
成功するキッチンリフォームのノウハウ
公開日:2017年01月19日

毎日使うキッチンは、長年使っていると「収納がもっと欲しい」「設備が壊れた」「作業効率が悪い」などの不満や不便さが必ず出てきます。キッチンリフォームは、不便さや不満を解消するタイミングです。つまり、キッチンリフォームで重要なことは、「使いやすいキッチン」にすることです。
設備だけを交換したり、収納場所を増やしたり、大きくキッチンスタイルを変えることもできますが、理想は追いながらも、第一に「使いやすさ」を求めることが大事です。
「使いやすいキッチン」にできるかが成功の鍵!
キッチンの動線をスムーズにする
キッチンの中でも優先すべきが作業動線です。冷蔵庫から食材を取り出したり、調理したり、お皿を洗ったりと何かとやることが多い場所のキッチンは、作業をいかにスムーズに行えるかが重要です。
使いやすいキッチンにするためには、頻繁に使う「シンク」「コンロ」「冷蔵庫」の位置関係を目安とし、それぞれが均等な距離になるように配置すると作業効率も良くなります。だいたい2、3歩程度で移動できる位置にあるといいでしょう。 これらを踏まえて、キッチンのレイアウトも考えてください。

【具体的な距離の目安】
シンク・コンロ・冷蔵庫の中心から三角形に結び、その3辺の和が3.6m~6m以内。ただし、Ⅰ型キッチンのような横長の場合は、3.6m以内がベストです。
自分に合ったキッチンの高さを見つける
使いやすいキッチンかどうかは、キッチンの高さによっても変わります。 キッチンが高いと、フライパンなどを持つ手があがって疲れやすくなり、反対にキッチンが低いと、姿勢が悪くなり腰を痛める原因にもなりかねません。使う人の身長に合わせて、調理や作業がしやすい高さにすることが大切です。
自分に適したキッチンの高さの目安は、次の式で求めることができます。
身長 ÷ 2 + 5cm = 作業がしやすいキッチンの高さ

*身長が160cmの方であれば、「85cm」がキッチンの高さのひとつの目安です。
システムキッチンの高さは一般的に80cm・85cm・90cmですが、メーカーによっては82cmや87cmの中間の高さもあります。上記の式は、あくまでも目安なので、ショールームなどで実際に試してみることがベストです。
調理スペースは広めに確保しておく
調理スペースは、食材やまな板などの調理器具などを置く必要があるため、広めに確保しておくと使いやすいです。 ただし、あまり調理スペースが広すぎないようにしましょう。シンクとコンロが離れてしまい、反対に使いにくく感じてしまいます。
使う人数やどのように使いたいか、自分がいつもする作業の流れなどを事前に確認しておき、バランスよく配置しましょう。

収納は出し入れのしやすさを重視する

キッチンでは、何をどこに収納したら出し入れがしやすいのかを把握することが使いやすくなるためのポイントです。 収納する物や量、使用頻度などを確認し、配置を考えましょう。
例えば、よく使う調味料などは、自分の手に届く範囲に収めると取り出しやすく、フライパンなどの調理器具はコンロ付近に収納しておくと取り出しが楽です。
また、間取りや予算、収納するものによってはパントリー(食品庫)を設置してもいいでしょう。収納できる幅も広がります。設置する時は、広さや内部が一目でわかるようにすると効率的です。
収納ひとつでも、引き出しタイプや開き戸タイプなどさまざまなタイプがあります。扉を開けた時の範囲や開きやすさなど、どれが自分に適しているのかを確認することも忘れないようにしましょう。
必要な設備を選ぶ

キッチンには、コンロ(IH)やシンクをはじめ、水栓、食器洗い乾燥機などさまざまな設備があります。 キッチンリフォームをする際は、これらの設備を追加することもでき、自分に合ったものを導入すれば作業効率もよくなるでしょう。
後からつけなければよかった、つければよかったなどと後悔しないよう、どれが必要なのかよく考えて選ぶことが大切です。
【設備の種類】
- シンク
- ガスコンロ
- IHクッキングヒーター
- レンジフード
- 水栓
- 食器洗い乾燥機
- 浄水器、整水器
手入れのしやすさも考慮する

