
リフォームポイント
マンションの断熱リフォームはできる?
公開日:2019年02月04日

断熱リフォームと聞くと戸建ての住宅で行うイメージが強いと思います。マンションは外界に触れている部分が少ないので断熱性が高いのでは、と思われている方も多いかもしれません。しかし、快適な住空間を作るためにはマンションこそしっかりとした断熱が必要です。
今回はそんなマンションの断熱の必要性とその方法、効果などを紹介していきたいと思います。
マンションの断熱リフォームの必要性
鉄筋コンクリートで構成されているマンションは断熱性がありません。コンクリートに断熱性があると思われている方も多いですが、コンクリートは断熱性ではなく蓄熱性が高い素材です。夏は昼間に蓄えた熱を夕方以降に放出し、冬は昼間に冷気を蓄え夕方以降に放出します。そのため、いくら外界面に接する場所が少ないマンションでも暑さや寒さを顕著に感じてしまいます。快適な住環境を作るためにはしっかりと断熱をする必要があるのです。
特に、築年数の高いマンションでは断熱対策が施されていないところも多くあります。一番断熱の効果が期待できるのは、外壁面に断熱材を張る”外断熱”ですが大規模改修になってしまうため、一個人の意見では実施できません。
一個人でできる範囲は、分譲マンションの専有部分の住居内です。次に住居内できる範囲の断熱リフォームを紹介していきます。
断熱リフォームできる箇所
マンションの各住戸内で断熱リフォームできる箇所は以下の4つです。
- 壁
- 床
- 窓
- 玄関ドア
壁の断熱リフォーム
壁の断熱リフォームは現在の内側の壁を解体し、そこに断熱剤を敷き詰めていくのが一般的です。断熱の効果を得るためにはあり程度の断熱剤の厚みが必要になるため、新しく下地を組む必要がある場合もあります。また、この方法は天井に断熱材を入れる場合も同様です。
床の断熱リフォーム
床の断熱リフォームは既存のフローリングなどを剥がし、断熱材を入れていきます。ほとんどのマンションでは床の下地が組まれていることが多いため、そこに断熱材をはめ込むことができますが、フローリングの真下が躯体(コンクリート)の場合、改めて下地を組む必要があります。
窓の断熱リフォーム

窓の断熱リフォームは大きく分けて2つの方法があります。
1つ目はガラスを断熱効果のあるペアガラスなどに交換すること、2つ目は既存の窓の内側にもう一枚窓を取り付けること(二重サッシ)です。1つ目のガラス交換は比較的安価に簡単にできるため、手軽に行うことができます。しかし、ガラスの断熱性をあげても窓枠がアルミ製の場合、窓枠の部分から熱が逃げていってしまうという欠点もあります。
一方、2つ目の二重サッシは熱の逃げていく部分がないため、断熱性は高くなります。しかし、取り付け条件があることとガラス交換に比べると若干高価になるといった欠点もあります。断熱と費用のバランスを考えて選択する必要があります。
玄関ドアの断熱リフォーム
玄関ドアの断熱リフォームは、ドアを断熱仕様のものへ交換します。マンションの場合、玄関ドア周りの壁を壊して新しいドアを取り付けることは難しいので、既存のドア枠に取り付ける“カバー工法”で取り付けるのが一般的です。しかし、マンションの管理規約でドアをのリフォームを禁止していることも多いので注意が必要です。
主要な断熱方法
壁や天井の断熱は断熱材を入れて断熱性を高めますが、マンションの場合、断熱材を入れる方法は大きく分けて2つあります。
乾式断熱
壁や天井に木材で下地を作り、その間に発泡スチロール状の断熱板をはめ込んでいく方法です。断熱材の種類も豊富にあり、予算や求める断熱性に合わせて選ぶことができます。
発布スチロール状のため、比較的簡単に加工ができ、工事費用も安く済ますことができます。しかし、細かな加工が難しく、断熱材と断熱材の間や、木材との間に隙間が生まれてしまい、そこから熱が逃げてしまうといった欠点があり、複雑な形状には向いていません。
湿式断熱
乾式断熱と同様に木材で下地を作り、その間に発泡性のある断熱材を吹き付けていく方法です。この方法では細かな隙間も埋めることができるため、断熱性を高く保つことができます。
一方、この方法は施工方法が難しく、専門業者での作業になります。また、施工上の問題としてこの方法は断熱材をトラックで運び込み、コンプレッサーの力で上階まで運ぶ必要があるため、運び込める高さに限界があり、マンションの高層階では工事を行うことができないといった欠点があります。
症状別にみるオススメの断熱リフォーム
断熱は暑さや寒さの緩和のほかにも効果を発揮します。実際に断熱を行なった場合、どのような効果があるのか、具体的な例をあげてその症状にあった断熱リフォームを紹介していきます。
壁や天井にカビがある場合は断熱リフォームで対策
マンションの共有通路側などの部屋は通気性が悪くカビが発生しやすい環境となっています。カビは外部と内部の温度差によって壁に現れる結露が原因です。しっかりと壁や天井を断熱し急激な温度変化を防ぐことによってカビの発生を抑えることができます。
窓の結露には、2重サッシもしくはガラス交換
窓は住居なの中で一番熱の出入りがある場所です。そのため、結露が発生しやすくなっています。効果が高いのは既存の窓の内側にもう一枚窓を設ける2重サッシです。既存の窓との間に空気層を作ることで熱が急激に冷やされるのを防ぎ、結露を防止することができます。また、2重サッシは工期が短く済むため比較的行いやすいリフォームです。
マンションの断熱リフォームの注意点
マンションでの断熱リフォームを行う場合、注意する点は主に以下の3つです。
マンションの規約による制限
マンションによって行えるリフォームは限られます。外観上の問題から窓や玄関ドアそのものを交換することは禁止しているマンションが多いです。リフォームを考える際にはマンション規約に反していないかを確認する必要があります。
部屋が狭くなる可能性
新しく断熱材を入れる際には木材で下地を作る必要があるため、その分壁は厚くなり、部屋が狭くなる可能性があります。
断熱効果が得られる保証はない
断熱は様々なリフォームの中でも難しく、効果が保証されているものではありません。壁や天井を断熱しても窓が断熱されていなければあまり断熱効果を感じることは難しいでしょう。断熱効果を確実に得るためには壁や天井だけでなく、床や窓など全体的な工事をする必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。マンションの断熱は快適に暮らす上で必要不可欠なものです。壁や天井の断熱リフォームはハードルが高いかもしれませんが、簡単にできる窓のリフォームを取り入れてみてはいかがでしょうか。快適な住空間を目指して、断熱リフォームを検討してみましょう。