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床コーティング・フロアコーティングの種類とリフォームの注意点10個
公開日:2015年08月04日
(更新日:2020年02月13日)

床・フロアコーティングにはどのような種類があるのでしょう。当記事では床コーティングの種類とメリット・デメリット、費用と特徴の一覧表、ケース別おすすめのコーティング、リフォームの注意点などを紹介していきます。床コーティングリフォームを検討する際の参考にして下さい。
床コーティング・フロアコーティングのメリットとデメリット
メリット
床コーティング・フロアコーティングのメリットは、床を傷や劣化から守り、長期に渡って美しく保てることです。
床コーティングとは、コーティング剤を塗布して床を保護する膜を作ることです。ワックスと混合しがちですが、ワックスは保護膜が薄く硬度が低いため、耐久性よりは美観の維持を目的としています。ワックスは半年~1年の頻度で塗りなおしが必要ですが、コーティングは何年も効果が持続します。床コーティングは床の品質と美観の双方を保ってくれるのです。
メリット
- ワックスがけが不要になる
- 水分や油分の床への浸透を防ぎ、汚れや劣化を抑制する
- 衝撃から床を守り、傷つきにくくする
- 種類によっては、床の滑りやすさを改善できる
- リフォームでは、フローリングを貼り替えるよりもリーズナブルに床の美しさを再生できる
- 不動産の価値を維持できる
デメリット
しかし、その光沢が部屋に合わない場合や、輝くようなピカピカ感が逆にデメリットとなる場合があります。施工時の塗料の臭いも難点の1つです。しかし光沢と臭いについては抑えている塗料も最近は出ています。
また、自分で簡単にできるワックスと違い、ある程度の費用がかかることもデメリットの1つといえるでしょう。効果が長持ちしますので、コストパフォーマンスは良いですが、最初にまとまった出費になります。保護効果によって傷はつきにくいですが、一旦ついた傷が目立ちやすいのもデメリットです。
床コーティング・フロアコーティングの種類
床コーティング・フロアコーティングの種類とそれぞれのメリット・デメリット、メンテナンスについて見てみましょう。UV、ガラス、シリコン、ウレタンの4種類の床コーティングについてご紹介していきます。
UVコーティング
UVコーティングは、紫外線の照射により瞬時にウレタン塗膜を硬化させるコーティングです。自然乾燥や硬化を待つ他のコーティングに対し、工期が短くリフォームに適している点が大きな特徴です。また、ガラスコーティングに次ぐ硬度と、シリコンコーティング同様の滑り止め効果を持ち合わせています。耐水性、耐薬品性など諸性能においても、他のコーティングに優る優秀なコーティングと言えるでしょう。表面には、ピアノのような光沢感と艶が出ます。
メリット
- 耐用年数が長いので結果的に安い
- 瞬時に硬化するので、工期が短い
- 瞬時に硬化するので、施工の際、埃などを拾いにくい
- 車やピアノにも使われる最高クラスの保護性能と耐久性
- 唯一、塩素系の薬品にも耐性を持つ
- グリップ力があるので、歩きやすく、滑って転倒しにくい
- 艶のある高級感ある仕上がり
- 掃除が楽
デメリット
- 高価な方法ですので初期費用が高くなる
- 光沢感を好まない人には不向き
- 光沢感ゆえに、皮脂汚れや傷が目立つ
- 照射器を当てすぎると床が変色し、照射が足りないと硬化不良を起こす
メンテナンス・お手入れ方法
- 耐用年数は最長で、20~30年が目安
- 塗膜が強く剥離ができないため、床全体の再施工は不可
- 部分的に紫外線を照射し、被膜を修復することは可
- 掃除は、水拭き、乾拭き、ホコリ取りのみで大丈夫。アルコールや洗剤も使用可
ガラスコーティング
ガラスコーティングは、塗布後に強固なガラス系の膜を形成させる最新のコーティングです。塗膜が薄く強いことが大きな特徴で、4つのコーティングの中で一番硬度が高く耐傷性があります。また、光沢が控えめで、フローリング本来の風合いを生かした上品な仕上がりになります。
メリット
- 耐用年数が長いので結果的に安い
- 全コーティングの中で最高の硬度
- 傷つきにくく、万が一傷ついても目立たない
- 光沢が控えめで、フローリングの自然な風合いを生かせる