日頃の手入れのしやすさも忘れてはいけないポイントです。最近では、手入れがしやすい設備が多く出てきており、フィルターが要らないレンジフードや拭き取りやすいコンロ、先端が伸ばせて隅々まで洗えるシャワー水栓など様々な種類があります。ちょっとしたことでも毎日のことになると負担にもなるため、手入れのしやすさをチェックしておくことは大切です。
オーダーキッチンかシステムキッチン、どちらにするか選ぶ
キッチンをオーダーキッチンかシステムキッチンにするか、どちらにするかを選びます。
システムキッチンの既製品は、調理台やコンロ、シンク、収納などを各メーカーが自社の規格等に合わせて造り上げられたもののため、デザインが統一され、機能性も高いキッチンです。一方、オーダーメイドキッチンは、細部にわたるまで自分の好みに合わせて造り上げることができるため、キッチンにこだわりを持つ人や、他とは違うキッチンにしたいという人に適したキッチンです。
目的にあって使いやすく、予算も考慮してどちらにするかを選びましょう。理想ばかりを追うよりも、使いやすさ、目的に合わせて選んでください。
これだけには気をつけろ!よくあるキッチンリフォームの失敗例
キッチンは、しつこいようですが使い勝手が重要です。工事後は理想のキッチンを手に入れたとワクワクした気持ちでいっぱいかもしれませんが、いざ完成して使ってみると、「こんなはずじゃなかった」「ここが使いにくい」などの失敗も意外とあります。キッチンリフォームのプランを立てる前に、どんな失敗例があるのか把握しておくことで失敗も防ぐことができます。
作業スペースが狭い
何かと作業がしやすい“大型のシンク”と、同時に多くの料理ができる“3口コンロ”を導入。しかし、実際に使おうとしたら、思ったよりも作業スペースが狭く、野菜の下ごしらえや料理を盛り付けるお皿をあまり置けなくなってしまったといったケースがあります。
作業スペースは、家事の作業効率にも大きく関わってくるため、先にどのくらい必要なのか、何を置くのかなどを計算した後に、シンクやコンロを選ぶ事が大切です。

冷蔵庫が買い替えられない
キッチンには欠かせない冷蔵庫ですが、リフォーム後に冷蔵庫を買い替えられないという失敗例です。プランを立てて、置く場所は確保したが、いざ設置しようとしたら通路に通らない、サイズ的には入るはずなのだが実際には梁などがあるため、引っ掛かって移動ができない。それでも何とか設置しても、冷蔵庫の買い替え時期がきた場合、それ以上のサイズの冷蔵庫には買い替えられない、といったケースもよくあります。
冷蔵庫はそう何年も買い替えるものではありませんが、壊れた時や買い替えの事も考えて、リフォームはプランを立てましょう。位置やサイズだけでなく、開く扉の方向やスペースなどにも注意です。

収納や食品庫(パントリー)が使いにくい
とにかくキッチンに収納スペースが欲しいと、吊り戸棚や広めの食品庫(パントリー)を設置しました。しかし、吊り戸棚の位置が高くて取り出しにくい、食品庫も奥行きが深すぎて取り出しにくいといった不満がでてきてしまい、結局、そこに物を置かなくなってしまったといったケースがあります。
収納スペースの有無や食品庫の取り出しやすさなどを注意して設置することが大切です。

ゴミ箱を置くスペースがない
ゴミ箱置き場を作ったが、工事後に見てみると思ったより狭かった、元々プランに入れるのを忘れ、スペースがないなど、ゴミ箱の置き場所がないという失敗例です。結局、通路に置くはめになってしまい、通るたびに邪魔になってしまった、なんてこともあります。
ゴミの分別が細かい地域などもあるので、複数のゴミ箱を置く際は広めのスペースの確保をプランに入れておきましょう。

食器洗い乾燥機をつけなければよかった
キッチンの設備の中でも人気の食器洗い乾燥機。便利になると思って設置したが、「使ってみると思ったより食器が入らない」、「がんこな汚れが落ちにくい」、「食器の数が少なく、手で洗ったほうが早い」などの理由から、リフォーム後につけなれればよかったといったケースもよくあります。
キッチンによく立つ人のライフスタイルや洗う食器の数などを考慮した上で導入しましょう。
対面キッチンにしたが、狭くて使いにくくなった
壁付け型のオープンキッチンから憧れの対面キッチンへしたところ、デザインは気にいったが、使ってみるとキッチンの通路が狭くなり、「以前より動きにくくなってしまった」、「部屋が狭く感じてしまう」といったケースがよくあります。
対面キッチンは壁付けキッチンよりも多くの面積を必要とします。面積があまりないのに、印象だけで対面キッチンにし、動線や通路幅などを考えずにプランを立ててしまうと、憧れのキッチンも台無しです。
通路幅は90cm程度を目安にし、動きやすさも確認してから計画しましょう。
暑くなりすぎたキッチン
暗かったキッチンを明るく、また、自然光が差し込むキッチンにしようと、付近に大きめの窓を取り付けました。しかし、西向きであったため西日が強く、夏などは暑くなりすぎてしまったといった失敗例です。また、暑すぎると食材なども腐りが早くなってしまうこともあります。
キッチンを設置する方角や窓の方角を確認し、日よけ対策やさらには風通しがよくなるプランを立てましょう。

