
リフォームポイント
目的別にする防音・遮音リフォームの箇所や方法
公開日:2019年04月24日

家は建てたらそれで終わり、というわけにはいきません。老朽化や生活環境の変化に伴い、リフォームを行うべき時が必ずやってきます。中でも内装リフォームが必要になったとき、それが防音リフォームを施す一番よいタイミングです。生活する上で、「音」の管理は重要です。家のメンテナンスを考える時期をむかえたら、防音・遮音リフォームも併せて検討しましょう。
ここでは目的別に防音・遮音リフォームをする箇所や方法をご紹介しています。
生活音に対する防音を考えたリフォーム
暮らしの中で発生する音に対する防音対策として、有効なリフォームの箇所をご紹介します。音を効率よく防ぐには、防音材の設置と併せて隙間に対する防音が重要です。
窓・玄関
窓やドアは、外壁に比べると厚みがなく隙間もあるため、音が出入りしやすい場所です。騒音を軽減するには、窓や玄関ドアの防音リフォームが非常に効果的です。
窓のリフォームには窓ガラスやサッシを防音仕様のものに変更する、既存の窓の内側や外側にもう1つ窓を設置して二重窓にする、といった方法があります。防音効果とともに、断熱効果にも期待できます。
玄関ドアは、既存のドアを防音・遮音仕様のドアに取り替えることで防音性を高めます。ただしマンションの場合、基本的に玄関ドアの交換はできません。別の対策を考えましょう。
床
生活音の中で、足音や物を落とした時の落下音、家具を引きずる音など、床から階下へと伝わる音は少なくありません。集合住宅でも上下階の騒音トラブルは多く、戸建てなら二階から一階への音の伝達などが問題になります。階下でできることはあまりなく、上階の床の防音リフォームが効果的です。
床の防音リフォームは、カーペットやラグ、マットなどを敷くのが最もお手軽な方法です。他には裏側に発泡体などがついている防音性に優れたフローリング材に変更する、床材の下に遮音性が高い下地材を敷設する、といった方法があります。主に軽量床衝撃音を軽減することができます。
壁・天井・換気設備
壁や天井は、密度が小さく薄ければ音が通り抜けてしまいます。音を反射し、吸収する防音リフォームをすると効果的です。
吸音にはグラスウール、ロックウールなど、音を吸収してエネルギーを減衰させる吸音材を使い、より多くの音を反射させる遮音には遮音シート、遮音パネルを使います。珪藻土などの仕上げ材にて厚みをもたせるのも有効な手段です。
また、壁についている換気設備も音が入り込みやすい場所です。換気によって空気が出入りしますので、空気と一緒に音も出入りします。壁の防音リフォームと同時に防音タイプの換気口に変更すると良いでしょう。
楽器演奏や映画鑑賞などを目的とした防音リフォーム
楽器演奏室やホームシアタールームのように、室内で音を楽しむ部屋をつくる場合には、防音だけに力を入れるのではなく、音がきれいに聞こえるように音響も意識しなければなりません。
もちろん大きな音が出る部屋になりますので、高いレベルの防音対策をしなければなりませんが、それと同時に余計な音の反響を抑える吸音対策も必要です。また、壁や天井、ドアだけでなく、エアコンダクト用の穴からの音漏れにも配慮が求められます。
ピアノなどの楽器演奏のための防音
自宅でピアノやギター、ドラムなどの楽器を演奏する場合、近隣に音が漏れて迷惑がかからないように、防音対策をする必要があります。テレビや音楽を聴くのとは違って大きな音が出ますので、通常とは違った対策が必要になります。
楽器といっても種類はいろいろで、メーカーによっても周波数や音圧が異なります。演奏する楽器に合わせた防音対策を考えなければなりません。
たとえばピアノとドラムでは最大音圧が異なります。ドラムのほうが大きいので、より高い遮音性が求められます。また同じピアノでも大人、子供、プロと弾く人によって音圧が異なると言われていますので、演奏する人や時間帯にも配慮する必要があります。
組み立て式の簡易防音室
楽器演奏などの目的で防音室をつくりたくても、さまざまな事情により大規模な防音リフォームができないこともあるでしょう。そんな時は、組立式の防音室を設置する方法があります。部屋全体を防音室にするのではなく、部屋の中に防音ブースをつくるといったイメージです。
大きさは1畳程度からありますので、ボーカルブース、ギターの演奏など比較的省スペースの防音室から、グランドピアノの演奏ができる広さの防音室まで、幅広く対応しています。パネルやドアを組み立てるだけですので建物に大きく手を加える必要がありません。部屋全体を防音リフォームするよりコストも抑えられます。
ただし、組み立て後に部屋にデッドスペースができる可能性があります。また本格的な防音工事と比べて防音性能が劣る傾向にあるため、求める防音性能を実現できるか否かについては慎重な判断が必要です。
オーディオルーム・シアタールーム
自宅にホームシアターやオーディオルームをつくる場合、音が漏れないような配慮はもちろんのこと、外部からの音の侵入を防ぎ、音響効果を向上させる工夫も必要です。大音量で良い音を楽しむ、という観点から音の反射や拡散もポイントになります。そのためにはある程度の広さも必要です。
天井や壁には吸音効果がある素材を選び、ドアと壁は密着性の高い気密パッキンなどを用いることで、隙間をなくすようにしましょう。さらに遮音効果があるパネルなどと併用すると、音が反射・拡散し、きれいな音を楽しむことができます。窓がある場合は二重窓にすると良いでしょう。音漏れや騒音侵入の防止に効果的です。