- 無機質なので、ペットや子どもが舐めてしまっても安全
- 耐水性、耐薬品性に優れ、ペットがおしっこをしても安心
デメリット
- 高価なため初期費用が高くなる
- 塗膜が薄く、滑り止め効果は低い
- 耐薬品性は強いが、キッチンハイターなどの塩素系の洗剤を落とすと塗膜が溶ける恐れがある
- 硬度が高いだけに、強度の衝撃を与えるとひび割れる可能性がある
- 膜の薄さゆえ密着性が弱く、施工が下手だと剥がれやすい
メンテナンス・お手入れ方法
- 耐用年数は20年から30年
- 塗膜が強く剥離ができないため、床全体の再施工は不可
- 部分的に修復することは可
- 掃除は、水拭き、乾拭き、ホコリ取りのみで大丈夫。アルコールや薄めた中性洗剤も使用可
シリコンコーティング
シリコンコーティングは、シリコン合成樹脂で膜をつくるコーティングです。耐水性、耐熱性、耐薬品性があります。また塗膜が厚く弾力性があるので、滑りにくいところも魅力です。鏡のような光沢ある仕上がりになります。
メリット
- 弾力性があり歩きやすいので、滑って転倒しにくい
- コンタクトレンズにも使われる安全な素材
- 鏡のような光沢感がある
- 耐熱性、耐薬品性がある
- 水や油に強いので、キッチン周りにも適している
デメリット
- やや高価なため初期費用が高くなる
- 光沢感を好まない人には不向き
- 光沢感ゆえに、皮脂汚れや傷が目立つ
- 初期は匂いが残る
メンテナンス・お手入れ方法
- 耐用年数は、10~20年が目安
- 剥離や再施工の可否は業者によっての見解が分かれる
- 掃除は、水拭き、乾拭き、ホコリ取りのみで大丈夫。アルコールや薄めた中性洗剤も使用可
ウレタンコーティング
ウレタンコーティングは、ウレタン樹脂を原料にした20年以上前からあるコーティングです。安価で導入しやすいことが大きな特徴です。また摩擦に対する強度があり、イスの引きずりなどに耐性があります。仕上がりは、自然な雰囲気の光沢感になります。
留意点として、ウレタンコーティングには油性と水性がある事を頭に入れておきましょう。一般的に油性の方が耐用年数は長くなります。反面油性は再施工が難しく、水性の場合は再施工できるという強みがあります。
メリット
- 全コーティングの中で1番安価で導入しやすい
- 抑えめで自然な光沢感
- 水性は塗りなおしができる
- 水性は、環境や人体に影響がなく安全性が高い
デメリット
- 業者によっては安全性が確かではない成分を混ぜていることがある
- 油性の場合、初期はシンナー臭がする
- 耐薬品性は強くない
- 他のコーティングに比べ、耐用年数が短い
メンテナンス・お手入れ方法
- 耐用年数は、3~10年が目安
- 掃除は、水拭き、乾拭き、ホコリ取りのみで大丈夫。薬品はなるべく使わない
床コーティング・フロアコーティングの比較表と費用相場
次は、4種の床コーティングの費用相場と主な特徴を一覧表で比較してみましょう。
業者の技術や液剤の成分により幅があるので、あくまで目安として下さい。家族構成やお住まいの状況と併せて、検討してみて下さい。
硬度※1 | 光沢 | グリップ性 (滑りにくさ) |
耐用年数 | 費用の目安※2 (30㎡の場合) |
|
---|---|---|---|---|---|
UVコーティング | 7H程度 | 強い | 〇 | 20~30年 | 10~25万円 |
ガラスコーティング | 9H程度 | 抑えめ | △ | 20~30年 | 10~25万円 |
シリコンコーティング | 5H程度 | 強い | 〇 | 10~20年 | 9~13万円 |
ウレタンコーティング | 3H程度 | 抑えめ | △ | 3~10年 | 5~17万円 |
※硬度とは、耐傷性を測るためのJIS試験の結果で、『H』は鉛筆芯の固さです。鉛筆を塗膜に滑らせ、傷がつかなかった最も固い鉛筆の硬度を表示します。10Hに近づくほど表面が固く傷つきにくいということになります。
※施工費を含む価格です。30㎡は約18畳になります。
ケース別のおすすめの床コーティング・フロアコーティング
こちらの章では、ご希望に沿った床コーティングリフォームができるよう、ケース別に床コーティングをおすすめしていきます。
長く美しさを保ちたい方にはUVコートかガラスコート
耐久性を重視する方には、UVコーティングかガラスコーティングがおすすめです。耐用年数が20年以上のものが多く、硬度や耐水性・耐薬品性も優れているので、長く美観を保てます。