滑りやすいキッチンの床
汚れやすいキッチンは、手入れも簡単に行いたいと思い、タイルなどの表面がつるつるした床材に変更しました。手入れはしやすくなったが、油料理をした時などに油が床にはねて滑りやすくなり、結局、キッチンマットを敷いているといったケースもあります。キッチンの床材は、手入れも大事ですが、なるべく表面がつるつるした滑りやすい床材は避けるなど注意が必要です。
「戸建て」か「マンション」で違う!キッチンの間取り変更
キッチンリフォームの内容はさまざまですが、壁付け型から対面型へキッチンを大きく移動させ、間取りの変更を希望する人も少なくありません。しかし、キッチンは水やガス、電気を使うための配管や配線、換気のための排気ダクトなど、多くの工事が必要となるため、建物の構造や状態によってはリフォームの内容が限られてくる場合があります。
その建物の構造は、戸建てかマンションで大きく異なります。

まず、「戸建て」の場合、基本的には自由に間取りを変更することができます。ただし、建物の工法によっては根太を切ることもあり、補強が必要となる場合があります。
一方、「マンション」の場合、戸建てに比べ、規制が多くリフォームの内容も限られることがあります。 特に、キッチンの移動は、既存の配管ルートや床下にどれくらい空間があるかによって間取りの自由度が異なってきます。床下に空間があると、排水管や電線などが通しやすくなり移動はしやすいのですが、空間がないと勾配がとれず排水管を移動することができないため、位置を変更することは難しくなります。
最近建てられたマンションは床下に余裕があるものが多いようですが、古くに建てられたマンションは床下に余裕がない構造が多いようです。
ちなみに、マンションの場合はガスコンロからIHクッキングヒーターへの変更も注意が必要です。マンションには、使える電気の量がマンション全体で決まっているため、各部屋で使える電気の量は限られてくる場合があります。IHクッキングヒーターは200Vの電圧が必要になるものが多く、変更すると、その使える電気の量をオーバーしてしまう可能性があります。
マンションでのキッチンリフォームの場合は、内容に限らず、まずはマンションの管理規約や構造を確認してから行うといいでしょう。
キッチンリフォームのタイミングは15年~20年が目安

そもそも、キッチンリフォームはいつすればいいのでしょうか?人や建物にも寿命があるように、キッチンにも寿命があります。
一般的に、キッチンのリフォーム時期は15年~20年が目安と言われています。定期的なメンテナンスや手入れなどにもよって耐久性は変わってきますが、家を建ててからこの築年数が経つと、キッチンの設備などが壊れる、扉が閉まらないなどの不具合が発生してきます。さらに、日々使うことによって不便さや悩みなども出てきます。具体的な例を挙げてみましょう。
不具合の具体例 | よくある不便さや悩みの具体例 |
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不便を感じる点や気になる点などは人によってさまざまですが、このような不具合や悩みが多くあればキッチンリフォームのサインです。リフォームをすることによって快適なキッチン空間になり、毎日の料理も楽しくなるはずです。ちなみに、リフォームをする際は、この悩みや困っていることなどを書きだしておくと、自分に合った使いやすいキッチンをイメージしやすいでしょう。
しかし、キッチンのリフォームって何から始めればいいの?と思う人も多いはず。キッチンといってもその形やデザインはさまざまです。まずはキッチンの基本的なことから知っていきましょう。
キッチンのスタイルを知っておく
キッチンを選ぶ際、その間取りのとり方や配置の仕方は、使う人やキッチンに求める目的によって異なってきます。まずは、キッチンの基本的なスタイルの知識を身につけましょう。
オープンキッチン
ダイニングやリビングとの間に仕切りなどが一切なく、キッチンを含めてひとつの部屋にしたスタイルです。壁に向かって取り付ける壁付け式や、ダイニングやリビングを見渡せる対面式、どちらでも設置が可能です。開放感があり、家族とのコミュニケーションがとりやすい、料理の配膳がしやすいのが特徴です。
セミオープンキッチン
キッチンの上部に取り付ける吊り戸棚やカウンターなどを使って、キッチンとダイニングを仕切ったスタイルです。家族との会話を楽しみながら調理ができる、手元が隠せる、収納が多いキッチンです。
クローズドキッチン(独立型)
ダイニングやリビングと繋がっているのではなく、キッチンが完全に独立したスタイルです。調理の臭いがリビングなどに流れにくい、調理に集中しやすいことが特徴のキッチンです。
キッチンのレイアウトを知っておく
次に、キッチンのレイアウトです。レイアウトは種類が多数あり、レイアウト次第で家の中の雰囲気や利便性が変わるので、レイアウトを知ることは大切です。
I型

