。またそれぞれの防音ガラスには、防げる音と防げない音があります。つまり高い音は防げるが、低い音はほとんど防げないというガラスがあれば、それとは逆の性能をもつガラスもあるということです。

このように防音ガラスには防げる音に得意不得意があるため、どのような音を防ぎたいかによって、選ぶべきガラスが異なります。ペットの鳴き声、車の走行音、人の話し声、それぞれに音の周波数が違いますので、防ぎたい音に合った防音性能を持つガラスを選ぶようにしましょう。

防音に適したガラスの種類

合わせガラス(防音ガラス)

合わせガラスとは、2枚のガラスの間に特殊フィルムを挟み、圧着したガラスのことです。ガラスだけでは音を通しやすいですが、特殊フィルムを挟んでいることで遮音性能が高くなっています。

また特殊フィルムがガラスの振動を吸収するため、外から室内への音の侵入だけでなく、室内の音を外へ漏らすのも軽減します。特殊フィルムによってガラスが容易に切れないようになっているため、防犯性も高まります。

さらにフィルムとガラスが密着されているため、地震や台風などの災害によって万一窓ガラスが割れてしまっても、破片が飛び散りにくいといったメリットがあります。他にも衝撃物が貫通しにくい、紫外線の大半をカットする、などの特殊フィルムによる特性があります。

防音複層ガラス

複層ガラスとは、2枚のガラスの間に中空層を設けているガラスのことです。中空層はスペーサーと呼ばれる金属部材で保たれており、乾燥空気が入れられています。空気層によって熱の移動が抑えられますので、断熱性が高く、音も伝わりにくい構造です。

しかし複層ガラスでは2枚のガラスが互いに共振するため、低音域では音エネルギーが伝わりやすい「共鳴透過現象」が起こります。そこで防音複層ガラスには、低音域共鳴透過現象を防止する「レゾネーター」という装置が取り付けられています。これにより、軽くて遮音性、断熱性に優れたガラスになっています。一般的な複層ガラスでは遮音性が落ちる125Hz~500Hz程度の低音域での防音性能にも優れています。

内窓を設置する防音対策

窓の防音対策で最も有効なのは内窓の設置です。一般的なサッシの場合、窓ガラスを防音性能の高いものに替えても、隙間から侵入する、あるいは漏れる音までは防げません。しかし、内窓を設置することによって気密性が高まり、空気とともに出入りしてしまう音にも対応できます。

既存の窓の内側に設置するだけですので施工は簡単です。窓ガラスは防音ガラス、防音複層ガラス、真空ガラスなど、防音以外の機能や求める防音レベルに合わせて選ぶことができます。内窓を設置できない事情がない限り、高い防音効果を求める場合、内窓の設置をおすすめします。

既存のサッシを交換するよりお得

窓ガラスとサッシの隙間を防ぐためのリフォームには、既存のサッシを隙間が少ないタイプに交換する方法と、内窓を設置する方法があります。

既存のサッシを交換する方法は、決して簡単ではありません。サッシ枠は外壁と密着しているため、取り外すには外壁を多少壊す必要があります。その分費用も日数もかかります。

内窓を設置する場合では、既存の窓の内側にある木枠の額縁の部分に取り付けます。サッシの取り外しがないため、作業は短時間で済み、費用も抑えられます。

内窓で防音性能が高くなる理由

内窓を設置すると、既存の窓と新設した窓との間に空気層ができます。外から入ってくる音は、外窓の振動や隙間から侵入しますが、内窓で反射され空気層で軽減されます。空気層がクッションとなり、緩和された音だけが室内に伝わるという仕組みです。室内から外へ伝わる音についても同様の効果があります。

また、内窓を設置することによって隙間を少なくすることができます。音の透過は気密性が上がるほど下がるため、内窓の設置は音の透過率を下げる効果があります。

二重サッシの空気層は広いほど遮音性能が高まります。音が空気層でどの程度反復するかによっても遮音性能が変わり、外窓と内窓のガラスの組み合わせによっては、より高いレベルの防音効果を得ることが可能です。内窓に設置する窓ガラスは、外窓のガラスとのバランスを考慮して選ぶことが望ましいでしょう。

内窓の設置が難しい窓

ハンドルを回して開閉するルーバー窓の場合、ハンドルが邪魔をして内窓の設置が困難なケースが多くみられます。ハンドルを短く切る、ふかし枠部材によって内窓を室内側に出っ張らせる、などの工夫によって設置できる場合があります。

内側に倒して開ける内倒し窓にも内窓の設置は困難です。どうしても設置したい場合は、外窓は一切開けられなくなります。

ドアクローザーがあるタイプの窓は、ドアクローザーが邪魔になり、内窓の設置が困難です。室内側にふかし枠を設置することで可能になる場合があります。

防犯用ブザーなどの障害物がある場合は、障害物を移動させることができれば内窓の設置が可能です。

防音以外にもメリットがいっぱい

サッシを二重にすることは、防音対策に限ったことではありません。内窓の設置による、防音効果以外のメリットを以下にご紹介します。

冷暖房効率アップ

夏は涼しく、冬は暖かい室内は快適です。内窓を設置して二重サッシにすると、こういった快適な室内環境がつくりやすくなります。

窓は暖かい空気を最も逃がしてしまう場所です。冬はせっかく暖めた室内の空気を逃がし、夏は外部の暑い空気を室内に招き入れます。二重サッシにすれば、窓と窓の間にできる空気の層により気密性が高まり、暖気を逃がしにくく、侵入しにくくします。そのためエアコンや暖房設備をフルに使わなくても、室内温度を一定に保つことが可能です。また省エネで光熱費の節約にも期待できます。

結露予防

結露の原因は、湿気と気温差です。窓は室内の暖気と室外の冷気によって最も結露ができやすい場所であり、カビやダニの発生にもつながります。

内窓を設置すると、二枚の窓の間に空気層ができます。この空気層が室内と室外の間にできることで、クッションの役割を果たし、結露の発生を抑えます。

防犯対策

泥棒、空き巣が侵入口として最も目を付けるのは窓です。ガラスに小さな穴を開けて解錠したり、ガラスを割ったりして侵入します。空き巣被害の約7割が窓からの侵入です。

内窓を設置すると、割るにしても穴を開けるにしても二倍の労力が要ります。よほどのことがない限り、空き巣は二重サッシの住宅をターゲットにしません。つまり、内窓を設置することは、防犯対策にもつながります。