どちらかを選ぶ際には、グリップ性(滑りにくさ)を加えるのであればUVコーティング、光沢を抑えた仕上がりがご希望ならガラスコーティング、といった選択ができます。ただ、UVコーティングでも光沢を抑えた商品も出てきているので、業者にご相談ください。
工期をかけたくない方にはUVコート
とにかく工期を短く済ませたい方には、UVコーティングがおすすめです。UVコーティングは紫外線の照射し瞬時に表面を硬化させるので、施工したその日から生活を再開できます。
ピカピカした光沢を避けたい方は、ガラスコートかウレタンコート
光沢を抑えたマットな床がお好きな方には、ガラスコーティングかウレタンコーティングがおすすめです。光沢感は、塗膜が厚いほど出てきます。
最も塗膜の薄いガラスコーティングはフローリング本来の風合いを生かした仕上がりになります。
ウレタンコートは適度な艶感で自然な雰囲気に仕上がります。
また、一般的にはピカピカと言われるUVコートでも、光沢を抑えた商品も出ているようですので業者さんに相談してみて下さい。
なるべく傷をつけたくない方は、ガラスコートかUVコート
床に傷をつけず美観を維持したい、とお考えの方には、ガラスコーティングかUVコーティングがおすすめです。
床面が最も固くなるのはガラスコーティングで9H前後の硬度があります。UVコーティングも遜色ない硬度があります。万が一、傷がついた際には、ガラスコーティングの方が目立ちませんが、硬さゆえに強度の衝撃でひび割れる可能性もあります。
ご高齢者やお子様の滑りが心配なら、シリコンコートかUVコート
ご高齢者や小さなお子様が滑って怪我をしないかとご心配されている方には、シリコンコーティングかUVコーティングがおすすめです。滑りにくさの基準となるグリップ性は、コーティングの厚みと関係があります。
グリップ性を最重視するのであれば、コーティングが厚く弾力性があるシリコンコーティングが一番です。加えて、耐久性や耐薬品性なども強化したいなら、UVコーティングがおすすめです。また、導入費用が安いのはシリコンコーティングになります。
初期費用を抑えたいならウレタンコート
とにかく初期費用を抑えたいという方には、ウレタンコートがおすすめです。ウレタンコーティングなら他のコーティングよりも費用を半分程度に抑えられます。ただ工期に2~3日とられますので、その間にかかる生活費もコストにカウントしましょう。
長期的にコストパフォーマンスがよいのはUVコートかガラスコート
長期的な視野でコストを考えたいという方には、UVコーティングとガラスコーティングがおすすめです。ただ、あくまで耐用年数と施工費を含めた費用によりますので、一概には言いきれないところがあります。見積をもらって比較検討して下さい。
場所によってコーティングの種類を変える
例えば、キッチン周りには、ガラスコーティング、もしくは、UVコーティングにして、各部屋は他のコーティングにするというように、場所によってコーティングの種類を変えて、費用を抑える方法もあります。
リフォーム業者からこの話を提案されない場合は、こちら側から聞いてみて提案を受けてみてください。
ペットに優しいコーティングをお探しならペット用のコーティング
室内でペットとの暮らしを楽しみたい方には、ペット用のコーティングがあります。足腰を傷めない適度なグリップ性、おしっこに対するお手入れ、爪による傷のつきにくさ、などをバランスよく提案してくれます。
シリコンコーティング系は、グリップ性に優れ安全である反面、アンモニアへの耐性がありません。(水やアルコールへの耐性はあります。)
ガラスコーティング系は、爪痕が付きにくくペットが舐めても安心、アンモニアへも耐性もありますが、グリップ性が弱くペットの足腰に負担がかかります。
UVコーティング系は、グリップ性と耐傷性、耐薬品性をバランスよく持ち合わせていますが、ガラスやシリコンのように舐めても安心とは言い切れないところがあります。
これらを念頭におき、業者さんの提案を検討してみましょう。
床コーティング・フロアコーティングリフォームの注意点10個
最後に、床コーティングリフォームで失敗しないための注意点を紹介していきます。
1.工期を確認しよう