シンクとコンロが一列に並び、平行移動によって調理をするタイプです。省スペースかつ、シンプルなキッチンの形です。
II型

シンクとコンロを二列別々に配置したタイプです。別の作業を振り向くだけで行えるため、作業効率が高く、作業台のスペースも広々とることができます。
L型

壁の角に沿って、シンクとコンロをL字型に配置した形です。比較的、短い距離で料理ができるため効率が高く使いやすいキッチンのレイアウトです。
U型

L型のキッチンの形に、さらに作業スペースを確保したタイプのキッチンです。多少広さは必要ですが、収納や調理台が広々使えます。
アイランド型

キッチンカウンターを壁から離し、独立させたキッチンの形です。どこの位置からも人が作業できるため、大勢での調理が可能です。
ペニンシュラ型

形はアイランド型のキッチンと似ていますが、ペニンシュラキッチンはどちらか一方が壁に接しているキッチンの形を指します。
【参考】キッチンイメージ例
キッチンのデザインはさまざまあり、デザインによって、間取りの取り方や印象も大きく変わってきます。どのようにキッチンを使いたいのか、ライフスタイルに合わせるのかなど、目的をはっきりさせることがキッチンリフォームの成功につながります。そこで、参考として目的に合わせたキッチンのデザインを集めてみました。
友人や家族とワイワイ楽しめるようなキッチンにしたい

大人数での調理や配膳、片付けがしやすいアイランド型キッチンは、友人や家族との調理、ホームパーティー、料理教室などに最適です。壁に面していないため、他の場所への移動がしやすく、アイランド以外のところもI型やL型など様々なレイアウトにすることができます。友人や家族との会話も楽しみながら料理ができ、さらには高級感も演出できます。
コミュニケーション重視!料理をしながら家族の様子を見守りたい

対面式のペニンシュラ型のキッチンは、キッチンの上部に吊り戸棚がないため開放感があり、リビングやダイニングにいる家族の様子を見ながら、また、会話を楽しみながらキッチンに立つことができます。片付けや配膳もスムーズにでき、キッチンの見られたくないものなどを上手く隠すことができます。
家族とのコミュニケーションもとりつつ、収納スペースが欲しい

対面式のI型キッチンは、上部やキッチンの後ろに収納棚をつけることによって、収納を十分に確保することができ、リビングやダイニングにいる小さなお子様や家族の様子をうかがいながら、会話をしながら調理ができます。また、リビングやダイニングから調理している手元が見えにくいことでも人気のレイアウトです。
料理だけに集中したい

調理の臭いや音がリビングやダイニングに広がるのが気になる、料理に集中したいという場合は、独立したキッチンがいいでしょう。形もI型やⅡ型、L型、U型とさまざまな形を選ぶ事ができます。収納スペースもきっちり確保でき、急な来客がきてもキッチンが丸見えになることがありません。
家族と一緒に料理を楽しみたい!だけど、動線や作業スペースもこだわりたい

部屋の角に配置したL型のオープンキッチンは、スペースを有効的に活用でき、シンクとコンロとの距離も短いため作業が効率的に行えます。また、オープンにすることで、配膳から片付けまでがスムーズです。さらに、作業スペースも広めなため家族と一緒に料理も楽しむこともできます。
まとめ
キッチンは、家の中でも毎日使う場所です。そして、場合によっては長時間いる場所でもあることから、リフォームでは使う人に合わせたキッチンにすることが何よりも大切です。 キッチンの高さや収納、調理スペースなどキッチン自体の使いやすさはもちろん、レイアウトやスタイルによっても大きく変わります。
プランを立てる時は、キッチンでどう過ごしたいのかなどをリフォーム前にしっかりイメージしておきましょう。そして使いやすいキッチンを一番に考えることがキッチンリフォームの成功へ繋がります。