1つ目の注意点は、工期を確認することです。既に暮らしている住居をリフォームする場合、別間で過ごす、宿泊先を探す、など施工期間中の計画をたてる必要があるからです。工期がかかる場合は、負担の少ない時期を選んで施工してもらいましょう。
2.業者選びをする際は、工程を確認
2つ目の注意点は、工程を確認することです。コーティングの耐久性や仕上がりは、下地となる床の状態により変わってきます。工程に下準備が含まれているかを必ずチェックしましょう。
具体的には、既存家具の移動、既存床の掃除や傷の補修、既存ワックスの剥離、などが挙げられます。
工程をしっかりと説明してくれないリフォーム業者は、怪しいと思っても間違いありません。質問したことに対してもしっかりと回答してくれるリフォーム業者を選んでください。
3.保証について確認しよう
3つ目の注意点は、保証について確認することです。保証期間は勿論ですが、保証対象、保証内容にも注意を払うことが肝心です。「拭き掃除や調味料のこぼれ、ペットの尿など日常生活による剥がれは対象になるのか」「保証対象外となるものは何か」など具体的に質問しましょう。
4.安全性を確認しよう
4つ目の注意点は、液剤の成分が安全なものかを確認することです。安全基準試験や環境基準試験など、きちんと試験に出し合格している液剤なら安心です。成分について質問し、誠実に回答をしてくれる業者を選びましょう。
5.サンプルで仕上がりを確認しよう
5つ目の注意点は、サンプルを借りて仕上がりを確認してから床コーティングの種類を決めることです。光沢感などの仕上がりは、お部屋の雰囲気や満足度を左右します。写真で確認するだけではなく、実物サンプルを取り寄せましょう。
6.床材の寿命を考慮しよう
6つ目の注意点は、床材に寿命があることを認識しておくことです。フローリングの寿命は一般的に10~20年と言われています。フロアコーティングによって寿命を延ばすことはできますが、年数が経ちすぎてからコーティングをしても、床自体がダメになってしまえば元も子もありません。床材の寿命が近い場合は、コーティングよりも床の貼替えを検討しましょう。
7.信頼できる業者を選ぼう
7つ目の注意点は、ここまで述べてきた注意点に誠実に対応してくれる業者を選ぶことです。液剤を薄めたり未熟な作業員に施工させたりする悪質な業者もいるので、価格の安さだけに目を奪われないようにしてください。コーティングの密着不良などで、かえって高くついてしまうケースもあります。
よい業者を探すための近道は、数社から見積を取り、提案を聞くことです。当サイトでは、リフォームの無料相談をしたり、一括見積をとったりすることができます。サイトを活用し、よい業者さんを見つけて下さい。
8. 傷がある場合は補修をする必要がある
フロアコーティングを施工する場合、床に傷や穴などは予め補修しておく必要があります。
それは、コーティング後の補修は極めて困難で、フローリングの色との違和感が生じてしまったり、かえって傷や穴が目立ってしまったりという結果に陥ることがよくあります。
補修費用が別途かかる場合があるので頭にいれておきましょう。
9. ワックスが塗られていないか確認
フロアコーディングを施工する前に、フローリングにワックスが塗られていないかを確認します。
ワックスが塗られている場合、すぐにコーティングを施工することができません。塗られたワックスが全て剥がれ落ちている状態であれば問題ありませんが、あちこち剥がれていると仕上がりにムラが出てしまうので、まずは全てのワックスを剥がす作業を行わなければなりません。
ですので、その作業料がかかり、費用が高くつく場合があります。
10. すでにコーティングがしてある床は要注意
フロアコーディングを施工する場合、すでにコーティングしている床には注意が必要です。
コーティング剤が施された床に対して、新たにコーティングすることは非常に困難なため、まずは全て剥がす必要があります。
コーティング剤を剥がす場合、強力な剥離剤または、やすりでこすり落とすのですが、かなりの手間と時間を要します。さらにフローリングを傷付けてしまう可能性もあるので、あまりお勧めできません。
最適な床コーティング・フロアコーティングでストレスの無い暮らしを実現しよう!
いかがでしたか?床コーティングの種類と特徴、費用や注意点についてご紹介してきました。ご自身のライフスタイルに合った床コーティングと誠実な業者を選び、お手入れしやすくストレスの少ないお部屋を手に入れて下さい。